Air/まごころを、君に(Numeri日記より) | ヌメラーのヌメラーによるヌメラーの為のNumeri日記

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おもにNumeriでお気に入りのブログ転載します。Numeri知らない人はゼヒ読んでヌメラーになりましょう。
※私が書いてるのではありませんので悪しからず(^^)/

エヴァンゲリオンとはなんだ、と聞かれたらこう答えるだろう。それは恥であると。僕にとってエヴァンゲリオンとは恥でしかなかった。

6月27日より公開される「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」もこれまでのエヴァンゲリオン同様、僕の心に癒えることのない恥を与えてくれることだろう。けれども、それが素晴らしいのだ。

エヴァンゲリオンとは、今からおよそ14年前の1995年、社会現象になるまでに大ブームを巻き起こした全26話からなるテレビアニメシリーズを指す。全く見たことない人のためにかいつまんでストーリーを説明すると、なんかすごい化け物が襲ってきて少年が無理矢理エバーに乗せられてドガンズガーン、根暗な女と元気な女も仲間に加わってドガンズガーン、元気な女のおっぱい見ながらオナニーして最低だっていいながら大人のキス、最後は観客席にいるキモオタの姿を映し出して「お前ら気持ち悪い」と時そば並みの見事なオチを見せつけてくれるってなもんです。

さて、そんなエヴァンゲリオンが新たな劇場版、全く新しい新作として「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序」が2年前に公開され、アニメ終了から14年の間にパチンコなどで新たなファン層を獲得していた同作品は大フィーバーを見せました。そして、その続編である「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」が6月27日に公開されるわけですが、もちろん、今回も公開前からローソンをはじめ様々な企業とタイアップ、Docomoなんかはエヴァ携帯まで出しちゃうご乱心ぶり、もうすごいことになっちゃってるんです。

公開に向けてますます加速するエヴァ人気なのですが、こうやって「新たなエヴァ」が世に出る、つまりゲーム化したりパチンコ化したり、パッケージを変えただけのあくどいDVD-BOXが出たり、エヴァ側になんらかの動きがあるたび、ある一つの感情が僕の中で湧き上がってくるのです。

あれは、放送から2年ほど経った時分だったでしょうか。今から12年前ですから、ちょうど20歳前後の頃だったかもしれません。折しも世の中は空前のインターネットブーム。パソコンやインターネットが一般人にも浸透し始め、ちょっと頭の悪そうなお姉ちゃんまでインターネットなどと言いだした時代です。そう、急激にインターネット人口が増加した時期でした。

当時のエヴァンゲリオンはといいますと、テレビアニメ終了後も、その謎を呼ぶストーリーや最終2話の酷さなどが熱烈に話題で、その最終2話の酷さを補うために劇場版が作られたはずなのに、その劇場版すら製作が間に合わないという益荒男っぷり、さらに劇場版が作られるという、もうなんか色々な意味で熱い展開を見せていました。

当然のことながら、インターネットの世界でもエヴァに関する様々な議論がヒートアップしており、憶測が憶測を呼び、またその憶測が議論を呼ぶ、連鎖反応のごとき様相を呈していました。

思うに、エヴァンゲリオンは当時、全く新しいアニメだったのです。それは様々な伏線の放棄、多くを語らない世界観、予想するしかない壮大な背後関係、それらが全て投げっぱなしの状態で提示されたのです。それ以前にもそんなアニメがなかったのかと言えば僕には良く分かりませんが、普通ならそんな投げっぱなしのアニメ、わかんねーや、で終わってしまえば良かったのです。現に、多くの人がそうしてきたでしょう。けれども、エヴァには語る土壌があった。インターネットという土壌があったのです。

それまでは、別に意味不明なアニメでも友人間で語らうくらいが関の山だったでしょう。しかしながら、エヴァはネットを通して多くの人と議論できた。検証できた。そういった意味でエヴァはそれまでとは違う全く新しいアニメといえ、恵まれた環境であったのではないか、と思うのです。

ガンダムを好きな世代が、ガンダムについて多くの知らない人と議論する機会があったのかというと、おそらく一般人からしたらそんなにないはずなのです。しかし、エヴァではそれができた。それはまるで切れ味の良い剣を手に入れた戦士、水を得た魚、結局みんな語りたがりなのです。

そうして考えると、ここからは完全に僕の推論になるのですが、エヴァが好きなのか、エヴァが好きな自分が好きなのか、という部分について考察すると、おそらく後者の人が圧倒的に多いのではないかと思うのです。エヴァが好き、ではなくエヴァが好きな自分が好き、言い換えれば難解なアニメについて語ることが好きなのです。

話を放送終了から2年後に戻しますが、やはり僕の周りにもエヴァについて語ることが大好きなクラスメイトがいました。彼の名前は八島君というのですが、彼がもう、狂ったようにエヴァを語る語る。オタクで大人しい部類に入る八島君でしたが、エヴァのこととなると人が変わったように饒舌になる人でした。

ある時、その八島君がビデオテープを持ってきていて、「一緒に見ようぜ」とか言ってくるものですから「こいつはエロいビデオに違いない」と心をときめかせてついていったら、アニメ版エヴァの結末に納得のいかない彼が勝手に作ったエヴァのムービーでした。紫色のマッチ箱みたいなのがガオーとかいってた。八島君の手がモロに映ってるし。なにこれ、エバ?

八島君は明らかにエヴァを語る自分が好きだった。そして、酔いしれていた。しかし、語る相手がいない、クラスメイトはそこまでエヴァにのめり込んでいるわけではない。もっと骨のある相手と語りたい、もっと深い知識を持つツワモノと語り合いたい、八島君の欲求は手に取るようにわかりました。そして彼は一つのユートピアを手に入れます。

それがチャットでした。

「いやー、昨日もチャットで夜更かししちゃってさー」

「まじあいつら寝かせてくれねーんだもん」

「すげーよな、インターネット、まさか俺と対等にエヴァを語れるやつがいるとは」

目ヤニだらけの八島君の瞳は確かに輝いていました。それはまるでダイヤモンドの原石のようでもあり、腐った魚の目のようでもあり、とにかく何か人間じゃない目をしていた。

僕は嫉妬した。

八島君のオタクっぷりが好きだったし、エヴァの話をしてる時のから回りっぷりが大好きだった。そんな彼がここではないどこかへいってしまう。見知ったクラスメイトを差し置いて、顔も知らないインターネットの猛者達を相手に語っている。それはなんか、恋人を誰かに取られそうな時みたいな言い知れぬ不安感があった。

「じゃあ、今日も朝までチャットですわー」

○○ですわー、の口調が出た時の八島君は絶好調だ。過去に彼がPC-FXとかいうオタク御用達しみたいなヘビーなゲームハードをお母さんに購入してもらった時以来のことだ。それだけ彼の心はチャットに行ってしまったのだろう。もうここにはいない。去りゆく彼の後ろ姿がデジタル記号のように見え、遠い遠い存在に思えた。

僕は決意した。あの八島君を奪った憎きインターネット、エヴァンゲリオンファンが集まるチャット。どんなものかこの目で見てやる。この時からネット上で八島を捜す電脳かくれんぼが始まった。

今のように本当にインターネットってのがまんべんなく普及し、クソみたいなブログやら、クソみたいなOLのブログやら、クソみたいな主婦のブログやらが氾濫していなかった時代とはいえ、前述した通りネット上で語ることが醍醐味だったエヴァンゲリオン系のサイトは鬼のようにありました。しかも、悪いことに当時はホームページに掲示板と並んでチャットを設置するってのが一種のステータスで、そらまあ、狂ったようにどのサイトにもチャットが設置されていた。

エヴァのファンサイトでチャットが設置されている場所、そんなものいくらでもありました。その中から八島を捜すのは至難の技でした。おまけに、八島は家にインターネット環境がありましたが、こちらは学校のパソコンルームからしかできないため、当り前に時間制限という大きな障害が立ちはだかったのです。

何日も何日も、エヴァ系のサイトを回り八島を捜す日々。そんなルーチンワークを繰り返すうちにある奇妙な感覚を覚えます。そう、探すだけではつまらないので各サイトのエヴァに関する考察などを深く読んだのです。中には何ページにもわたって熱く書き連ねているページもありましたし、掲示板で喧嘩になるくらいまで議論しているところもありました。なんだかその真剣さと言うか、そこまで語れてしまう人々に自分にはない何かを感じてしまった、言い換えると嫉妬してしまったのです。

僕もこんな風に何かに一生懸命になれるのかな?

熱く語れることなんてありゃしなかった。何でも中途半端ですぐに投げ出す。何かを成し遂げたことなんてなかった。人様に誇って語れることなんて何もなかった。

なんだか胸の奥が強烈に締め付けられるような思いをしながらチャットルームを覗きました。

「ジャガーさんが入室しました」

すぐに分かりました。これが八島君だと。彼はお母さんに勝ってもらった超絶オタ向けゲームハードPC-FXに「ジャガー」と名付けていたのです。

「ミトコンドリアさんが入室しました」

焦った僕はすぐに入室します。なんでこんな名前で入ったのか今でも分からない。とにかく入室しなければいけないと思ったのです。

チャットには既に数人のメンツがおり、ジャガーこと八島はその常連メンツに受け入れられてるようでした。まあ、場所が場所と言うか、チャット黎明期にあった当時では、入室しても無言、なんてキャラは多数おり、ミトコンドリアを完全スルーする形で議論が始まりました。

ジャガーこと八島と楽しく談笑する常連メンバー。流れる文字を見ていたらなんだかここにいてはいけないような気がしてきました。そして、熱くエヴァについて語る面々。なんだか八島を取られた嫉妬と熱く語れるものがあるという嫉妬が入り混じり、闇夜のパソコンルームで一人、嗚咽混じりにディスプレイを眺めていました。

ジャガーさんの発言>そもそもアスカの精神状態の変遷は人間の進化の過程に通じるものがうんうんかんぬん

この小難しいジャガーの発言を見た時、僕の中の何かが弾けた。

ミトコンドリアさんの発言>テメーらエバなんかみてんじゃねえよ!

悪辣な言葉。極悪な言葉がキーボードから紡ぎだされた。この発言に常連メンツが機敏に反応する。

和子>なに!?この人!?

トオル>ここはエヴァ好きのチャットです。嫌いならお引き取りください

タクヤ>いきなりなんだテメーは!死ね!

こんな酷い言葉達ってあるのかしらっていうレベルで罵詈雑言を浴びせかけられる。ちょっといけないことをしちゃったなって思ったのだけど、もはや引き返せないところまできてしまっていた。

ミトコンドリアさんの発言>うるせー!

そこにミトコンドリアの中身が僕だと知らないジャガーが割って入る。

ジャガー>まあまあ、きっとミトコンドリアさんもアスカのような精神状態でうんぬんかんぬん

ミトコンドリア>うっせえ!八島!

ジャガー>な、なんで僕の名前知ってるの!?

ミトコンドリア>うっせえ!PC-FXで同級生2でもやってろ!

ジャガー>お前誰だよ!田中か?

タクヤ>おやおや、内輪もめですか(爆)

こう、なんていうの、僕の気持ちわかりますか。確かに明らかに悪いのは僕なんですけど、こうなんていうか、切ないじゃないですか。こう別れた女を取り戻しにいったら、既に別れた女は新しい世界で新しい仲間を作っていて、必死に吠えてる僕がピエロみたいっていうか、こう、確かにタクヤのセリフとか特に(爆)の部分がムカつきますけど、とにかくもう、やり場のない何かがこみ上げてきたんです。

ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい


困り果てた僕は連打しました。紙面の都合上で全部載せられないのが残念ですが、「アスカのマンコ舐めたい」という発言を都合120回ばかり打ち込みまくりました。うおおおおおと一心不乱に打ち込みました。アスカってのはエヴァに出てくる元気な女キャラです。いわゆる「チャット荒らし」というやつですが、そうするしかなかったのです。

僕の猛攻に常連メンツは「死ね」「管理人に通報する」などの捨てセリフを残して去っていき、ついにはジャガーまで去って行きました。ハァハァと乱れる息でパソコンの前に立ち尽くし、「最低だ、俺って」と呟くことしかできませんでした。

さて、これで終わればよかったのですが、問題はその3日後ぐらいに訪れます。まあ、普通にあんな狼藉を、それも学校のパソコンからやったら問題が起きないわけないですわな。

もちろん、常連メンツの誰かからチャット管理人に連絡がいき、それが学校のネットワーク管理者みたいな偉い人のところにいきます。そして、親まで呼ばれてとんでもない説教を食らうことになったのです。

「息子さんが本学のネットワークからチャットを荒らしましてね」

「ホント、ウチの息子がすいません。ただ、わたしコンピューターってものがわからないものですから、いまいち何が悪いのか分からないんです」

チャンスと思いましたね。説教には母親が来た。これが親父ならヤツはキチガイだから意味も分からず殴られて殺されるだろうけど、母親となれば話は別。何が悪いかわからなければ怒られるはずもない。応接室みたいな場所で説教されながら僕は小さくガッツポーズをした。

「こちらをご覧ください」

偉い人が何やら数枚の紙を差し出す。

「なんですか、これは?」

母親が手に取る。その母親の目を見ながら偉い人は言った。

「息子さんが荒らした時のチャットのログです」

ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい
ミトコンドリア>アスカのマンコ舐めたい


それを見た母親が叫んだ。

「アスカのマンコー!」

応接室に響き渡った母親の叫びを僕は一生忘れない。

ひどいもんだぜ。全ての発言のログをプリントアウトしたものだから、都合120回にわたって打ち込んだ「アスカのマンコ舐めたい」が120行にわたって。後半の三枚くらいの紙全部「アスカのマンコ舐めたい」だった。

縦に読んだらマママママママママだぜ、で、その次がンンンンンンンンンンン、コココココココココココ、舐舐舐舐舐舐舐舐舐舐舐、酷すぎる。もう穴があったら母さんの穴でもいいから入りたいくらいの気分だった。

ネットワーク不正利用で停学になった思い出。母親が応接室で「アスカのマンコー!」と叫んだ思い出、僕はエヴァンゲリオンを見るたびにそれらを思い出して恥ずかしい気持ちになり、あんなことを二度と繰り返してなるものかと固く心に誓う。後で間違いに気づき後悔する、僕はその繰り返しだ。

僕にとってエヴァンゲリオンとは恥だ。その言葉を聞くだけで僕はアスカのマンコを思い出して顔が真っ赤になってしまう。それでも僕はエヴァの映画を見てエヴァのパチンコを打つ。多くの人がエヴァのことが好きな自分が好きであるように、エヴァを語る自分が好きであるように、エヴァを恥と思う自分を恥入るのだ。僕はそうやって自分を戒めて生きていくしかないのだ。

2009年6月27日より公開される「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」、また僕は恥ずかしい思いをするだろう、アスカが出てきたらスクリーンを正視できないだろう、それでも僕は見続ける、恥をかくために。いや、もう恥をかいていた。


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ローソンロッピーで買った「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」の前売り券の予約引換券。なんと、これを購入するとアスカとレイのフィギュアが特典としてついてくるらしい。フィギュア付きの文字が頼もしいくらいに勇ましい。2400円もするし、財布に3000円しか入ってないけどなんとか死ぬ思いで予約してこの引換券をゲットしました。

ただまあ、みなさんみたいに美少女フィギュアなんかを毎日舐めまわしているニートの方々には抵抗ないでしょうけど、僕のような一般人にはけっこう「フィギュア」って存在自体が抵抗ありましてね、ほら、引換券にも「フィギュア付き」ってしっかり書いてるでしょ。これがもう死ぬほど恥ずかしくて買うのに抵抗があった、快楽天買うより全然恥ずかしかった。

これもエヴァに対する自分への試練と思い、顔を真っ赤にしながらレジでお金を払いましたよ、このちょっと草なぎ剛君を少しブサイクにして公園で裸にしたような顔の店員さんが「こいつフィギュア付き買ってやがる(爆)」とか思ってたらどうしよお、胸がドキドキしちゃうよお、恥ずかしいよお、とか思いながら手に入れましたよ。

あとは公開二日前にこのローソンで現物を受け取るのみ。もう恥ずかしい部分は通り過ぎた。あとは受取日を待つだけだぜ!と毎日ワクワクしながら件のローソンの前を通りながら通勤していたら。


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予約したローソン、潰れてました。

クソッ!この仕打ち!いったいどうなってやがるんだ。あんなに恥ずかしい思いして予約したのに、またローソンカスタマーセンターとかに電話して「フィギュア付き予約したのに店が潰れちゃったんですけどー」とか言わなきゃいけないのか。つくづく一筋縄じゃあいかないぜ、エヴァンゲリオン。

どうせ恥をかくならいっそのこと窓口のお姉さんに「アスカのマンコー」と叫んでやろうか。で、「最低だ、俺って」って電話の後に後悔したい。恥をかいて公開前に後悔したい。