ある意味ホラーよね
『スーパーサイズ・ミー』（原題：Super Size Me）は、2004年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画で、モーガン・スパーロックが監督・脚本・主演を務めています。
映画は彼自身が30日間、毎日3食すべてをマクドナルドで済ませるという“人体実験”に挑戦し、その過程や体の変化を記録した異色のドキュメンタリーです。
この企画のきっかけは、肥満に悩む少女2人が自身の健康被害をマクドナルドのせいだとして訴訟を起こしたというニュースにスパーロックが衝撃を受けたこと。
では実際にファストフードだけの生活を送るとどうなるのか、1日3食、30日間、全ての食事をマクドナルドで摂り、「スーパーサイズ」（特大セット）を薦められたら必ず応じる、という厳しいルールを課して臨みました。
彼は医師や栄養士の診断を定期的に受け、健康状態を科学的にモニタリングしながら企画を進行。
その結果、体重は約11kg増加し、血圧や血液の値も大きく悪化、精神的な落ち込みや性機能低下など、さまざまな弊害を感じるようになります。
この映画はアメリカの食文化や巨大企業のあり方、社会問題をポップかつショッキングに描き、多くの観客へ問いを投げかけました。
2005年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされており、社会的なインパクトの大きな作品となっています。
感想
いや〜この『スーパーサイズ・ミー』、最初観た時は「なんてアホな企画やるんだ！」みたいに思ったんですよ。
だって朝から晩まで1ヶ月間ずっとマックって…！好きな人でも絶対キツイ！と、正直ちょっとバカらしいと思いながら観てました。
でもこれ、笑えないくらいリアルで衝撃的なんですよ。
映画が始まったら、スパーロックのテンションはなかなか高いんです。まあ、まだ最初だし楽しそうにハンバーガーにかぶりついてる姿なんて「わかるわ〜」って感じ。
でも1週間もしないうちに、顔色は悪くなるし、食べながら気持ち悪そうな顔になる。あれ、観てるこっちまで胃がもたれそう
特に「スーパーサイズ」、これ日本だとあんまり馴染みないけど、向こうのLサイズどころかその上で、飲み物もポテトもバケモノみたいな量なんですよ。
お店で「スーパーサイズにします？」って言われて、毎回イエスって答えるの、もう罰ゲーム！見てて「そんなに詰め込んで大丈夫…？」って心配しかない。
実際、途中で食べきれなくて嘔吐しかけたり、さすがにやりすぎ感も否めない。
でも彼、本気なんです。
しかもドヤ顔で「データ取ってるから！」みたいなノリ。
あと、スパーロックは病院では健康だったのが、どんどん検査値が異常になって、医者に「もうやめた方がいい」って本気で言われるシーンは重い空気。
観ながら「いや、それやめときなって！」みたいなツッコミ入れたくなりますよ。
でも彼、やめません。究極の“体張る”ドキュメンタリーです。
笑えるシーンやテンポのいい編集でエンタメ的にも観やすいけど、一方でファストフードの中毒性や企業のマーケティングが子どもをどう取り込んでるか、学校給食の現状や肥満社会の問題もガツンと突きつけてくる。
「たかが食事だけど、されど食事だなあ」としみじみ考えさせられる。
意外だったのは、これ観たからってマック拒否になる人と、逆に「うまそう！」って食べたくなっちゃう人がいるってこと。
でも「毎日ずっとは無理だな」と誰もが感じるはず。
中には「こんなの極端すぎる」とか「科学的に意味あるの？」って批判もあるけど、エンタメとしての見せ方やインパクトの強さが好き。
大手への痛烈なユーモア批判もアメリカらしくてグッドだし、公開後に本家マクドナルドが「スーパーサイズ」メニュー廃止に踏み切ったっていう現実の影響力もすごい。
あと、スパーロックの体の変化だけじゃなくて、彼の心の落ち込みとか食に対する精神的な影響も生々しくて、これ“食べること”の大事さとか怖さとか、身近なテーマを実感できるのが魅力。
説教臭さがなくて、ポップなノリでテンポよく見せてくれてるのもポイント。
「ファストフードは絶対ダメ！」みたいな断罪じゃなくて、「ほどほどにしなきゃね」って思わせるバランス感が面白い。
そう、「一度くらいなら楽しんでもいいけど、毎日はやめとこう！」ってことを体を張って教えてくれる映画。
観終わった後はしばらくジャンク食べるの控えたくなるし、なんだか無性にサラダが恋しくもなる…。
どストレートな社会派でありながら、笑いも交えて、自分自身にも問いかけてくる一本。健康第一、食生活見直そう！って改めて思わせてくれる、めちゃくちゃ痛快な映画でした。
2025年8月現在
プライムビデオ、TSUTAYA discussにて配信中
