ブラック・サバスにロニー・ジェイムズ・ディオを復帰させて制作された
"Dehumanizer"でしたが、80年代のディオ期のサバスとは異なる路線が不評だったため脱退。
トニー・マーティンが再度復帰して本作が制作されました。
以上の経緯もあり音楽的にも様式美路線ですが、
コージー・パウエルの復帰まではいかずドラムを叩いているのはボビー・ロンディネリ。
何げにサバスもレインボーと人的関係が深いバンドであることを再認識させられる一件です。
ボビーのダイナミックな叩き方が想像されるドラムにギーザ―のヘヴィネスなベースが絡むことで
独特なグルーヴが生まれていますが、次作"Forbidden"ではコージーとニール・マーレイが
復帰するのでまさに本作だけのリズム隊だったのです。
本作は様式美路線一辺倒というわけではなく
"Virtual Death"のようなヘヴィネス志向の曲も存在しています。
「ヘヴィじゃないとアメリカで売れないが、ヘヴィにすると従来のファンから支持されない」
というジレンマを感じます。
この世はままならないものです。
90年代のサバスはどのような路線を志向すればよかったのか?
恐らく永遠に答えの出ない問いだと思いますが、
本作もその試行錯誤の一つであったと今では評価できます。
余談ですが、本作のアートワークは陰陽座の『夢幻泡影』のオマージュ元とされています。
音楽的にはそこまで似通っているとは思えませんが、何が瞬火を駆り立てたのでしょうか?