2023年大河ドラマ『どうする家康』の考証を担当した「戦う歴史学者」の異名をとる著者が、
かの名著『武田氏滅亡』以降の武田勝頼に関する新知見を取り入れつつ、
徳川家康側から見た勝頼との闘争の歴史(信玄生前~武田氏滅亡まで)を概説しています。
家康の生涯最大の強敵は武田信玄という印象が強く、それは事実ですが
勝頼も家康が嫡男・信康を死に追いやった「信康事件」を起こすほどに家康を追い詰め、
その最大版図は信玄時代をも上回るものであることはもっと評価されてもいいでしょう。
本書はその内容からも『徳川家康と武田信玄』と合わせて読むことを推奨しますが、
いずれかだけを読んでも支障はありません。
家康と武田氏の関係のみに注目して知りたいという事であれば、
武田氏滅亡やそれ以降に家康が武田氏をどう扱ったのかまでを範疇とする本書の方がいいでしょう。
先ほども少し触れましたが、本書では武田氏滅亡後の家康が武田氏をどう扱ったのかにも触れており、本能寺の変後家康が武田旧臣を積極的に登用したことで、領土の拡大による人材難を乗り切ったという実態が浮かび上がってきます。
やはり知識や技能を持った人材というマンパワーは組織の源泉なのです。