2022年秋アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』のソングアルバムです。

ただし、主人公が所属する結束バンドのアルバムという体で作成されていますので、

その他のバンドの曲は入っていません。

 

アニメの曲集を買ったのは『しろくまカフェ』以来です。

購入を決意したのが12月1日のことですので、それだけ直前に放送された8話の印象が強烈だったという事だと思います。

 

 

収録曲を大きく分けると、OP(1.)ED4曲(3. . 10. 14.)、劇中曲4曲(5. 7.12.13.)で残り5曲は未使用曲(劇中曲候補とみられる)。ただし13.は本PVで使用。

 

OP曲である1.The 主題歌な印象の曲です。

もちろんぼっちちゃん(後藤ひとり)のキャラクター造形が解像度高く反映されており、

ある意味キャラソンですが「このアニメはこういう内容です」という事を示しているので主題歌ですね。

 

 

劇中曲のうち5.7.は原作でタイトルのみ登場。他の曲にも言えることですが、この4曲は作中では作詞:後藤ひとり、作曲:山田リョウという設定で披露されていることからも明らかですが作詞者の作品解像度が高く、本当にぼっちちゃんが作詞したような出来栄えです。

 

5.は歌詞にぼっちちゃんが年中芋ジャージな理由が表現されていると感じます(中学時代は着ていた制服を着ない理由にはなりませんが)。8話で使用されたものは本作に収録されたものとは異なり、ドラムをわざと下手に演奏しているテイクと差し替え、歌もアフレコスタジオでズレてる音源を聴きながら本作の音源とは別に収録するなど、場面に合わせた調整がなされています。

 

 

7.はオフィシャルビデオのイメージが踏切の前に立つミステリアスな美少女は誰ですか?山田ということもあり、ストーリー的にも自分たちの個性を殺してしまった前バンドを脱退した山田の過去をぼっちちゃんが反映させて作った歌詞(もちろん自身の青春コンプレックスを刺激される歌がダメという感情も反映されていると思いますが)という感じがします。ドラムのパワフルさも印象的で、虹夏が最終話で筋肉キャラにされてしまうのも納得です。

 

 

11.はギターリフから始まる疾走感のある曲で、爽やかさもあるので文化祭の一曲目にはちょうどいいのでしょう。作曲と選曲した山田には過去に文化祭をお通夜に変えたことを夢に見る程引きずっているビビリな一面もあるので、

 

 

12.はかなり毛色の違う曲でありながら本編でも大きな意味を持つ曲ですが、それでいて原作で登場した演出がうまくハマっているのがアレンジャーの技量の高さをうかがわせます。(原作でのぼっちちゃんの必死な表情を見る限り、もっと激しい曲を連想していたのですが)

この2曲が入ることにより、原作では3曲しかなかったオリジナル曲が4曲存在することになりますが、2期を進める上で大きな障害にはならないでしょう。

 

 

ED曲は結束バンドの曲キャラソンの要素が強く、特に10.では「青春でなにが悪い」というぼっちちゃんが書きそうにない、(青春コンプレックスが発動して吐く可能性が高い)歌詞が登場する(曲自体も他の曲よりアニソンっぽい。そもそも本編で虹夏は「歌は下手」と明言している)。

14.は結束バンドのメンバーの名前の由来にもなっているASIAN KUNG-FU GENERATION1ミリも知らないバンドですね)の楽曲のカヴァーです。

 

 

 

 

 

この後の歌詞が「角を曲がって見えなくなった」なので、

ぼっちちゃんの魂は置いて行かれたのでしょう。

 

未使用曲については、どの曲が本編で使用されても不自然ではないながらも、

お蔵入りにせず全曲収録した(と思われる)意図が読めません。

2期を意図していないので、できた曲は全曲惜しまず出したという感じでもないと思うのですが・・・・

13.に関しては最終回放送後に公開された本PVで使用され、物語を振り返る意図で流れる曲という印象が感じられます。

一方で、ぼっちちゃんに興り得るifルート(通称・ストロング虚無ルート)で「なんだかんだでキラキラしていた高校時代を振り返る」歌詞と解釈しても違う意味で泣けます。

 

 

アルバムの流れとして10.から11.の青春に対する解釈が真逆というのも、狙ってやっている事でしょう。(だからこそED曲は当初より本編で使用されることのないキャラソンとして制作されたと考えられます)

 

ギターソロどころかイントロもない曲が幅を利かせる時代に、リードギターをフィーチャーした楽曲ばかりで構成されたアルバムを出してきたことに意義があると思っています。

その理由はギターヒーローを主人公にしたアニメという事が一番大きいのでしょうが。

 

本作で一番重要なのは、アジカンをはじめとする邦ロックを1ミリも知らなくてもハマる、ということです。

(原作が当ブログの方向性とはかなり離れているバンドから影響を受けたマンガであることは明らかです)

 

アニメで2期が始まれば確実に登場するバンドSIDEROUSの作詞・作曲を大槻ケンヂが担当したなら、それはそれで面白そうです。

 

余談ですが、ぼっちちゃんの設定として「洋楽に関心がない」というものがあります。

これは原作者の理解が及んでいない領域だからでしょうか?

日本のバンドに関して言えば筋少がありなら人間椅子もいけるはず、

というか人間椅子こそぼっち向きな日本語で歌詞を書いた音楽でしょう。

 

2期で登場する予定のぼっちちゃんが披露した歯弾きは、和嶋慎治もやっています。

 

編曲者・プロデューサー・喜多育代役の長谷川育美による座談会も参考になります。

 

 

 

 

各曲の「この曲を聴け」はこちらから