『RUN/ラン』は、2020年に公開されたアメリカのスリラー・サスペンス映画です。


監督はアニーシュ・チャガンティ、主演はサラ・ポールソンとキーラ・アレン。


チャガンティ監督は、スマホ画面だけで物語が展開される異色スリラー『search/サーチ』(2018年)で注目を集め、本作がその長編2作目となります。


本作の舞台はアメリカの田舎町。物語は、車いす生活を送る高校生クロエと、その母ダイアンの生活から始まります。


ダイアンは、早産で生まれたクロエの健康を一手に担う厳格な母。クロエは家で療養生活を送っており、教育もこれまでずっとホームスクーリング。

そんな中、進学を控えたクロエは、ある日、母が処方している薬に違和感を抱くようになります。


それをきっかけに、小さな秘密がやがて大きな真実へと暴かれ、二人の関係にひびが入っていきます。


この映画は90分という比較的短い尺の中で、母娘という密接な関係性からサイコスリラーへと観客を引き込んでいきます。  


特筆すべきは、主演のキーラ・アレン。車いすで生活する実際の俳優を起用したキャスティングにより、リアリティと緊迫感が一層高まりました。 


また、サラ・ポールソン演じる母ダイアンも圧巻の存在感で、彼女が画面に映るたびに不穏な空気が漂います。



感想

観終わったあとしばらくドキドキが止まらなかったです。

「家の中だけでここまで怖くなる?」って感じ。


ほんと、シンプルな作りなんだけど、静かな日常の中に少しずつ滲み出る違和感が、すごくうまい具合に積み上がっていって、気づけば息を詰めながら観てる自分がいた。


最初は、「母が娘をめちゃくちゃ世話してる話なんだな」ぐらいに思って観てました。まぁ、ちょっと過保護すぎない?って気はしたけど、それでも子ども思いの母親ってことかなって。


しかし、クロエが処方された薬をネットで調べようとした時、パソコンが繋がらない。 あのあたりから「ん?」ってなってきて、少しずつ歯車が狂っていく感じがたまらなかった。 


そして、薬のバレるシーンの緊張感、本当にヤバかった。


私、椅子に座って観てたのに、気づいたら前のめりになってましたガーン


ダイアンの動きがもうホラーだし、笑顔が逆に怖い。


サラ・ポールソンって、ほんとにこういう役やらせたら天下一品。


『アメリカン・ホラー・ストーリー』とか出てた時もすごかったけど、今回の「静かにヤバい母親」って感じも最高だった。


あとさ、クロエ役の子(キーラ・アレン)がまたスゴい。


本当の車いすユーザーだってあとで知ってびっくりしたけど、それを抜きにしても、ちゃんとした演技だったし、行動ひとつひとつに説得力があった。


それにしても、閉ざされた家からの脱出モノってやっぱ燃えますね。

人間って、狭い空間で起こる密室劇になると、どうしても「どうやって逃げ出すんだろう」って思考になって、そこにスリルを感じる。


この映画は、それをちゃんと丁寧にやってくれてるから、こっちもずーっと集中して観られるんですけどね。


終盤の病院のシーン。あそこでのクロエの“ある決断”がさ……ちょっとゾッとしたというか、なんとも言えない気持ちになったよ。


「え、それする?」って……怖さとスカッと感が混ざってるというか、複雑。


その答えがまた、母娘の関係性の果てを象徴してる感じで、しっかり後味も残してくれるんよな〜。あのラスト、わりと賛否分かれるとは思うけど、私は「強烈に印象的だった派」だね。

 

ちなみに『RUN』ってタイトル、最初はなんとなくつけてるのかと思ってたけど、観たあとに思うと、かなり意味深だったなって気づく。


クロエが「走ることができない娘」ってところから始まって、でも精神的にも肉体的にも「RUN=走る・逃げる・自由を得る」って方向に向かって成長していく物語なんだなって。


下手なホラーよりもずっとゾッとするし、心理的な恐怖がよく描かれた良作スリラーでした。 


シンプルな作りなのに、一切ムダがないっていうか。ラストの意外性も含めて、「まだ観てないなら今すぐ観たほうがいい」って自信持って言える一本!


2025年8月現在

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