惜しかった漫画「サイバーブルー」 | ダメブログ

惜しかった漫画「サイバーブルー」

今回、惜しかった漫画としてご紹介するのは原哲夫先生の「サイバーブルー」

(全四巻)だ。

名作北斗の拳に続くジャンプでのその登場は鮮烈だったといってよい。


CYBERブルー 1 (ジャンプコミックス)/原 哲夫

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週間少年ジャンプで連載されたのは、もう20年近く前になると思うが、

この作品が初め紙面に登場した時のワクワク感・興奮を私はいまだに覚えている。

当時少年野球クラブに入っていた私は、土曜日の練習帰りに「早売り」の酒店で

ジャンプを購入した。原哲夫先生の新連載が始まるのは予告で把握ずみだ。

期待に胸を高鳴らせつつ帰宅し、オレンジジュース片手にソファーに腰掛け

スタンバイOK。

いざページをめくると、原先生特有の鮮ざやかな巻頭カラーページとイカした

サイバーパンクの世界が繰り広げられており、一瞬でその虜となってしまった。

(当時の巻頭カラーページは今より多く、より作品の世界を味わえ贅沢だった。)

北斗の拳も大好きだったのだが、クール過ぎるケンシロウに比べ、この作品の

主人公「ブルー」の口癖は「ファック!」。今の少年誌ではNGワードだろうが、

当時はOK、ちょっと不良なところもカッコ良かったのだ。


そしてなによりこの第一話は感動的でもあった。



舞台は赤き惑星ティノス。

貧しくも純粋な心を持つ少年ブルーは、悪徳商人に騙され、

惑星で生きるのに必要な生命維持装置を奪われてしまう。

偶然出合った口の悪いオンボロロボット「ファッツ」により助けられたブルーは、

警官と協力し犯罪者を追い詰めるのだが、警官もまたブルーを騙しているだ

けだった。 

弱者の命などゴミのように扱われ、ブルーは無残に殺されてしまう。

絶望の涙を流し息絶えようとするブルーにファッツが語りかける。

そしてファッツは自分の身を犠牲にしてブルーの体に奇跡をほどこす。

ボロボロに崩れ落ちるファッツ。

そして、静かになったスクラップの山の中から蘇ったブルー。

ブルーは進化する人類「サイバービーイング」として生まれ変わっていた…。

惑星ティノス最古のロボ「ファッツ」の魂も受継いで・・・。




私は宝物のように何度も何度も読み返した。





また、

この新連載サイバーブルーはギクシャクしていた友人との仲も取り持ってくれた。

野球の練習に一緒に行っていた友人と、しばらく気まずい状態に

なっており、惰性で一緒に行ってはいるが、特に口をきくわけでもないという

寂しい状態が続いていたのだ。

ところが当時の「サイバーブルー」への期待感は我々のATフィールドを

あっさり突破してしまった。

我先にと堰を切ったようにサイバーブルートーーーク!!を繰り広げ、

「サイバーブルー好き少年」として同じひな壇に座ることとなったのだ。



本来であれば北斗の拳と同じくらいメジャーになるポテンシャル

を持った作品であった。

しかし、この作品は4巻で終わってしまったのだ。


原因は主人公の能力と敵にある。

主人公ブルーのサイバービーイングは物質と科学的に融合する力だ。

ハイテクバリアーも根性で融合させ武器にしてしまう。

描きようによっては何でもありになってしまう力。

スーパーすぎて何度も見てるうちにまず飽きてくるのだ。


そして対する敵は「バイオビーイング」。

遺伝子レベルで動物と融合した超人だ。

融合した生物により、クモ人間や獅子人間みたいのがいる。

登場する度に、敵は超人っぷりを披露するのだが、

冷静にみればサイバービーイングに勝てっこないのだ

クモは確かに個性出しやすいが、哺乳類だとそうはいかない。

ただただ強いだけだ。

そしてたぶん獅子が最強なんだろうなとも感付いてしまうのだ。



北斗の拳で「○○拳」「奥義○○」などと個性的な能力の魅力を

見せつけられてきたのに対し、

サイバーブルーの能力は大味」に感じられてならなかった。



あれならば、肉弾バトルモノにしない方がよかったと感じる。

能力をもっと限定的なものにし、ここぞという時の切り札を

トリックのように使わせるなどの工夫が欲しかった。

まあ、小細工なしの漢の戦いではなくなってしまうけど・・。



非常に惜しい。