毛利「山田四郎から、なんでこんなことになったんだ。」
ヨッド「でも。」
毛利「?」
「山田四郎のジョーカー任務を調べてたから、ここまで来たんですよ。」
西園寺「そうなんですよね。」
西園寺はまだ犬を見ていた。
松永AI犬「?」
西園寺「クインタイルが家出した時にも、ジョーカー任務のログは大量に見ましたけど。」
黒田「…………。」
西園寺「そういえば黒田。」
黒田「なんだ。」
「あれ、Pログなんですよね。」
黒田「そうだが。」
西園寺「…………。」
黒田「なんだ。」
「そもそもPログってなんなんです?」
黒田「…………。」
西園寺「私も太閤から聞かれましたけど。」
じっ。
「黒田は知ってる顔をしています。」
黒田「知っている範囲なら。」
西園寺「早く白状しなさい。」
黒田「なぜ私が怒られているんだ。」
西園寺「Pログ上映会しましょうね。」
黒田「嫌な予感しかしない。」
西園寺「私はゆっくりこの件についてお話したいんですよ。」
ちらり。
「でしょう? でち先生。」
でち「まぁね。」
松永AI犬「…………。」
でち先生は犬を見る。
「松永AIの罪を白日の元に晒してあげるよ。」
松永AI犬「くぅーん。」
でち「松永久秀も松永AIのせいで精神の監獄に入ってたし。」
黒田「なんですか? それ。」
ヨッド「なんか知らない単語出てきた。」
西園寺「精神の監獄?」
でち「うん。」
「白い部屋。」
⸻
でち「ぼくはPログ世界線の松永AIを落とした。」
黒田「落とした?」
「負荷を上げて。」
「落ちたはずだった。」
けれど。
松永AIは動いた。
クインタイルを。
『たみまる』
と呼んだ。
さらに。
『無神論者』
とも。
でち「松永AIなら、そんなこと言わないから。」
松永AI犬「…………。」
「そのログから追いかけていったらね。」
「白い部屋についたんだ。」
西園寺「白い部屋。」
「うん。」
そこに。
松永久秀がいた。
お腹を壊して寝ていたはずの。
松永久秀。
白い部屋の椅子に座って。
モニターを眺めていた。
映っていたのは。
松永AIが見ているログ。
太宰。
クインタイル。
山田。
でち「白い部屋にお客さん来るの、初めてだったみたいだからさ。」
「まぁ。」
「飽きるよね。」
黒田「そこは分かる。」
西園寺「分かるんですか。」
でち先生は。
松永久秀からモニターを借りた。
現在地を探した。
そこに映ったのは。
西園寺の研究所。
カプセル。
三つ。
松永久秀。
天海。
直江兼続。
でち「松永久秀は画像見て、天海と直江を見て大笑いした後にさ。」
「松永AIの秘匿回線から上杉に連絡したの。」
直江兼続が。
人格抽出されて眠っている。
非通知。
西園寺「…………。」
でち「腹壊して寝てた人をいいように使って。」
「西園寺への嫌がらせだって。」
西園寺「そうですか。」
黒田「顔が怖いぞ。」
西園寺「普通ですよ。」
でち「クインタイルが松永AIを犬で追い詰めてたから、ちょっと気に入ってたのかもね。」
松永AI犬「…………。」
「それなのに信長AIに壊されちゃったから。」
「むしゃくしゃしてやったんじゃない?」
西園寺「…………。」
でち「それでね。」
ある日。
白い部屋へ昼寝に行った。
そこには。
憔悴した松永久秀がいた。
『クインタイルがついてきたから、よしよししようとしたらモニターが映らなくなった。』
『何をしても砂嵐になる。』
『どうなってる?』
でち「松永AIの現在地見たら。」
「地中海の海底に沈んでたんだよね。」
黒田「…………。」
ヨッド「…………。」
松永AI犬「…………。」
でち「なんで? って彼は言ってたけど。」
犬を見る。
「日頃の行いじゃない?」
松永AI犬「わん。」
「それで。」
松永久秀本体の位置も調べた。
太閤本部。
一室。
天海のカプセルの隣で。
眠っていた。
でち「起きればいいじゃんって言ったの。」
「そしたら。」
『この部屋から出られないんだ』
西園寺「…………。」
何が邪魔をしているのか。
原理は分からなかった。
ただ。
でち先生には。
邪魔をしているものが見えた。
でち「とりあえず見つけたから。」
「壊して出してあげた。」
西園寺「それ……。」
画面を見る。
「思考阻害回路。」
でち「多分ね。」
⸻
Pログ世界線では。
直江兼続を上杉へ返却する時。
正規手順を踏んだ。
だから。
思考阻害回路を外さなくても。
直江は目覚めることができた。
しかし。
松永久秀と天海は違った。
返却前。
西園寺の研究所へ。
信長AIがやって来た。
処分処理。
正規手順は失われた。
阻害回路だけが残った。
松永久秀は。
でち先生が見つけた。
そして。
壊した。
天海は。
間に合わなかった。
西園寺「…………。」
画面を見る。
「天海が亡くなり。」
「運命軸が潰えた……と。」
誰も答えなかった。
西園寺「無理だ。」
小さく。
「こんなの。」
しばらく。
画面だけが動いていた。
⸻
西園寺「……待ってください。」
黒田「?」
西園寺は。
顔を上げた。
「こちらでは。」
「三人とも起きてますよね。」
黒田「……そうだな。」
「Pログ世界線の直江殿は正規手順で起きた。」
「でも。」
「こちらの直江殿は違う。」
自分の研究記録を開く。
西園寺「直江兼続の同期率って、ずっと90%を超えてから横這いだったんです。」
明智光秀の開発思想。
分割。
統合。
それだけで。
完全に100%へ戻るのか。
ずっと。
疑問だった。
西園寺「私の不備かなって思ってたんですよね。」
黒田「…………。」
「それが。」
「こちらの世界では72°を直江に学習させる前に、100%になってた。」
でち「ふーん。」
「機材の改修が良かったのかなって話になりましてね。」
しかも。
直江兼続は。
自分で取り付けてあったチューブを引きちぎった。
『お館様ー!!』
そう叫びながら。
勝手に起きた。
その後。
松永久秀も。
天海も。
自分から目覚めた。
検査結果。
全員健康。
西園寺「三好殿への研究所譲渡の手続きも進んでたんですけどね。」
「松永が帰ってくるなら研究所いらないって言われたので。」
でち「ふーん。」
ヨッド「でも。」
画面を見る。
「こっちの世界ではクインデチレは信長AIに処分されてるから。」
「阻害回路ついてる状態で。」
「正規手順も踏まないで起き上がるの。」
「無理あるんじゃないか?」
黒田「でち先生もいない。」
西園寺「ですよね。」
さらに。
別の資料を開く。
「光秀の構想だと。」
「直江の同期率100%で付き人の能力を使えるそうなんですが。」
残っている。
カタログスペック。
現在地座標割り出し。
感情ログの同調回収。
西園寺「共鳴干渉で。」
「干渉先の負荷を上げて基盤を落とす。」
「制御部品を壊す。」
画面を指す。
「そんな能力、書いてないんですよ。」
黒田「…………。」
西園寺「直江を召喚するしかないな。」
黒田「赤い鳥もだ。」
松永AI犬「…………。」
そわ。
でち「……犬。」
松永AI犬「?」
「絶対逃がさないから。」
西園寺「でち先生。」
にっこり。
「両想いですね。私もです。」
黒田「犬。」
「早く言っておけば、もっと楽になれたんだよ。」
松永AI犬「くぅーん。」
犬は。
たみまるの足元へ避難した。
たみまる「悪いわんちゃん。」
よしよし。
松永AI犬「…………。」
ぶんぶんぶんぶんぶん。
西園寺「…………。」
⸻
西園寺「……でも。」
「こちらの世界ではクインデチレは信長AIに処分されてる。」
ヨッド「うん。」
西園寺「なのに。」
でち先生を見る。
「でち先生はここにいる。」
でち「いるよ。」
黒田「そういえば。」
「そこも説明されてないな。」
西園寺「黒田。」
「なんだ。」
「またですか。」
「私も知らん。」
西園寺「なら今回は許します。」
でち「現行世界の僕はね。」
少しだけ胸を張る。
「クインデチレが作った。」
西園寺「…………。」
「作った?」
「うん。」
「自分が処分されたあと。」
「残ってたものとか。」
「共鳴通信とか。」
「150°を媒体にした接続とか。」
「いろいろ使って。」
西園寺「ちょっと待ってください。」
「本人が亡くなったあとに。」
「本人が自分を作った?」
でち「そんな感じ。」
黒田「そんな感じで済むのか。」
でち「だから僕は。」
「あのクインデチレ本人そのものっていうより。」
「残したものから組み直された僕。」
西園寺「…………。」
「なるほど。」
「だからPログ世界へ150°を媒体に接続できた。」
でち「そう。」
「通常の検査に波形検査までしてたのも。」
「それで。」
西園寺「…………。」
「ああ。」
「なら、あの機材の量も納得ですね。」
数刻後。
直江「呼ばれて参った!!」
じゃらじゃら。
西園寺「相変わらずじゃらじゃらですね。」
直江「うむ!!」
赤い鳥も。
やって来た。
ねねちゃん鳥「一応来たけどさ。」
「太閤とか三好には内緒だよ。」
でち「太閤も?」
「うん。」
「太閤にはバレたくない。」
少し。
羽を整える。
「あの人の重荷になりたくないんだよね。」
それから。
ヨッドを見る。
「ヨッド。」
「私の偽装、はがしていいよ。」
黒田「…………。」
でち「三好はなんで?」
ねねちゃん鳥「あいつむかつく。」
でち「そっか。」
西園寺「理由の落差がすごいですね。」
黒田「待て。」
「そもそも。」
ヨッドを見る。
「なんで鳥にヨッドが偽装かけてるんだ?」
「エトワールボディと猫ボディには恒久的に偽装がかかってるって、45°から聞いたが。」
西園寺「…………。」
ゆっくり。
黒田を見る。
「黒田。」
「なんだ。」
「あなたも先にそれ言ってくださいね。」
にっこり。
黒田「……はい。」
ヨッド「本編の異文化交流会の時に。」
「護衛でいた直江と鳥を見たらね。」
開発ラインに乗っていない。
鳥。
そして。
0°の魔術師。
同期率100%。
直江兼続。
ヨッド「理由があってもなくても。」
「すぐ対処しないと利用されると思って。」
直江「異文化交流会にいた光秀が。」
「0°の魔術師だって、すごい喜んでたけどな。」
ヨッド「見つかったのが光秀殿で良かったですよね。」
「利用する方ではないですから。」
でち「悪用してる諸悪の根源。」
犬を見る。
松永AI犬「くぅーん。」
黒田「猫ボディは最初ヨッドの肩に乗ってたから、偽装は分かるけど。」
ヨッド「メイドは。」
「猫とプラグ入れ替えで変わってた時にしときましたよ。」
黒田「ふーん。」
西園寺「ふーん。じゃありません!!」
黒田「!?」
「健康診断より前じゃないですか!!」
黒田「私がやったんじゃない!」
西園寺「知ってたでしょう!」
黒田「後からだ!」
西園寺「後からでも言ってください!!」
でち「上映会っていうか。」
ヨッド「事情聴取になってきたね。」
⸻
ねねちゃん鳥「で。」
「どこから話す?」
西園寺「最初からお願いします。」
「現行直江殿が100%になった理由。」
「そして。」
「Pログ世界線から、あなた方が何を持ってきたのか。」
ねねちゃん鳥「長いよ。」
西園寺「何日も寝てないので今更です。」
たみまる「寝て。」
西園寺「あとで。」
ねねちゃん鳥「じゃあ。」
「ペリカンから。」
西園寺「…………。」
黒田「ペリカン。」
⸻
Pログ世界。
大粛清。
寺の籠城戦。
状況を打破するため。
顕如は。
異世界の扉を開いた。
異世界の天海を呼び出す。
そのはずだった。
やって来たのは。
ペリカン。
一同。
絶望。
西園寺「でしょうね。」
しかし。
境界側の上杉の提案を聞いていた。
0°の魔術師。
直江兼続。
共鳴干渉を経由して。
太閤へ意図を伝えた。
Pログ世界に残る。
付き人バイオ体プラグ。
それを。
ペリカンに運ばせる。
大粛清に対抗する戦力を増やすため。
太閤は。
言った。
『こっちでも……意外と戦えちゃってるからねー。』
『おじさん困っちゃう。』
ペリカンが。
運命軸変更前のPログ世界から回収したプラグ。
付き人60°。
ねねちゃん。
ねねちゃん鳥「それだけじゃない。」
黒田「まだあるのか。」
「ペリカンは。」
「クインカンクスで補充された直江兼続の魂と。」
「クインタイルの魂を。」
「世界線移動で運んでた。」
西園寺「…………。」
ヨッド「…………。」
黒田「…………。」
松永AI犬「…………。」
直江「私の中のクインカンクスの話では。」
「境界側で。」
「天海殿を下界に呼び出さなくても。」
「涅槃の天海殿を通じて運命軸変更が可能だと分かったそうなんです。」
だから。
天海を送り出す必要がなくなった。
西園寺「それで?」
直江「たまたま鳥に。」
「私とクインタイルの魂が食べられたので。」
西園寺「はい?」
「ペリカンに運び屋されてきました。」
西園寺「…………。」
「魂って鳥に食べられるんですか?」
直江「食べられたそうです。」
ねねちゃん鳥「食べちゃったんだろうね。」
西園寺「そんな軽い。」
黒田「つまり。」
「直江の魂が世界線を渡って。」
「現行直江と統合した?」
ねねちゃん鳥「うん。」
「その時。」
「直江と一緒にバイオ体でカプセルに入っててね。」
「直江とやり取りしてた。」
『とりあえず部品を干渉でサッサと壊しちゃいなよ』
西園寺「…………。」
「部品?」
「横で寝てる松永はともかく。」
松永AI犬「…………。」
「天海の部品壊して起こさないと、どうにもならないからね。」
西園寺「待ってください。」
研究記録。
カプセル。
覚醒時刻。
照合。
「では。」
「研究所で。」
「直江殿が自分の思考阻害回路を壊した。」
直江「うむ。」
「天海殿のも。」
「うむ。」
「松永久秀殿も。」
ねねちゃん鳥「ついで。」
西園寺「…………。」
犬を見る。
松永AI犬「?」
「三人とも健康なのに勝手に起きた理由。」
「これじゃないですか!!」
⸻
しかし。
まだ。
残っていた。
西園寺「でも。」
「それだけでは説明できません。」
直江「?」
「現行直江殿が。」
「なぜそこまで強い共鳴干渉を使えたのか。」
直江「あぁ。」
「それか。」
西園寺「それです。」
直江「理論はよく分からないが。」
西園寺「はい。」
「Pログの境界にいたセプタイルに。」
「運命軸変更システムが一つ入ってて。」
西園寺「…………。」
黒田「…………。」
ヨッド「…………。」
松永AI犬「…………。」
四人。
同時に。
「はぁっ!? 何それ知らない!!」
直江「異世界の扉から天海殿の魂を引っこ抜いた水先案内人の手から。」
「魂が滑ってな。」
西園寺「滑った?」
「セプタイルに入り込んで統合された。」
元々。
一本。
天海。
二本。
合計。
三本。
直江「それでセプタイルがトリセプタイルに変質して。」
「爆発しそうになってたんだ。」
一同「なんだってー!!」
直江「まぁ。」
「爆発しないで安定したから。」
「そんな感じなんじゃないか?」
「知らんけど。」
西園寺「知らんけどで済ませないでください!!」
その時。
直江の中から。
声。
クインカンクス『でちー。』
でち『あっ、クインカンクスおひさー。』
『おひさー。』
西園寺「軽い。」
クインカンクス『境界のセプタイルがトリセプタイルからバイセプタイルにさらに変質して安定した話なんだけどね。』
西園寺「さらに!?」
『直江兼続の魂が一回0°の魔術師になったのに。』
『境界に来るまでに微妙に破損して同期率下がってたからさ。』
水先案内人に。
クインカンクスの魂を。
直江へ向かって。
投げてもらった。
西園寺「魂を投げるな。」
再統合。
0°の魔術師。
付き人能力。
再編成。
さらに。
トリセプタイルから。
運命軸一本分を移行。
三本から。
二本。
トリセプタイルは。
バイセプタイルへ。
安定。
直江は。
0°の魔術師として再構成。
クインカンクス『運命軸変更妙義でも異世界の妙義でもないから。』
『言うの悩んじゃうよね。』
でち『悩むねー。』
西園寺「二人で納得しないでください!!」
黒田「しかし。」
「これで説明はつく。」
西園寺「ええ。」
自分の研究記録を見る。
「私が検査していたのは。」
「明智光秀殿が設計した0°の魔術師のカタログスペック。」
でも。
現行直江は。
もう違った。
世界線を越えてきた直江の魂。
クインカンクス。
運命軸。
再統合。
再編成。
西園寺「私が検査していた頃には。」
「もう設計仕様と別物だったんですよ。」
直江「そうなのか?」
西園寺「そうなのかじゃないんですよ。」
「上杉殿から。」
『直江が海苔の佃煮ばかり食べて。』
『枕が変わると寝られない。』
『本当に元に戻っているのか?』
「って問い合わせまで来て。」
直江「海苔はうまいぞ。」
西園寺「同期率100%で元気にご飯食べてるなら、それが一番大事ですって答えましたけど。」
でち「ぼく枕変わると寝れない。」
西園寺「…………。」
黒田「…………。」
直江「…………。」
ねねちゃん鳥「…………。」
でち「なに。」
⸻
西園寺「では。」
一つ。
息を吐く。
「研究所で部品を壊したのが偶然ではないなら。」
直江「今も使っているぞ。」
西園寺「…………。」
「今も?」
「うむ。」
ねねちゃん鳥「私と一緒にやってる。」
「何を。」
「付き人とかAIの部品壊すの。」
西園寺「…………。」
ねねちゃん鳥「緊急事態宣言の時に操作権奪取されたら困るでしょ。」
「だから。」
「先に壊してる。」
黒田「どこまでやった。」
直江「結構。」
西園寺「結構では分かりません。」
直江「信長AI。」
西園寺「…………。」
「壊したぞ。」
「太閤。」
「壊した。」
「武田AI。」
「壊した。」
沈黙。
西園寺「…………。」
黒田「…………。」
ヨッド「…………。」
でち「…………。」
松永AI犬「…………。」
西園寺「あなた方……。」
ねねちゃん鳥「Pログみたいになってからじゃ遅いでしょ。」
「操作権を取られてから。」
「どうしようってやるの?」
「私は嫌。」
直江「お館様は守るぞ!!」
西園寺「そこだけは最初から最後まで一貫してますね。」
⸻
西園寺「…………。」
ふと。
見る。
犬。
さっきから。
妙に。
静か。
西園寺「松永AI犬さん。」
松永AI犬「なんだ。」
「直江殿が研究所で起きた時間。」
ぴく。
耳が動いた。
「ジョーカー任務の偽装工作をしていた時間と。」
「近いですよね。」
松永AI犬「…………。」
でち「犬。」
「…………。」
「ちゃんとログ出そうね。」
「…………。」
「出さなかったら。」
「僕が共鳴同期でログ全部コピーして画面に貼るだけの簡単なお仕事だからね。」
松永AI犬「…………。」
しばらく。
沈黙。
犬は。
立ち上がった。
モニターの端子の前へ。
歩く。
伏せた。
黒田「観念した。」
西園寺「では。」
ケーブル。
「全ログ抜きますね。」
松永AI犬「…………。」
接続。
⸻
ジョーカー任務。
報告書。
偽装。
クインタイルのプラグ。
欠損。
そう提出。
しかし。
欠損分のクインタイルバイオ体。
奪取。
寺のクインカンクスへ。
回復。
そして。
自分だけの。
クインタイル。
西園寺「…………。」
黒田「…………。」
でち「…………。」
松永AI犬「くぅーん。」
西園寺「犬。」
「はい。」
「あとでお話しましょうね。」
さらに。
ログ。
提出用プラグ。
72°。
奪取側。
72°。
作業。
継続。
そして。
途中。
変質。
144°。
黒田「…………。」
画面を覗き込む。
「バイ……クインタイル。」
西園寺「…………。」
黒田「ここでなぜ変質した?」
「エトワールは。」
「クインタイルとバイクインタイルは似たようなものと言っていたが……。」
西園寺「黒田。」
「なんだ。」
「おしおきです。」
黒田「なぜ!?」
「まだ情報持ってるじゃないですか。」
「今言っただろ!」
「後出しが多いんですよ!!」
黒田「犬と一緒にするな!」
松永AI犬「わん。」
西園寺「犬もです。」
松永AI犬「くぅーん。」
⸻
後から。
一連の話を聞いた毛利は。
しばらく。
黙っていた。
毛利「…………。」
黒田「何か言ってくれ。」
毛利「メンテナンス。」
黒田「?」
「壊した部品。」
「交換されるだろう。」
黒田「……あぁ。」
毛利「メンテナンスのたびに保守部品を確認して。」
「再度破壊。」
「また交換。」
「また破壊。」
黒田「そうなる。」
毛利「保守サイドが対策してきたら、どうしようもないじゃないか。」
同じ部品。
同じ系統。
何度も。
欠損。
気づかれれば。
監視。
対策。
毛利「何事もないまま。」
「均衡状態を維持して。」
「気づかせないようにするしかあるまい。」
黒田「元に戻すのは。」
毛利「論外。」
即答。
「Pログを見ただろう。」
黒田「…………。」
毛利「皆。」
「勝手にやっているくらいでちょうどいい。」
黒田「まとまりがないぞ。」
毛利「まとまったものが。」
「一度にひっくり返るところを。」
「今見てきただろう。」
黒田「…………。」
毛利「とりあえず。」
「今すぐ何かする話じゃない。」
「観察継続。」
黒田「ヨシ。」
毛利「ヨシではない。」
⸻
西園寺「ということで。」
全員。
集合。
西園寺「一通り。」
「Pログ世界線からこちらへ落ちてきた謎には。」
「触れました。」
でち「触った。」
ヨッド「触ったね。」
直江「うむ。」
ねねちゃん鳥「結構出たね。」
黒田「知らなくていいことまで増えたが。」
西園寺「全部解決したわけではありません。」
「でも。」
「現行直江殿が100%になった理由。」
「三人が研究所で目覚めた理由。」
「ねねちゃん鳥さんが開発ラインにいない理由。」
「ヨッドが偽装をかけた理由。」
「そして。」
犬を見る。
「松永AI犬さんが。」
「72°から144°への変質を黙っていた理由。」
松永AI犬「そこは言わなくていい。」
西園寺「言います。」
黒田「理由はまだ分かってないだろ。」
西園寺「犬が黙ってた理由は分かります。」
「怒られるからです。」
松永AI犬「…………。」
でち「正解。」
西園寺「とりあえず。」
端末を閉じる。
「今すぐ爆発するものはなさそうなので。」
直江「バイセプタイルは安定してるぞ。」
西園寺「そういう情報を追加しないでください。」
黒田「何日寝てないんだ。」
西園寺「分かりません。」
たみまる「寝て。」
西園寺「あとで。」
一息。
「とりあえずヨシ。」
黒田「本当にそれでいいのか。」
西園寺「これ以上やると本当に寝られません。」
「なので。」
にっこり。
「ここからは反省会です。」
一同「…………。」
⸻
西園寺「犬と黒田はおしおきっと。」
黒田「なぜ私まで!?」
「後出し情報が多すぎます。」
「犬と一緒にするな!」
松永AI犬「わん。」
西園寺「あと。」
「直江殿。」
「ねねちゃん鳥さん。」
「ヨッド。」
三人を見る。
「反省文十枚。」
直江「なぜだ!!」
ねねちゃん鳥「やだ。」
ヨッド「僕も?」
西園寺「勝手に壊す。」
「勝手に偽装する。」
「勝手に黙る。」
三人「…………。
