幕末と並んで人気のある戦国時代の中でも織田信長・羽柴秀吉・徳川家康の出身地である東海地方は一般人気のみならず、研究の進展も著しい地方でもあります。

 

しかし、三英傑と呼ばれる彼らと関係が深い武将に関しては『織田編』『豊臣編』の敢行が予定されているので、本書は信長の父・信秀や弟・信成(信勝)、家康の父や祖父である松平清康・広忠親子など、彼らの台頭以前の武将に焦点を絞った列伝となっています。

といいつつ、信長に仕えた安藤守就や稲葉良通(一鉄)のような武将も立項されています。

 

そうした中で、印象に残ったのは近年の研究の進展です。

今川義元の母として今川御一家衆である蒲原氏徳の娘と系図から判明したり、

大河ドラマ『おんな城主直虎』放送時に新たな説として提示された「井伊直虎=関口氏経の息子」説も更なる進展があり、新野左馬助との姻戚関係も考慮して氏経の立場を考えると「井伊を守るために直虎を婿入りさせたのでは?」と当時とは違った印象を受けました。

 

ともあれ、最新研究を取り入れた武将列伝を読み、認識のアップデートを図っていきたいものです。