映画『クライモリ』は、アメリカ・ドイツ合作のスプラッターホラー作品で、2003年に公開されて以来シリーズ化された名作です。
監督はロブ・シュミット、脚本はアラン・B・マッケルロイが務め、特殊メイクのスタン・ウィンストンの手によるグロテスクな演出が話題になりましたた。
物語は、ウェスト・ヴァージニア州の深い森を舞台に、道に迷った若者たちが人里離れた山道で車の事故に遭い、やがて“怪物人間”たちに命を狙われる、というサバイバル型のホラーです。
舞台となるウェスト・ヴァージニア州の森は、うっそうと樹木が生い茂る“人間の気配が消えた場所”。友人同士でキャンプに向かう途中で車のトラブルが発生し、偶然現れた医学生クリスと合流します。
しかし事故によって2台の車が大破し、彼らは助けも呼べず、見知らぬ山奥で立ち往生してしまいます。公衆電話を探しに森へと歩き出した若者たちは、奇妙な焚き火や動物の死骸など、不穏な兆候に次々と遭遇。やがて彼らを待ち受けるのは、常人離れした“怪物じみた人間たち”による残酷なハンティング。
圧倒的な暴力と逃げ場のない状況が、観る者を絶望と恐怖に叩き落とします。
シリーズはヒットし、合計6作が製作されています。後にリブート版が登場し、舞台や設定には多少の変更が加えられましたが、基本となる「森で迷ったグループを怪物が襲う」というシンプルな構図が、スリルと残虐描写で強いインパクトを残しています。
感想
クライモリは、サバイバルホラーの王道を突き詰めた映画という印象がありますね。森の静けさと不気味さ、不穏なしるしが少しずつ積み重なっていく展開は、観ていて徐々に緊張感が高まります。
最初はどこかキャンプを楽しむ雰囲気もあって、“自分ならこういう状況でどうするんだろう?”と想像しながら観ていました。
物語が進むにつれて、若者たちは圧倒的に不利な立場に追い込まれていくんですが、その度に「次は誰がやられてしまうのか」「どうやってこの状況を打開するのか」という予測不能なサバイバルがドキドキさせてくれました。
襲ってくる相手は見た目や行動も異常すぎて、ホラー映画好きにはたまらないキャラクター。その一方で、仲間同士で助け合う人間ドラマもあって、ただ怖いだけじゃなくて応援したくなる気持ちも湧いてきます。
印象的だったのは、森という空間がほぼ“無限”のように感じられる閉塞感です。逃げても逃げても出口が見えない。
これが映像や音響の演出でより強調されていて、観ている側も自然と息が詰まる感じになります。派手なグロ描写や残酷さだけではなく、心理的な恐怖の積み上げ方がよくできていると思います。
あとは、ホラー映画特有のご都合主義的な展開も少しあって、「そんなトラブルまで起こるのか!」と、突っ込みを入れたくなる部分もありました。でもそれも“ホラーあるある”の一つとして、むしろ安心して観られると言えるかもしれません。シリーズ化されていることからも、一定の人気や高評価を得ていることがわかりますね。スティーヴン・キングが年間ベストワン映画に挙げていると知ると、ホラーファンとしては観て損はないなと思います。
グロい表現は苦手な方にはおすすめできませんが、森の中で“出口のないサバイバル”を体験したい人や、ホラー映画の王道を味わいたい人にはぜひ一度観てほしい作品です。