正式メンバーとして黒田朋幸が加入したD.T.Rのセカンドですが、
前作より泰司の作曲は減少しています。
(どちらかと言えば、メンバー全員で作曲しているという印象です)

レコーディングにはドラムに元X-RAYの高橋"ROGER"和久と
プロデューサーでもある小森茂生が参加。

冒頭からタッピングが入る、オープニングにふさわしい勢いのあるスピードチューンの"BORDER LINE"に続き、
藤本らしいアメリカンな"I BILIEVE"では、
一曲の中で竹内が幅の広いヴォーカルを披露しています。

TOMO作の"KILL TRAP"はタイトル通りヘヴィでスローなグルーヴの曲で、
そのヘヴィさが残虐さを演出しています。

"ALL PHENOMENA'S REALITY"は浮遊感があるのに、
「全ての事象は現実だ」と訴えています。

"ODIC FORCE TAKE-1"はバンドによるインスト曲。
泰司もスラップを使用するなどメンバーの技量を示しつつ、
ここで一旦流れを切って後半へと突入していきます。

一転して穏やかなアコースティックの"ON THE ROAD"へ。
「いつだって希望はある。走り疲れたら歩いたっていいじゃないか」
そんな前向きなメッセージに癒される。

"DESERT RIVER"の泰司らしく物哀しげな音階は、
砂漠を流れる河のように乾いた人間の心そのものでしょうか?

そして、砂漠の河はシングルカットされた"CHAIN <絆>"へと辿り着きます。
待ち人は今も待ち続けているのか、それは誰にも分かりません。

明るいメロディとは裏腹にヘヴィで退廃的な歌詞の"UNDERTAKER"。
中近東風のイントロが印象的な
"KALEIDOSCOPE -MAGICAL SENSE DOORS-"は、
宗教じみた歌詞といい、一体TOMOは何に影響されて
この曲を書いたのか気になるところだ。

三部作の第二章である"VOICES FROM THE DEAD ~誰が為に~"。
壮大な楽曲は新たなドラマの始まりなのだろうか。

D.T.R時代の泰司は、どっしりとボトムを支えるプレイに徹しています。
本作でもその傾向は顕著ですが、図太い音で自己主張しつつ
隙あらばテクニカルなプレイも盛り込んでいます。

余談だが、僕の聴いた最初のD.T.Rはこのアルバムでした。
当初はこのバンドのカラーというか、アメリカンなグルーヴの良さといった
部分が判らず、XやLOUDNESSと比べると割と大人しいバンドサウンドということもあり、
「哀愁のある曲はあるけどイマイチだな」と思っていました。

ファーストアルバムを聴いてD.T.Rの核になっているものを理解した上で
聴いてみると、正統進化と言えるかはともかく、
同一線上にあるアルバムである事は良く分かりました。
要するに数年かけてやっとお気に入りのアルバムになったわけです。



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