いつも雨が降っていた
雨が 隠してくれていた
傘は一つ
雨脚はどんどん強くなっていく中
肩を並べて歩いた
雨女だと言えば
ぽいですね
なんて いたずらそうに笑う君をみて
それがわたしの罪だから
と 俯いて心の中で答えた
君は 鼻歌のように 軽く 明るく
楽しそうに
じめじめしてて 根暗で
かわいげないところが かわいくて
そうつづけるから
思わず 顔を上げると 目があって
くしゃりと 笑う君は
困っているわたしをみて
またいたずらそうに笑って
愛おしいなあ
なんて
そんな風に 言われるだなんて
思ってもみなかったから
危うく 涙がでそうになった
このきれいなものを
傷つけてしまうのが
後悔させてしまうのが
どうしようもなく 怖く
だけど 飛び込んでみたくなるほどに
どこまでも暖かく 眩しく
やわらかく 赦してもらえそうで
肩を濡らして 裾を濡らして
ぽつり ぽつりと
いろんな話をしながら
結局いつものように
送ってもらって
名残惜しくて
ふたりで道をまた戻っていく
人通りの多い道にでる手前
立ち止まる君
どうしたのかと、振り返れば
手が伸びてきて 抱き寄せられて
そのぬくもりに
甘えたくなってしまう自分を
冷えた背中に手を回したくなる自分を
悟られないように
俯いて 誤魔化すように笑って
必死に冗談をいったりして
こっちが笑ってしまうほどに
君の心臓の動きが
はやくて おおきくて
それでも君は なんでもないように
抱きしめていて 笑っていて
そのギャップがたまらなくて
愛おしくて
どうしようもなくて
ほんの少しだけ
わたしは 君の服を握った
そうして 唇が落ちてきた
あたたかい キスだった
たくさん 色んな人と キスはしてきたけれど
こんなにも あたたかいキスは
はじめてだった
だから 怖くなった
わたしはどうしようもなく
君を汚してしまう
なにも言えなくなって
俯いて
距離を取ろうとして
そしたらまた さっきよりもつよく
抱きしめられて
すきなんですよ
と 君は呟いた
そうしてまた 俯いたわたしの顔を
そっと持ち上げて
キスをした
髪の毛邪魔ですねって言って
髪の毛を耳にかけて
そうして3度目の キスをした
あたたかくて
うれしくて かなしくて 涙が出て
みられたくなくて
どうして泣いたのか聞かれたくなくて
君の胸に顔を押し付けた
心の中で ごめんねって呟いた
もう後戻りはできないとおもった
その謝罪は どこの
誰に対してのものだったのか
わたしは知らない
哀しい物語が はじまってしまった
次の約束は また雨の日
罪を重ねていく
