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古生物学のミューズ

<生存報告>第二弾。

 

なんでも、昨年(2022年)の5月、ライム・リージスにメアリー・アニングの銅像が設置されたそうだ。

 

Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Head_on_view_of_the_statue_of_Mary_Anning.jpg

 

 

Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mary_Anning_statue.jpg

 

右手にハンマー、左手にアンモナイトの化石…。

これ見たいな。

 

2016年のイングランド旅行でのライム・リージス風景スナップ。

 

 

 

さて、彫刻ネタ絡みで、書斎のアンモナイト・オブジェから一点。

 

フランスの彫刻家André-Joseph Allar (1845-1926)のブロンズ彫刻。

 

正式な作品名はおそらく"La Science"(科学)だと思われるが、通称では「女と貝殻」とか「鸚鵡貝を持つビーナス」などと呼ばれていて、私は勝手に「古生物学のミューズ」と呼んでいる。

 

原型の製作は1890年以前とされているが、作者の死後も様々なサイズや材質で複製が行われており、これもその一つだろう。

 

 

左膝に乗った書物に片肘をつき、右手にはアンモナイトの化石を持って観察している。

 

これに似たポーズは、学問の寓意を題材とした彫刻によく見られる。

 

代表的な例としては、

独・ベルリンの聖ニコラス教会にあるブロンズ彫刻"Allegory of Science"(1987年)がある。

Source: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Germany-00495_-_Allegory_of_Science_%2830334914865%29.jpg

 

この彫刻では、右手に書籍、左手に地球儀を持っている。

この組み合わせは、科学の寓意としてはごく自然な選択だろうと思う。これに対して、「古生物学のミューズ」のアンモナイト化石は一体どこから着想したのか、不思議だ。

 

ちなみに、メアリー・アニングを記念したライム・リージス博物館には良く似たアンモナイトのオブジェが飾られているが、はたして関係があるのかどうか。

 

 

さて、有名なWolfgang Hugo Rheinholdの「哲学的な猿」(1893年頃) は、このようなポーズの系譜を踏まえたパロディーであると言える。

 

「哲学的な猿」(名古屋市美術館で購入した樹脂製ミニレプリカ)。


 

猿が座っている書物の背表紙には”DARWIN"の文字が見える。また、いちばん下の書物の表紙に刻まれた言葉は、聖書の創世記に出てくる蛇の言葉(ラテン語)で、和訳すると「汝ら神の如くなりなむ」。

 

 

 

 

これを見て映画「猿の惑星」のシリーズを連想する人は多いだろう。芸術作品が時に作者の意図を超えて、恐るべき啓示となり得ることを示す一つの例である。

ちなみに、この彫刻は何体か鋳造され、その一つは、クレムリンにあったレーニンの執務室の机に飾られていたとされる。

 

最後に、

「科学の寓意」の系譜をさらに追っていくと…。

 

 

福井県立恐竜博物館の「恐竜博士」に行き当たる(笑)。