2015/10/21AM2:00 ロシア国境内部
真っ白だった雪原は日が落ちると吹雪が吹き荒れる闇の世界になっていた。白いシートをかぶせたテントで俺、テッドの二人以外は少ない睡眠時間を過ごしている。
冬のロシアは思っていた以上に寒さが厳しかった。出来うる限りの耐寒装備をして見守りをしている。
時たまかなりの長距離からエンジン音が聴こえる。パイプラインの様なものが通っているのだろう。
「ランスロット。」
無線機越しにテッドが話しかけてきた。
「なんだ。」
まわりの警戒を続けながら返答をする。
「少し質問してもいいだろうか。」
「ああ。」
「この作戦の事だ。」
俺もテッドも話すことは得意ではない。どれだけけ頑張っても無意識では簡単な言葉で終わらしてしまう。
「俺は一応この班の副班長だ。どれだけ秘匿を求められるとしてもなぜ副班長にまで隠すんだ?」
「……。」
「本当にこれはウィルスの破壊だけが作戦内容か?」
「狙撃兵の勘ってヤツか?」
狙撃部隊の人間だという事もあるのだろうか。ここ数十日過ごしている間にテッドはすこぶる勘が鋭い事が分かっていた。
「そんなところだ。」
AKを持ちなおすカチャ。と言う音がする。
「……俺も、分からない。」
本心が実際それだった。……俺自身も考える事はあるのだが。
「俺たちの協力派と合流するときに作戦の最終概要を説明されるらしい。」
「最終最終と俺たちは何回最終概要を聴けばいいのか。」
「そうだな。」
少しの間お互いの無線機に笑い声が聴こえる。
交代時間はまだかとちらっと時計を見る。10分前だった。
確か次の番はエリックとアイザックの2人だ。少し位早く降りるのも良かろう。
「テッド、少し早いがそろそろ交代しよう。」
「了解。」
テントを開けエリックとアイザックの2人を叩き起こし俺たちは眠りについた。
2015/10/21 AM6:00
相変わらず天気は吹雪。体力消耗が激しい。
合流地点の街は『アパチートゥイ』と言う街だ。現政権派の勢力が辛うじて生き残っていると言う不安定な街らしい。KOLA半島が目と鼻の先でしかも現政権派主勢力圏からは孤立している街で未だに持ちこたえていると言うのは感嘆に値する。
協力派の人間が生きていることを願いつつ行軍を今日も開始する。