皮タレ焼き。

だいぶ完成に近づいたっぽい。

カリっとしつつ、タレの味を楽しむ。

この共存って難しいっすよ。

水と油ですから。

山椒を効かせて。

ああ美味しい。

そしてどこかジャンキー。

やっぱり皮焼きはジャンキーじゃなきゃね。

焼鳥屋さん以外の飲食店の方々から褒められると嬉しい。僕が褒められるというより、焼鳥というジャンルそのものを褒められると嬉しい。

老舗フレンチのオーナーマダムから「焼鳥は凄いよね〜。お鮨と違ってちゃんと仕事してるから。アタシ焼鳥の方が凄いと思う。」と言われた。素直に嬉しい。

でもお鮨屋さんもちゃんと仕事してると思いますよ_:(´ཀ`」 ∠):

ただ魚切ってシャリの上に乗せてるだけじゃないんですから。

先日、焼肉屋さんはあまり焼鳥に活かせる要素が無いから足を運ばないと書いたんですけど、別に焼肉屋さんが仕事をしていないなんて思ってはいません。

素人が焼いても美味しいように肉をカットする。

その肉質を見極めてもっとも適した厚さにカットする。柔らかい和牛だからといって厚ければ厚いほど良いというわけではありません。最高の噛みごこち、口の中に広がる旨味。そこでも塩梅が求められます。

「厚切り牛タン」って言われるとメッチャテンション上がるけど、それが硬い牛タンでは意味ないでしょ？

素材の性質を見極める。

それは初めて会った人の性癖を見極めるのと同じぐらい困難な事です。

さて。

最近。ふと。

私は和食として焼鳥をやっているつもりだったのですが、和食は何かを考えていたら、焼鳥は和食では無いなぁという結論に達しました。

焼鳥は和食じゃない。

もちろん洋食でもない。

焼鳥は焼鳥だと。

そう思いました。

四季を感じる料理が和食であるべきだな、と。

だから季節感の無い焼鳥屋さんは和食では無いなぁと。

旬のものしか使わないってなったら「ねぎま」は無くなるし。椎茸、銀杏、獅子唐。

僕なんて大好きだから赤茄子を年中焼いてますよ。

だってどの野菜も年中あるんだもん。

「またこの季節が来たな。」

「まだホタルイカ小さいね。」

そんな会話が生まれるのが和食だなぁって思うんです。

「夏だから、鶏が痩せて来たね。」

なんて会話は無いし！

日本一の「鳥しき」さんだって年中オクラ焼いてますから。

日本一の焼鳥屋さんがそうなんだから、やっぱり焼鳥は和食じゃない！

焼鳥は焼鳥だ！

そんな焼鳥屋さんにもいろんなスタイルが有って、鳥しきさんのスタイル「近火の強火」だとオクラのような野菜はメチャクチャ活きると思う。

僕の炭の組み方だとオクラのポテンシャルは引き出せないです。

じっくり焼いた方が良いものと、強火で一気に焼いた方が良いものがあります。

だから私は赤茄子をじっくり焼きます。

だいぶ前に媛っこ地鶏の肉と皮の間に紫蘇を挟んで串打ちしたものを焼いてみましたが、僕のようなじっくり焼きだと紫蘇の香りが飛んじゃうんですよね。脂と炭の香りに負けちゃうし。

ああ。これは強火の前方排気のお店の方が向いているなぁと。

ちなみにその焼鳥をSNSにアップしたら、某焼鳥店の大将から「ウチの焼鳥を勝手にパクらないでくれ」とクレームを頂きまして。「は？」と思ったのですが、まぁ、不愉快にして申し訳無かったなぁ、なんて思いました。

でも後日、私を日曜の貸切営業でこき使って下さる(冗談ですよ。)、焼鳥大好き清水さんのFacebook投稿で何処かの老舗焼鳥屋さんの写真が上がってて

うん。

やっぱり。

あるじゃん。

こういうの。

何で私クレーム入れられたんだろう。

何であの人自分がオリジナルだと思ったんだろう。

こっちのが老舗だし。

人のふり見て我がふり直せ。

なので自分は自分がオリジナルのものなど無いと思うようにしようと思いました。

素材の声を聞いて、性質を見極める。

そしてそれに対して素直に串打ちをしよう。

若鶏のハツ、媛っこ地鶏のメスのハツ、媛っこ地鶏のオスのハツ。僕は全部打ち方を変えてます。全部、味や食感が違うからです。

先月の日本ピノ・ノワールサミットで三軒茶屋「ろんど」の狩野さんに言われました。「サキのやつがヌマノーさんのブログ読んで勝手に串の打ち方を変えてきたりすんすよ〜」と。

なんか嬉しいですよね。

そこで「勝手にパクんなよ！」とは１ミリも思いません。

むしろ、勝手に串打ち変えられたら狩野社長困るよね、ごめんなさい、って感じですよ。

いざ営業中に焼鳥を焼こうとして、勝手に串打ちの形が変わってたら私ならブチ切れます。

土曜日、私の相方の森さんが広尾の「ode」へ行ってきました。ランチに夜のコースをドリンクペアリングで楽しんできたそうです。

私は森さんがそこへ行ってしまう事が少し、怖かったのです。

パーラー江古田へ行ってから取り憑かれたかのように自然酵母のパンを作っては焼いて、作っては焼いて、

発酵のピークが来たからと言って営業中なのにパンを焼きだしたり。そして仕上がりに不満げ。(美味しいのに)

「うーん。酵母の完成までに半年は掛かるなぁ。」

もう。やめてくれや。目を覚ましてくれ。ウチは焼鳥屋だ。

叫びたいのを我慢している(たまに叫ぶ)

そんな森さんが今もっとも注目を浴びているオードさんに行ったらどうなってしまうのか。

取り敢えずしばらくお通しにドラゴンボール作りだす事は間違いないなと、それぐらいの覚悟はしていた。

が、なんか違った。

料理やサービス、パフォーマンスにもちろん感動しつつも。

「焼鳥も負けてない」と素直に感じたらしい。

もっとコースを煮詰めたり、見せ方、伝え方を変えるだけで自分たちにももっと可能性がある、そう思えたらしい。

なんか嬉しいな！

そんなオードさんは年末に忘年会でウチに来てくれておりました。平日に貴重なお休みを取って頂いて。生井シェフ以外は本当に若くてピチピチしておりました。

焼鳥界にもやる気に満ち溢れたフレッシャーズの波は来ないもんかと思いました。

そんなオードで森さんがご挨拶で名刺をお渡ししたら、

「ヌマノーさんのお店の方でしたか。」と言われたらしい。

アベさんのお店なんですけどね。

僕、ただのサラリーマンです。

でもそう言って頂ける事自体好きにやらせてくれているボスに感謝すべきだし、そして自分自身に対しても自尊心を持つべきだし。

この世界は何かを発信すれば、受け止めてくれる人がいる、その事に深く感謝すべき。たまにクレームも頂きますが。笑

オードのソムリエの方と、生井シェフに森さん言われたらしい。

「次回は皮を２本食べたいです。」

その言葉だけで生きていけるわ〜

焼鳥は和食か？