NHK大河ドラマ『どうする家康』の考証担当の著者がドラマ制作発表より前に著した家康の評伝です。

 

現代の家康研究の成果を基に、「中世から近世へ」シリーズに最もふさわしい人物と言える家康の生涯をまとめています。

 

家康の家臣・大久保忠教の著した『三河物語』をはじめ(というより元凶?)、これまで家康の生涯を語る際に取り込まれていた「松平・徳川中心史観」を廃し、

本書発売前後の大河ドラマである『真田丸』や『おんな城主直虎』で境目の領主に注目が集まっており、家康も当初はその一人であったことから国衆という視点で家康や徳川氏の動向をとらえ、

戦国時代の政治構造を前提に織田信長・羽柴秀吉よって成し遂げられた「天下一統」の実態をとらえ、同時期の家康が最終的に天下人・江戸開幕へと至るのかという観点で本書は家康の生涯を評しています。

 

『どうする家康』も、序盤は境目の国衆といううまく大勢力の間をうまく遊泳しながら生き残る国衆としての家康の姿を描いており、考証担当の一人が著した本書はまさにその副読本として最適な一冊と言えます。