真夜中の告発者(Numeri日記より) | ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記

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※私が書いてるのではありませんので悪しからず(^^)/

「告発します」

衝撃的一文が踊っていた。

郵便ポストはパンドラの箱とはよく言ったもので、アパートの郵便受けには多くの魔物が潜んでいる。料金を払わないと水道を止めるぞという脅迫文書、真夜中に奇声を上げるな退去してもらうぞという大家からの犯行予告、低金利時代!財テクでマンションを買いましょう!という見のも嫌になる猥褻なチラシ、そこには様々な魔が潜んでいるのです。

そんな中、一つの真っ白な封書がポトリと落ちてきたのです。パンドラの箱は多くの禍々しき魔が飛び出した後に最後に希望だけが残ったという、どんなお話にも必ず救いってやつ残されているわけで、この一通の封書も魑魅魍魎が蠢く郵便ポスト内に舞い降りた一筋の光明、そんな救い、希望の手紙であると確信した。

手紙は白い封書だった。こういった純白の封筒は最近ではあまり見ることはなくなったが、その存在がなんだか上品で清楚な雰囲気さえ伺える。下劣なる請求書や、電気を止めるぞといった脅迫文書とは異なった気品、位の高さが感じられる。

こういった白い封書は、まるで遠いあの日、それも夏の日のような雰囲気を感じる。渓谷を流れる水の音が聞こえ、わずかに流れる風が木々を揺らし、木漏れ日も小さく左右に揺れる。彼女は麦わら帽子を右手で抑えながら少し長めのスカートをなびかせて笑顔でこう言った。

「引っ越すことになったの」

今まで気にもならなかったセミの鳴き声が急に音量を増したように感じた。彼女の笑顔と彼女の言葉、渓谷のせせらぎに蝉の声、ジンジンと音が聞こえるかと思うほどに照りつける太陽、それらが全く繋がらなかった。何も言えず佇む僕の瞳を確認するように覗き込んだ彼女はもう一度ニコリと笑って言った。

「手紙書くね」

僕も言いたかった。手紙を書くって、遠くに引っ越しても会ってくれって、それよりなにより好きだった、そう言ったかった。けれども言葉が出なかった。思いをぶつけるほどの度胸が僕にはなかった。言葉は出した、けれどもセミの声にかき消されて彼女に届かなかっただけ、そう言い訳するかのように僕はパクパクと口を動かすことしかできなかった。彼女は笑顔だった。変わらず、ずっと笑顔だった。

あれから10年、彼女からの手紙が届いた。彼女がそのまま封筒の大きさまで縮んだかと錯覚するほどに上品で清楚な白い封筒。あの渓谷に漂っていた名前も知らない花の匂いが香ったような気がした。

とまあ、全くこんな経験はないんですけど、まるであったかのような、あの夏は眩しかったとか錯覚してしまいそうな、あの子、白いワンピースが似合っていたなって想像してしまうような、そんな雰囲気がこの白い封筒から感じられたのです。完全に頭の中で思い出が作り上げられていた。

ビリビリと封を破ってしまうのはその女の子に悪い気がしましてね、彼女だって相当の想いがあってこの手紙をくれたと思うんです。あの日、僕に意気地がなかったばっかりに言えなかった言葉がある。そしてその後も僕の意気地がないばかりに出せなかった手紙がある。いつだって彼女はそんな僕を見透かしていた。そして今回もこうやって手紙をくれたのだ。それを破るなんてできるはずがない。

ゴチャゴチャと整頓されていない道具入れからカッターナイフを取り出し、封の上の部分にスッと刻みを入れる。切れなかったかと思うほどの手応えのなさ、けれども封の部分は少しタイムラグがあってパカッと上に跳ね上がった。

もしかしたら、これはあの日言えなかった言葉の続きかもしれない。もう10年も前だし、そもそもそんな経験もないし、そんな女性も存在しない空想の産物なのだけど、それでもやはり、これはあの日言えなかった言葉の続きだろうか。離れる運命の二人、別れる運命の二人、その事実を前にしてどうしても言葉にできなかった「好き」という二文字。

僕は想像した。この手紙の中にはあの日の想いが書かれていて、たぶんこの10年の間に彼女にもいろいろあったであろう。そういった事実を全て置き去りにしてタイムワープしたかのように、「会いたい」という言葉が、「好き」という告白と共に書かれているかもしれない。

僕もその10年という決して短くない時間を取り戻すため彼女に会いにいくだろう。10年ぶりの彼女は、可愛いというより美しく、妖艶な雰囲気を身に纏っていた。あの日の彼女をひまわりとするならば、今目の前にいる彼女はクレマチスの花のようだ。

「あの日、本当はね、行くなって言って欲しかったの」

彼女はアイスコーヒーを飲みながら笑った。セミの声は聞こえない。けれどもタイムスリップしたかのような錯覚に陥った。もう言葉はいらない。10年前、あらゆる意味で真っ直ぐで頼もしかった僕らはいくらかこなれてきた。それは歳月による風化か劣化か、それとも成長なのか妥協なのかは分からない。僕らはホテルへと吸い込まれていった。

僕はこの10年間ずっと彼女にしてやりたいことがあった。もちろんそれは性的な欲求を満たしたいという思いであったのだろうけれども、それ以上に僕は飾らない欲求を彼女にぶつけたかった。彼女には本当の自分を知って欲しかったし、何より受け入れてくれるような気がした。

「部屋、暗くして」

彼女は恥ずかしそうに笑った。ホテルに備え付けのテレビからは衛星放送だろうか、ネギ坊が新台のスロットの解説をしていた。僕は彼女を裸にひん剥いた。少し手荒に、それでいて彼女を傷つけないよう細心の注意を払い、まるであの封筒を開けた時のように裸にした。

「恥ずかしいよう」

彼女はこれから僕に抱かれると思ったのだろう。それが覚悟なのか望みなのか分からない。彼女はソッと瞳を閉じた。けれども僕は彼女の予想を裏切る。おもむろにバッと彼女の横にあったベッドの布団をめくり、ものすごい勢いでシーツを剥ぎ取った。そしてそのシーツを彼女の体に巻きつけていく。

「な、なに!?」

「大丈夫、安心して」

不安そうに呟く彼女に優しく話しかける。そうしながらもずっと彼女の体にシーツを巻きつけていく。あっと言う間につま先から頭の先までシーツに包まれた彼女が完成した。僕は興奮していた。幼き日見たツタンカーメンVSブロッケンJr.で登場したミイラパッケージだ。僕はずっとずっとこれをやりたかった。

そして、身動きできない彼女に欲望の限りを尽くす。「マキマキー」と言いながら備え付けてあったストローを今やミイラとなった彼女に突き立てる。くすぐったいのか何度かミイラが身悶える。僕の興奮はどんどん高まってきて、何度となくストローを突き立て何度となく吸い付いた。もうストローは折れ曲がってバキバキになっていたが、4時間の間繰り返し繰り返し、彼女に吸い付いていた。

そこでハッと気がつく。とんでもない場所までトリップしていたが、この封筒の中身が、そんな昔の思い出の中の女性からの「会いたい」という手紙である可能性はかなり低い。なぜならそんな思い出も女性も存在しないからだ。それなのにいささか妄想が飛躍しすぎだと反省しつつ、それでも極僅かにそういった内容である可能性にかけて、手紙を取り出した。

「告発します」

驚愕だった。告白ではなく告発だった。よくよく読んでみると、差出人は「NPO法人女性の○○を守る会」なるよく分からない団体。以前僕が購入した猥褻物を製造・販売した業者が摘発された。購入者も同じように摘発されるように告発するつもりだから、よろしく!といった内容だった。告発を取り消したい場合は当団体まで至急連絡ください。連絡なき場合は即刻告発します。あなたがやっていることは女性と児童に対する重大な権利侵害です、という内容だった。

親切心なのかなんなのか、そういった猥褻物や児童ポルノに関する法律の条文まで書いてあったのだけど、故意なのか天然なのか、その条文が間違ってるのが結構ツボだった。

普通に考えて、最近僕はxvideo様に大変お世話になっているので、そういった猥褻的なものを購入したことはほとんどない。ネタになると思って購入したホモDVDくらいだ。まさかこのホモDVDが女性と児童の権利を侵害しているとは思えない。毛むくじゃらのオッサンしかでてこないし。

まあ、結局これは形を変えた架空請求なわけでして、悪徳業者もなかなか考えるもので、初期の頃は「出会い系サイトを使っただろ!金払え!」という脅迫がオーソドックスだったのですが、それがあまり効力を発揮しなくなると、「あなたが出会った女性は未成年です、今なら示談を」とちょっとした美人局に変化、税金の還付やら何やら様々に形態を変えてきましたが、ついに女性の権利侵害で告発ですよ。

そりゃ誰だってこういったいかがわしい物って購入したことあるから心当たりは結構あるわけで、告発されちゃかなわんと連絡を取ったりするわけですよ。そこで告発を取りやめて欲しければ示談金を払えなどと言われて50万円くらい請求される、そんなところじゃないでしょうか。

もちろん、こんなもん告発されるわけないですし、この「女性の○○を守る会」なるNPO法人も存在しません。手紙には所在地も書かれていましたが、おそらくその住所には存在しないでしょう。問い合わせすらする必要もなくて、手紙をゴミ箱にダイブさせて「悪徳業者も色々と考えるな」って一笑に付してオナニーでもして寝るに限ります。けれどもね、よく考えてみて欲しいのです。

「あなたがやっていることは女性に対する重大な権利侵害です」

手紙に書かれていたこの一文が妙に引っかかった。なんか心の一番敏感な部分にモヤモヤとしたものが引っかかっているような気がした。よくよく考えたらですね、この手紙は言うまでもなく架空請求というか、既に脅迫の部類で立派な犯罪ですし、問い合わせる必要もお金を払う必要もないんですけど、それって別に僕が女性の権利を侵害していないわけではないんですよね。

思い返してみると、なんかインターネット上で「女はクリトリスでも剥いてろ」とか、「女なんていらんからおっぱいだけが宙に浮いていればいいのに」などと女性の権利侵害も甚だしいことを書き連ねてきたわけで、今日の日記にしても女をシーツでグルグル巻きにしてストローで吸う、それに興奮する、とか訳の分からないこと書いてますからね。こりゃあ、この架空請求が言うことももっともですよ。

とりあえず、お金なんて払ういわれはないですし、問い合わせる必要もなくて無視しておけばいいんですけど、女性の権利侵害をしたことは確かです。そのへんのところをこのNPO法人に謝罪する必要があるんじゃないでしょうか。というわけで、早速手紙に書かれていた電話番号に電話してみました。

「もしもし、NPO法人女性の○○を守る会です」

普通っぽいオッサンが電話に出ます。

「すいません、なんか手紙が届いたんですけど」

「あ、はい、告発の件ですね」

とても軽やかに「告発」とか言われて拍子抜けするのですが、オーソドックスな感じで会話が始まります。相手の口調はやや事務的であり、やや軽やかな感じでした。

「女性に対する重大な権利侵害とかかいてあるんですけど、どういったことかちょっとわからなくて」

僕の質問を受けて相手の男性は淡々と説明してくれたのですが、まあ長いうえに訳が分からないので省略しますけど、簡単に言うと書面の通り、猥褻ポルノの被害にあった女性がいて、購入したアナタを告発します。けれども、反省してくれたら告発しません。あとは言わなくてもわかるよね、我々、被害にあった少女たちのケアにお金がかかるんだよねー、言わなくても分かるよねーといったお話でした。

「あの、僕最近、ホモDVDしか買ってないんですけど。マーガリン塗り合うやつ買っただけっすよ。全然女性が出てこないんですけど」

と反論すると

「動画サイトの閲覧も対象に入ってます」

とのこと

「あ、それですね。僕、マッサージしてたら相手がその気になっちゃってっていう動画が好きでxvideoさんでよく鑑賞したりしてます」

手紙には一言も書いていなかった動画サイトの話が出てきたりしてちょっと支離滅裂な感じになってきましたが、まあその変は適当に話を合わせます。

「お名前を教えていただけますか?」

相手が執拗に僕の名前を聞き出そうとしてきますが、その辺は適当にはぐらかしつつ会話を進めます。

「あのー、僕が購入したエロDVDについて女性の権利侵害で告発するって内容なんですよね?」

「ですから、動画サイトなども同様に対象になります」

電話の相手はウンザリという感じで、なんか勝ち誇った感じで答えてくれます。

「いや、でもですね、その動画サイトってのもよくわからなくて」

「マッサージ物ですよね?それに出演していた少女が今回の被害者です。少女が無理やり出演させられていて、保護者と共に被害届が出されています。これは児童ポルノに該当します」

ちょっと怒りっぽい人なのかもしれません。どんどん早口になっていて乱暴な口調になってました。

「でも、僕が見たマッサージ物、というか良いマッサージ物の動画ってほとんどが40歳くらいの熟女なんですよ。あの熟女の性に貪欲なところがマッサージものでは重要でして、熟女がマッサージされながら体が熱いとか言い出して、マッサージの人もリンパの流れが良くなった証拠ですよーって言い出したところが一番興奮するんです」

と、淡々とマッサージ動画の興奮ポイントという持論を展開するのですが、業者は引き下がらない。

「それが熟女に見えて少女だったんです。被害者です」

んなわけあるか。コメカミのところに四角く切ったサロンパス貼ってたぞ。

「それ以外は見てないんで、やっぱり違うと思うんです」

「じゃあ、購入したDVDだったんでしょ!」

もう怒りすぎて訳のわからないことになってて、すごい投げやりな感じ。どれが被害にあった権利侵害のエロだったのか分からずに告発するって言ってるんだからたいしたものです。

「ですから、購入したのはホモDVDで、お互いにマーガリンを塗り合って」

「それに被害者が出てたかもしれないでしょ!」

もう滅茶苦茶だな。女性の○○を守る会だったんじゃなかったのか。なんでホモDVDまで領域を広げてるのか。

「やっぱちょっとわかんないなあ」

「では、全く身に覚えがないということでよろしいですか?反省がないということですか?」

なんか言い方がすごい鼻につく感じなのですが、ここは毅然と言ってやりましょう。

「身に覚えはないですが反省はしています!」

「は?」

相手がすごい高い声を出したので吹き出しそうになった。そりゃそうだ、身に覚えがないのに反省してるんだから。ここはきちんと説明してあげなくては。

「そもそも、そういった猥褻なDVDとかはホモDVDしか買ってないですし、エロ動画も熟女です。どれも正式にメーカーで撮影・作成・販売されビデ倫の審査を通過したもので、それらを鑑賞することが女性の権利侵害になるとは思えません」

「じゃあなんで反省してるんですか」

「それはですね、僕が日頃から「女はクリトリスでも剥いてろ」とか、「女なんていらんからおっぱいだけが宙に浮いていればいいのに」とかを僕のホームページで主張しているんです。さっきも、シーツで女をミイラパッケージしてストローでチクチクやりたいとか書いたばかりです。それは僕の願望ですけど、やはり女性に対する権利侵害だと思い立ち、反省するに至ったわけです」

「はあ」

「シーツの話は続きがありまして、いよいよツタンカーメンがブロッケンJrを葬り去ろうとするところに謎のマスクマンがでてくるんですね。まあ、モンゴルマンなんですけど。モンゴルマンの正体はラーメンマンで、いいやつぽい扱いされてますけど最初は残虐さがウリで、なんと、キャメルクラッチでブロッケンJr.のオヤジのブロッケンマンを真っ二つにしてるんですよ。幼心にショックでしたね。オヤジを殺した相手が救いに来る、そのブロッケンJrの気持ちがあなたに分かりますか。まあそれはいいとして、そのモンゴルマンが助けに来た時に、ツタンカーメンはモンゴルマンすらもミイラパッケージにするんです。で、いよいよ特大のストローで吸い尽くそうとした時、ミイラの中からモンゴルマンの手刀がでてくるんです。僕はそんな女性に出会いたくてやるのかもしれません。ミイラパッケージにされても中から手刀で切り裂いてくるようなモンゴルマンみたいな女性を追い求めているのかもしれません。これって権利侵害になるんですかね」

のすごい早口でまくしたててたら向こうも訳がわからなくなったらしく

「権利侵害になります。そういった被害報告も寄せられています。告発します」

ほんとかよーって言いそうになった。シーツでグルグル巻きにされます、これは女性に対する権利侵害ですって相談するやつがいるのかよー、ツタンカーメンは女の敵かよーと思いつつ

「じゃあ、今度からはあまりホームページに女性の権利侵害みたいなこと書かないようにしますね」

と懺悔とこれからの誓いを宣言したところで大変スッキリしたので電話を切りました。なんか向こうは示談金がどうのこうの言ってたけど、今はそういう話をしているんじゃない。

長い間ずっと心の中でモヤモヤしていた、僕は女性に対してすごい失礼なことを日記で書いているんじゃないか、権利侵害じゃないか、という気持ちを懺悔でき、これからは「クリトリス剥いてろ!」とかは書かないぞ、と固く誓ったのでした。

そんなこんなで、非常にスッキリしつつ、届いた手紙たちを整理していたら見落としていたらしく、一枚の綺麗な絵葉書が。差出人は女性。やはりパンドラの箱の最後には希望が残っていた、こりゃ、思い出の中の女性だぞ、ミイラパッケージやれちゃうかーとワクワクしながら文面を見てみたら、思いっきりデート商法狙ってる悪徳会社でした。なにが「連絡お待ちしていますね まゆみ」だ。クリトリスでも剥いてろ。