15世紀の関東を代表する武将・太田道灌がメインですが、

彼が主君である上杉定正に殺害されるに至るまでの彼の生涯のみならず、

その背景となる時代を叙述しています。

逆に言えば、道灌の生涯は当時の関東の状況と連動しており

(その渦中に同館が生きていたのだから当然ですが)、

複雑怪奇でつかみにくいという事です。

 

第一章の大乱の背景からして、鎌倉時代からしっかり説明しているあたり、

本気で享徳の乱がそれ以前の関東の情勢と連動していることが明らかであると言えます。

 

このややこしくてたまらない関東に首を突っ込むことになってしまった伊勢新九郎盛時は
本書の解釈においても災難な人生を歩んでいると言えます。
(週刊スピリッツに掲載された『新九郎、奔る!』最新号で道灌が第一集に登場した
土研の島崎くんはイルカの曲芸似の男であることが明らかになりました。
果たして新九郎と道灌の邂逅はあるのかが気になるところです。
もっとも、駿河編でなければその機会は永遠にありませんが・・・・)
 
越後守護上杉家から山内上杉家に養子で入る者がいたり、
その守護代である長尾景虎が山内家を(実質名前だけ)継承したりと、
北陸の一部でありながら越後が関東に密接に絡んできていることもわかりやすく描かれています。