下北沢のロックバンドを扱ったアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』をきっかけに邦ロックに目覚めた人もいるでしょうが、

僕が聴き始めたバンドはこのマーガレット廣井が主犯格を務める八十八ヶ所巡礼だけです。

 

作中に登場する廣井きくり及び彼女が率いるバンド"SICK HACK"は八十八ヶ所巡礼が元ネタとされ、

以下のように評されています。

観客に酒吹きかけたり泥酔しながらのライブ
顔面踏んでもらった
実力あるのに売れない
バカテクバンド
大衆にうけたら世も末
洗練されたファンしかいないヘンタイバンド

インディーズでは結構人気
サイケ
見失いそうになる変拍子を完璧に叩くドラム
感情的な それでいてロジカルなギター
そして全てを支えるベースの音の壁
でも・・・何よりすごいのは
お姉さん(廣井)の圧倒的なカリスマ性・・・!!

これらの評価は、八十八ヶ所巡礼にそのまま当てはまることが本作を聴けば良くわかります。

ともあれ、僕自身この『仏滅トリシュナー』のMVを視聴してそのあまりに変態的な演奏力にやられてしまった一人なのです。

 

かなり速いテンポなのに、恐らくワンバスシングルペダルで延々八分音符を踏み続けるドラム、

(樋口宗孝もワンバスシングルペダルで速いテンポの八分音符を踏むパターンを"CRAZY DOCTOR"でやっていますが)

イントロからタッピングで入ってくるバカテクなギター、変態的なフレーズでリズムを生み出すベース

そして何より、マーガレット廣井の圧倒的な怪しさ!

「人間椅子って、王道のハードロックバンドだったんだな」

と改めて思いました。

 

 

CDの帯コメントには「ネオサイケデリックプログレッシブ革命の到来!!」とありますが、

変態と呼べるレベルのテクニックと、様々なジャンルを混ぜたカオスぶりはかなり癖が強いので、

ハマる人にはたまらないタイプの音楽です。

 

あと、プログレというと少ない曲数でやたら長い曲が多い(EL&Pの"Tarkus"は表題曲が20分超え!)

という印象がありますが、八十八ヶ所巡礼は割と短い曲が多めで、その意味でも異色な印象です。

 

あえて言うなら、後藤マスヒロ在籍時代の人間椅子のプログレッシブな音楽性に、

演奏の変態度を足したような感じでしょうか?