子供のADHD(多動症・注意欠如)を改善に導く音楽療法の事例

子供のADHD(多動症・注意欠如)を改善に導く音楽療法の事例

発達障害児専門の音楽療法修士による、音楽療法活動の事例を紹介しています。

現在、少人数グループに参加している椅子に座るのが苦手なお子様が、音楽療法を数回継続した後に、自ら椅子に座る回数が増えてきました。 

(掲載許可を得て記載しております)  

 

環境設定を変えることで苦手が得意になるかもしれない

 

このお子様は、普段の集団活動ではなかなか自ら椅子に座ることができずに、周りの大人たちが椅子に座らせることを促すことが多いとのことでした。 

その話を聞いた私は、もともと置いてあるものが少ない音楽療法を行う場所のものをさらに極限にまで減らし、部屋には椅子とピアノのみという状況で活動をすることにしました。 

すると、すぐにではないですが、この環境で繰り返し音楽療法を活動を行うことで、次第にお子様自ら椅子に座る回数が増えました。 

そして、今では私が「椅子に座ってください」というと、指示通りに椅子に座ることもできるようになってきました。  

 

適切な環境に音楽を加えることでより成長できる環境へ

 

このお子様のように、普段過ごす幼稚園や保育園などの大人数で過ごす環境では、物や人が多く、椅子に座るよりも気になるものが多すぎてしまうため、なかなか着席することができないケースはあります。 

そんなお子様には過ごす環境に置いてあるものを極限にまで減らすことで、今、どこでなにをするのか指示が理解しやすいような環境を設定すると、苦手だった椅子に座ることもスムーズにできるようになる場合があります。 

さらにそこに音楽活動が加わることで、着席時間を長くし椅子に座ることに慣れていくことにつながるきっかけにもなります。  

 

楽しいから身につく。続けられる。

 

音楽療法の1番の魅力は、楽しみながら社会性を身につけられること。 

楽しいから継続して取り組みやすくなり、楽しいからもっとやりたいと思えます。 

お子様が理解しやすく、集中しやすい環境で音楽を行うことで、苦手なことを得意にしてみませんか? 

 

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個別音楽療法を受講されているお子様の保護者様より、

「喋るというか声がすごい出るようになりました」

とご報告をいただきました。 

(こちらは掲載許可を得て記載しております)  

 

お子様の持っている力を音楽活動で引き出す

このお子様の場合、体を動かすのが大好きでたまらない様子が初回セッションから伝わってきたので、感覚統合を組み合わせた音楽療法活動を行いました。

 それがこのお子様にとって非常にフィットしたようで、このセッションの後にいつも以上に声が出るようになったとご連絡をいただきました。

 音楽療法では、お子様一人ひとりに合わせた音楽活動を行います。

 今回ご紹介したお子様は、感覚統合✖︎音楽療法の活動を行い、それが発声につながりましたが、このやり方で誰もが発声につながるというわけではありません。 

もしかしたら楽器活動かもしれないし、歌唱活動かもしれない。

 しかもそれが発声ではなく、何か別の刺激となって別な形でアウトプットするケースになるかもしれない。 

音楽療法は「自閉症の子には〇〇の音楽が効果的」という症状に対して決まったアプローチをするわけではありません。 

どのような音楽活動がその子の持つ力を引き出すことにつながるのかは、音楽療法士がその子をよくみて、観察をし、実践を繰り返すことで見えてきます。 

そのためには音楽的な技術だけではなく、音楽療法や障害に関する知識、そして何より経験が必要です。

 一度、音楽療法修士による音楽療法をあなたも経験されてみませんか?

 

 

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私は個別の音楽療法だけではなく、少人数のグループによる音楽療法を実施しております。 

少人数グループによる音楽療法では、さまざまな障害や特性などを持ったお子様たちが同じ活動に参加するのですが、時折、障害や特性を理由に順番を守れないお子様が参加するケースがあります。  

 

順番を守れるように音楽をその子に合わせた形で提供する

 

これまでそのようなお子様が参加される場合には、歌の4小説ごとにツリーチャイムを順番に鳴らす活動を行うなど、見通しが持ちにくいお子様もいつか必ず自分が楽器を鳴らす番がやってくるという環境を作って、順番を守る練習を行います。 

最初はなかなか順番を待てないお子様がほとんどですが、繰り返しこのような活動に取り組むことで、徐々に順番を待つことを覚え、お子様によってはトイレの順番やおやつをもらう順番などの日常生活でも順番を守れるようになる場合があります。  

 

言語理解が難しいお子様でも、音楽なら非言語で伝えられる

 

言語理解が難しいお子様も、順番を守れるようになる場合があります。 

お子様を対象とした音楽療法では言語を使わないことがほとんどです。 その代わりに、くり返し同じ歌を歌って歌の構造を覚えてもらいやすくしたり、順番がいつか来るという体験を踏まえながら、一人一人のお子様に合った構造化を音楽で行うことで、順番を守れるように導きます。 

そんな音楽療法を体験したい方は、お気軽に音楽療法体験にお越しください。

 

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初めての場所や人に対して不安が強く、ずっと泣いて過ごすことが多かったお子様が、音楽療法に3回ほど参加をすると、次第に泣く回数が減り、今ではお友達と一緒に楽器を鳴らす活動に参加するまでになりました。 

(掲載許諾をいただいて、記載をしております)  

 

不安が強い子供には気持ちに寄り添うことがカギ

新しい場所でも平気でいつも通り過ごせるお子様もいれば、少しでも見慣れない場所や人を見るだけで一気に不安を感じてしまい、動けなくなってしまうようなお子様もいます。

 後者の不安が強いお子様に対して、私は絶対に無理に参加させるようなことはしません。

 その代わり、その子の不安に寄り添うような音楽を、即興で奏でます。 

よく、児童を対象とした音楽療法では、トトロの「さんぽ」のような明るくポップな音楽しか使わないと思われる方もいらっしゃいますが、音楽療法では、子供だから子供っぽい曲を使うという固定概念はありません。 

音楽のいいところは、言葉にしにくい感情や思いを、音に乗せて表現できること。

 このお子様は最初、セッションルームに入ると大泣きしていましたが、そんな子供に優しく寄り添いながら、気持ちに寄り添うような音楽を即興で演奏し続けました。 

優しくも悲しい、ゆったりとしたテンポのマイナー調の音楽を繰り返し演奏することで、徐々にお子様の泣き方が落ち着くことができました。  

 

自分を受け入れてくれる環境が不安を和らげる

音楽療法開始3回目。 いつも通りに泣きながらの入室でしたが、いつもと泣き方は異なりました。 

講師が挨拶の歌をウクレレで優しく歌いかけると、「これから音楽活動が始まるのかな」と思ったようで、自ら泣き止み、そして挨拶の歌の途中で名前を呼ばれると、笑顔を見せてくれました。

 音楽療法は不安が強いお子様を対象に行う場合は、なれるまで同じプログラムを繰り返し行うことがあります。 

それは数回同じ活動を繰り返すことで、だんだんと「やったことがある」という過去の経験から、徐々に不安が減ることにつながる場合があるからです。 

このお子様も3回ほどですぐに活動に慣れ、気持ちを自ら切り替えて参加できるようになりました。 

これからどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。

 

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先日、児童を対象に行った音楽療法にて、「いつもは落ち着きがないんです」と親御様やその子に関わる保育者などから思われているお子様が、音楽療法セッション中に3分間もその場から離れず、じっと太鼓演奏をする様子が見られました。 

(掲載許諾をいただいて、記載をしております)  

 

「子供が落ち着かない」というのは本当なのか?

音楽療法を受けられるお子様の中には、いわゆるADHDの特性とも言われる落ち着かないことを理由に参加されるお子様がいらっしゃいます。 

例えば、保育園や幼稚園などの集団生活の中で、先生のお話を聞くときにじっと椅子に座っていられなかったり、活動中にその場を離れる、いわゆる離席をしてしまうお子様に対して、「落ち着きがない子」と感じられるケースが非常に多く感じます。

 ですが、果たしてそれは本当なのでしょうか? 

音楽療法を学ぶ中で、先入観を持ち過ぎずに取り組むという話を受けたことがありますが、私は音楽療法を始めて受けられるお子様に関する情報は、必要最低限しか聞きません。

 なぜかというと、あまりに様々な情報を保護者様や保育者、幼稚園教論の方々から聞くと、先入観でその子を見てしまい、客観的な視点でお子様を見ることができなくなるからです。

今回、この事例のお子様に対しても、必要最低限な情報のみ聞いて、すぐに音楽療法活動をしました。 

すると、セッション3回目以降からどんどん意欲的に参加するようになり、ついに先日、3分間もその場を離れずに太鼓演奏をしたのです。  

 

適した環境を作るだけで、落ち着かない子ではなくなることも

先ほどあげたような【落ち着かない子】と思われる子がそのように見られる理由は、100人いれば100通りです。

 ですので、どんな音楽をすれば落ち着くのか、というテクニック的なものはありません。 

ですが、やるべきことは、その子にとって集中しやすい環境で、その子が「やりたい!」と感じる楽器を用いて、その子に適した即興演奏を行うことで、その場にとどまり活動できることにつながるケースがあります。 

今回の事例もまさにそうで、その子にとって集中しやすい環境で、その子が好きな太鼓という楽器を準備し、その子が奏でる音に適した即興演奏を行うことで、3分間も集中して演奏することができました。 

おそらく、今後も音楽療法を継続していくことで、ますます集中力が伸びる可能性があります。

 音楽療法士として、今後の成長が非常に楽しみです。 

 

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