関東の戦国時代は1455年の享徳の乱から始まったとされ、

一般に知られている応仁・文明の乱よりも12年前から戦乱が続いていたことになります。

 

本書はその享徳の乱を起点に、天文年間(1532~1555)までに主要な活躍が見られた51名の武将を取り上げています。

 

当時関東の中心となる武家は鎌倉を離れて下総国古河を拠点とするようになった公方足利氏と

関東管領を代々務める上杉氏。

公方家の足利成氏・政氏・高基・晴氏に始まり関東管領山内上杉顕定やその家宰である長尾忠景・景春、扇谷上杉氏の定正やその家宰で知名度の高さに定評のある太田道灌、

千葉・三浦・小山・結城・宇都宮・佐竹といった鎌倉御家人の末裔や

岩松・里見などの足利一門、名前のインパクト抜群の武田信長も立項されています。

 

一方で戦国時代後期の関東の中心と言える小田原北条氏からは初代の伊勢宗瑞のみが立項されているという状況です。これは編者が優れた単著を著していることもさることながら、幅広く関東の戦国時代に目を向けて欲しいという方針からですが、その結果一般的な知名度はそれほど高くない武将が多く立項されている状況です。(そもそも戦国時代の前半自体がマイナーな時代ですが)

 

その価格と分厚さと内容のマニアックさから、室町沼の住民でなければお勧めできませんが

関東戦国氏を深く知るしるべとしての活用はばっちり。

それにしても安房里見氏はいつから房総を拠点にするようになったのでしょうか?