最近、異常なほどにチンコが痒い。
いやいやいや、いやね、いくら僕でも、いつも下劣なる文章を書き綴っている僕でも自らが運営するウェッブサイトに「チンコ」とか書きたくないですよ。できることならもっと高尚なお話、ブラックホール理論とか欧州原子核研究機構CERNの加速器LHC((Large Hadron Collider)を用いた極小型ブラックホール生成実験の話とかしたいですよ。ブラックホール作るとか超すごくない?
でもね、ここってNumeriじゃないですか、下劣過ぎてついに自分の職場からもアクセスブロックされたNumeriじゃないですか、誰もブラックホール生成実験の話なんて聞きたくないでしょうし、「やだ、Numeriに下ネタが載ってる!信じられない!」って幻滅する女の子なんていませんし、信じられないですけどそういった「チンコ」的な話で逆に狂喜乱舞する下世話な読者の方が何名かおられるんですよ。今日から日記下部に途方もない広告ついてることですし、もはやそういうもんだと割り切って読んでいただくしかないとないと思われます。諦めろ。
だからまあ、で何も気にすることなくチンコが痒い話させてもらいますけど、とにかく尋常じゃないレベルで痒いんですよね。それも局所的とかそういった生っちょろいものじゃなくて、もう、なんていうかエリア全体が痒い、死ぬほど痒い、それはそれは我慢できないレベルの痒さなんですよ。
でまあ、こういうことを勇気を出してカミングアウトすると、すぐに「patoってインキンじゃね?」みたいなことを言い出す輩がいるんですけど、そういうのってちょっと浅はか過ぎるんじゃないですか。僕はね、この部分はハッキリと憤りたい。
チンコ痒い→インキンだね
これはもう、すぐに空爆しちゃうアメリカ軍ぐらい浅はか。信じられない。バカ丸出し。そういう短絡的な閲覧者の方ってどうかと思うよ。もっとこうひとつの事実から千のことを読みとれるパワー閲覧者が理想だよね。例えば、
「最近、異常なほどにチンコが痒い。」
という名文からNumeri日記が始まったとします。そこで次の文を読み進める前に「フゥ」と一息つきます。これがパワー閲覧者。そこで様々なことに思いを馳せるのです。
きっとpatoはインキンでチンコが痒いんじゃない。なぜなら、インキンでチンコが痒いのは当たり前だ。痒くなかったらインキンじゃなかろうに。そう、インキンで痒いのは当然のことなのだ。当然のことをウェッブサイトの日記に載せるなど、今日は六本木でスイーツを食べましたって写メまで載せている24歳OLのブログと変わらないじゃないか。俺たちがpatoに求めているのはそんなことじゃない。きっとなにか納得できるだけの理由があるはずだ。
ここでパワー閲覧者はパソコンの電源を落とします。すぐに続きを読まない。謎を謎としてあえて残す、そうすることで森羅万象が見えてくるのです。この姿勢がパワー読者。
そして部屋の掃除を始めるでしょう。風呂にも入るでしょう。自分の体と身の回りを清めることからはじめます。湯船の中で自らの仮性包茎気味のチンコを見たとき、また先ほどの名文を思い出すのです。なぜpatoはチンコが痒いのか。
patoという人間は日記を通じてこれまでに様々な問題提起をしてきた。日本中がバブル経済に乱舞するころ、pato氏は物質的豊かさより精神的豊かさの重要性を日記上で訴えていた。彼はそういう人間だ。アホみたいな文章を書いていつつも、そこにはグサリと心の奥深くに突き刺さる言葉たちがあったはずだ。きっと今回の日記にも「チンコ痒い」を隠れ蓑にした強烈な社会批判が存在するはずだ。
私はいつもNumeri日記を読むたびに思う。日記上の彼はいつも「君はそのままでいいのかい?」と強烈に問いかけてくる。しかしそれは皮肉めいた嫌味でもなんでもなく、何かを強制するものでもなかった。ただまっすぐに私自身を激励してくれる、まるで古くからの友人のような軽々しさで「ほらっ、がんばれよ」と尻を叩いてくれる。そんなメッセージがあるのだ。
なぜpatoはチンコが痒いのだろう。インキンでないのならなぜ痒いのだろう。
高志はふと自分のチンコを見る。男なら誰だって一度や二度は痒くなった経験があるはずだ。痒くもないのにそっと掻いてみるだろう。すると、まるでフラッシュバックするかのように昔の思い出が走馬灯のように思い出された。
4年前の冬だった。当時私は彼女と同棲していた。同い年の芳江という女性だ。高校時代からの付き合いで、まだ若かった私たちの同棲生活はまるでオママゴトのような暮らしだった。
「ねえ、またpatoさんがNumeriでバカなこと書いてるよ」
「アハハハ、ホントだ。チン毛剃ろうとして出血したのか、バカな人だなー」
「すごいバカだよね、この人。高志はこんなのにならないでね」
「アハハハ」
収入の少なかった二人の楽しみといえば、週一度近くのファミレスで食事することと、一緒にNumeriを読むことだった。あの日、あの時、あの場所で、当たり前のように存在していた幸せ、湯船に半分顔を漬けブクブクと泡を吹き出す高志、いつのまにか芳江のことばかり思い出していた。
小さなベッドの上で毎日のようにセックスをした思い出、ことが済むと芳江はいつも物珍しそうにちんこを弄ってたっけなあ。湯船で自分のチンコを弄る高志はいつのまにかその思い出の中の芳江の手つきを真似ていた。
「なんであんなこと言っちゃったんだろうなあ」
些細な行き違いからあっという間に芳江との生活は終わりを告げた。いつもの軽い喧嘩では終わりそうにない壮絶な口論、売り言葉に買い言葉、次第にエスカレートした私は思ってもいない辛辣な言葉を芳江に投げつけた。そして、芳江は出て行ったっきり二度と戻らなかった。
何度か連絡を取ろうと思った。芳江に謝ろうとも思った。けれども、あんなひどい言葉を浴びせた自分がいまさら何を言えばいいのだろう、そうやって迷っているうちに4年の歳月が過ぎた。そこで突如として高志の頭の中に言葉が鳴り響く。
「最近、異常なほどにチンコが痒い」
名文中の名文として後世に残るであろうpatoの文章だ。
そうだ、チンコが痒いんだ。そこには何の打算もない。ただチンコが痒いという事実しかないのだ。インキンなのか、それとも不潔にしてるからなのかなんて関係ない。ただ事実を装飾する色付けに過ぎず、さしたる問題ではない。問題なのは痒いという事実のみ。それだけが大切なのだ、そうpatoに教えられた気がした。
いまさらどんな理由で芳江に連絡すればいいのだろうか、連絡が取れたとしてどんな話をすればいいのだろうか、なんてウジウジ悩むなんて本質から目を背けているに過ぎない。そんな装飾的な理由なんてほっといて、チンコが痒いなら理由なんて考えずに痒いと言い切る、それと同じように自分はまだ芳江のことを愛しているという事実だけが大切なんだ。
「また教えられたよ、patoさん」
また一つNumeri日記に救われた気がした高志は急いで湯船から飛び出し、びしょ濡れのままリビングの携帯電話を手にした。湯上りの熱気で携帯電話の画面が曇る。
もし電話番号を変えられていたら?メールアドレスも変えられていたら?芳江に新しい男ができていたら?芳江の中で自分が過去に成り下がっていることを知るのが怖くなる高志。携帯電話を操作する手が止まる。
「びびってんじゃねーよ、いっちゃいっちゃえ」
小栗旬、いやpatoさん。まだ会ったこともないpatoの顔が浮かんだ。そして、なぜか妙に心強い気がした。一呼吸おいて携帯電話を操作する。ずっと消せなかった芳江の電話番号だ。
プルルルルル
呼び出し音が鳴る。番号は変わってないのかもしれない。しばらく呼び出し音が続いた後、4年前に何度も聞いた女性の声が聞こえてきた。
「もしもし?高志?」
「ああ、ごめんな、突然電話して」
「ううん。気にしないで、私も高志に電話しようとしてたところなの」
「え?なんで?」
「今日、Numeri読んでたの、そしたら急に高志のこと思い出して」
「うん」
高志は俺もという言葉をぐっと飲み込んだ。
「でも急に連絡して高志が迷惑しないかな、もう時間も遅いかなって色々迷ってたんだけど、なんか、チンコが痒いなら痒いって言い切っちゃうpatoさん見てたら・・・」
「色々悩むのがアホらしくなったんだろ」
「そうそう、それで電話しようとしたらかかってきたんだもん、びっくりたよう」
あの日のようにNumeriで笑いあう二人、同じ思いを抱えた二人、なんだか急に裸のままで濡れネズミのようにして携帯電話を持っている自分に笑えてきた。
あれから数ヶ月。私はあいも変わらずNumeriを読んでいる、とんでもない広告がついていても読んでいる。今日も何かバカな話の中に勇気付けられるメッセージが隠されていた。そして今日はいつも素通りしているNumeri-FORM を使ってpato氏に感謝のメールを送りたいと考えた。
あなたの日記を楽しみにしていること。あなたの日記に励まされたこと。そうそう、あなたの日記に発奮して素っ裸のまま電話した笑い話も書かなきゃね。それこそNumeriの日記と同じくらい長文になりそう。だけどメールの書き出しはもう決まっている。
「今度、彼女と結婚することになりました」
チンコをボリボリ掻きながら高志はパソコンに向かっていた。こんなメールをもらってもpatoさんは何のことかわからないだろう。困惑するだろう。それでも私は満足だ。
っていうね、これくらいの熱いエモーションが欲しいわけですよ。チンコ痒いという一文を受けてこれくらいの考えを巡らし、思いを燃やすパワー閲覧者が理想的。「patoインキンだろw」とかそんなんで片付ける人は心の底から反省してほしい。
でまあ、ここまで書いておいてまっこと言い出しにくいのですけど、どうやらインキンで痒いみたいでしてね、もうインキンの教科書みたいな典型的インキンに悩まされてるんですよ。イケメンならまだしもインキンっすよ、インキン。
インキンの痒さってほんっとどうしようもなくて、仕事中だろうがラーメン食ってようがお構いなし、この世の終わりみたいな、育児ノイローゼのママみたいな痒みがやってくるんですよ。
これが耳とか腕とかが痒いならいいですよ、それこそ、痒いなら掻いちゃえばいい、掻き毟っちゃえばいいわけですからね。でもね、インキンの極悪さってのは痒さだけじゃなくてその部位にあるわけなんですよ。人間の体の中で最もセックスアピールの強い部位周辺が猛烈に痒い、これがもうブービートラップかってほどに熱烈に極悪。インキンってのは本当に悪魔以外の何者でもない。
これがまあ、一人のプライベートタイムとかなら全然構わない、むしろ痒いところを思いっきり掻き毟る快楽に身を委ねるんですけど、時と場合を間違えるとさあ大変。とたんに大変なことになるのです。
この間、職場の中庭でアリを捕まえていたんですね。天気のいい日でしたし、燦々と照りつける太陽を浴びながら必死にアリを捕まえていたんです。こうやってアリを捕まえる体勢ってのはインキンを掻き毟るには絶好のポジショニングでしてね、もう夢中になりながらアリを捕まえてるんだかチンコかいてるんだか分からない状態になってたんです。
「えーマジでー」
「それはないわー」
そうこうしてると女子社員の声が聞こえてきましてね、なんか旧社屋と新社屋を繋ぐ渡り廊下をキャピキャピと話しながら歩いとるんですよ。それが中庭にいる僕に丸聞こえなわけ。
「でもさ、森岡さんってカッコイイじゃん」
「私は高田さんがイケメンだと思う」
とかなんとか、社員の中で誰がカッコイイかみたいな話題に花が咲いてましてね、ホント、突如武装強盗が職場にやってきて全員レイプされねーかなーって感じで盗み聞きしていたんです。すると、
「私はpatoさんがいいと思うけどー」
みたいな、え、なに、幻聴?みたいなセリフが聞こえてきましてね、そりゃ僕だって分かってますよ、そういうのはわかってますよ。僕のようなイケメンランキングブービー賞みたいな男がそういったレースに加わること自体許されないって分かってますよ。たぶんその発言をした彼女も安全パイ的な意味合いで僕を名指ししたんだと思います。
例えばここで、本当にイケメン大本命みたいな社員の名前を出すとするじゃないですか。すると、当然、そのイケメンのことを気に入ってる女性はいるわけで、あっという間に噂が広まります。女性のそういった色恋沙汰に関する怨念ってものすごいものがありますから、知らず知らずのうちに恋敵、異常に敵視される事態にもなるんですよね。
そういうのって人間関係的にも得策ではありませんから、あえて無難な、それこそ絶対にバッティングしないであろう人間を、少し変わり者の自分というアピールと共に名指しする。世知辛い世の中を生き抜くテクニックですよ。
僕もまあ、職場で「芸能人で誰が好き?」とか聞かれて、「大塚愛さん」って即答すると、熱狂的なファンに敵視されるかもしれないじゃないですか、しかも人間って他人が欲しいものは自分も欲しいってなりますから、僕のカミングアウトを受けて「大塚愛いいかも」みたいな魅力に気づいちゃうかもしれないじゃないですか。そういうのって望ましくないですから、僕はいつもバッティングしないであろう「谷亮子さん」とか答えてます。多分、それと同じなんだろうと思います。
でもまあ、分かっていても嬉しいもので、その発言を聞いたときは自分のホッペをつねってました。夢じゃないかしらって感じで呆然としてました。
はい、ここまで読んだら懸命なパワー閲覧者の方ならご理解いただけますね。そうです、いつものヤツです。もう分かってると思うので端折りますけど、いつものようにその「私はpatoさんがいいと思うけどー」って発言した女の子の前で異様にインキンが痒くなるんですね。
考えても見てくださいよ、僕はその女の子が安全パイとかそんなんじゃなくて本気で告白してきたらどうしよう、とか、新婚旅行は熱海にしよう、とかそんなこと考えてるんですよ。そしたら、そこにその女の子が書類を持ってやってくる。ちょっと照れちゃってまともに目を見れないですよね。
「うんうん、この承認は先月もらってるからさ」
みたいな真面目な話をしつつ、こいつは俺に気があるのかも、それにしてもいい匂いがしやがるぜ、とか考えてて、彼女も
「そっかあ、なるほど。さすがですね」
みたいに、これは今晩空いてますよっていう遠まわしなアピールかもしれない言動をするんですよ。そこにズガーンとインキンですよ。
痒い、もう死ぬほど痒い。なんかちっちゃい悪魔みたいなのが性器周辺で五穀豊穣の祭りでもやってんじゃねえのって痒さが襲ってくるわけなんですよ。
もう考えることはインキンのことばかり、許されるならベロンと出して彼女に掻き毟らせたいくらいなんですけど、そうなるとNumeri日記じゃなくて獄中手記を書く羽目になりますからできません。なにより、僕のことを愛している彼女の前でそんなことできないじゃないですか。
「だから、ここは他の業者との兼ね合いもあるから、事前に連絡をしなきゃだめだよ。仕事してご飯食べていかなきゃいけないのはウチの会社だけじゃないんだから」
とか、微妙に真面目なこと言いながらも痒い痒い。っていうか、お前はやくどっかいけよ、お前がいるから掻き毟れないんだろうが、みたいな状態ですよ。
「ありがとうございました」
笑顔で去っていく彼女。もうその瞬間に手を突っ込んで掻き毟ってましたからね。なぜか「出力全快!」とか言いながらものすごい勢いで掻き毟ってた。
そしたらさあ、掻きすぎて出血しちゃってさ、それでも痒いから掻いてたらさらに出血するわ痛いわで大変でね、へへっ、それでも掻くのはやめられない、もはやインキンってのは麻薬だな、ってニヒルなアロマに酔いしれていたんです。すると、
「あのー、聞き忘れたんですけど・・・」
彼女が戻ってくるじゃないですか。うわっ、やばいっ、って光のごとき速さでパンツに突っ込んでた手を抜き取るんですけど、指先にインキンから出血した血がついてるんですよ。
「どうしたんですか!血がついてるじゃないですか!」
ビックリして駆け寄る彼女。
だめだ、インキンを掻き毟ったら皮膚がはがれて血が出たなんて言えない。僕と結婚したいとまで思ってくれている彼女の気持ちを裏切るわけにはいかない。ヒーローは子供たちの夢でいつまでもヒーローでなくてはいけないように、僕も彼女を失望させてはいけないのだ。
多分きっと、彼女は難しい話をする僕の姿を好いてくれているんだと思います。何か難しい話をしなくてはいけない、でもチンコが痒いというか痛い、この出血をどうやって隠すか、色々な事象がミラーボールのように頭の中で回転しちゃいましてね、なんか気が動転して
「欧州原子核研究機構CERNの加速器LHCを用いた極小型ブラックホール生成実験ってのがあってね、地球上でブラックホールを作ろうという実験なんだ。LHCってのはおっきな加速器でね、スイス-フランス国境にあって、ここで加速した陽子をぶつけてブラックホールを作ろうってわけ。でも、多分無理だけどね。これは、そもそも超ひも理論っていうのがあって・・・」
訳のわかんない話をしてました。
結局、死ぬほど心配して
「どうしたんですか?狂ったんですか?なんで血が出てるんですか?」
とか詰め寄ってくる彼女に対処できず、
「インキンかいてたら血が出た」
とカミングアウトしたら、彼女は怒って帰っちゃいました。帰ってくれて大満足。これで心置きなくインキンを掻き毟れる。
結局、今日の日記はいつものごとくインキンで大変なことになったというバカ話ですが、パワー閲覧者の方はここに隠された深いメッセージを読み取って欲しい。今日、みんなに伝えたかったのは
「インキンを掻くのも日記を書くのも同じだ」 ということ。微妙に深いことが言えて満足なので、今日はチンコをかいて寝ようと思う。それにしてもすげえ広告だな、おい。