『人肉ラーメン』(原題:Meat Grinder)は、2024年に日本公開されたタイ製作のスプラッターホラー映画です。


監督はティワ・モエイタイソンで、単なるグロ映画と思いきや、強い悲哀と芸術的な映像美を兼ね備えた異色作として話題を集めています。


主人公は、虐待トラウマを抱えた女性・バス。


彼女は、体の弱い娘ブアとともに苦しい日々を送っています。ギャンブル依存の夫が残した借金に苦しみながら、屋台で生計を立てていました。


しかし、反政府デモの混乱に巻き込まれ命を救われたことをきっかけに屋台業をやめ、一族に伝わる「秘伝のレシピ」で自宅ラーメン店を始めることになります。


この特製ラーメンが爆発的にヒットし、恩人の青年アタポンも働くようになり、2人の距離は縮まっていきます。


しかしそのラーメンには、決して他人に知られてはいけない“秘密の食材”が隠されていました。アタポンがその事実に気付いたとき、悲劇が加速します。


タイ本国では残酷描写が問題になり、カット版で公開されましたが、日本では完全版として上映。


“芸術映画”とも呼ばれるほどの撮影・構成の巧みさ、そして哀しみと血肉の“旨み”が交錯する唯一無二の作品です。



感想

『人肉ラーメン』、まさかここまで「エモい」映画とは思わなかったです。


最初、タイトルだけ見たら絶対バカ映画だろうなって身構えてました。


普通、こんな直球タイトルだと「またそういうイロモノか」ってなりますよね。


ところがどっこい、グロ表現もすごいんだけど、それ以上に悲しみと情念の濃さが段違い。


まず主人公のバス。もう人生ボロボロ。幼少期から父親に虐待されるわ、ギャンブル狂いの夫は借金残して消えるわ、その上で娘をかかえ働き続ける。

さらに、屋台引いて地味にコツコツやってるところに、反政府デモの大混乱。本当に「泣きっ面に蜂」ってこのこと。


そこで救いの手を差し伸べてくれるのがアタポンって青年。


ここはベタだけど、まあちょっとホッとする。でもバスの優しさや努力って、全部が全部、幸せのためじゃなくて「生き延びるため」なのが痛々しくて。


本当、彼女に肩入れせざるを得ない感じ。


ラーメン屋が繁盛してちょっといい空気流れてきた――と思った矢先、「え、そう来るの?」って展開になるわけです。“人肉”ラーメン。いや、そこまでストレートにやる?むしろ隠す気なさすぎて逆に潔い!最初から刻んだり解体したり全部見せるから、怖いってよりゾッとする。


しかも、調理シーンがめっちゃ「ラーメン愛」感じます。

スープの取り方からチャーシュー(?)の保存法まで、ほんと職人芸。


この映画の不思議なとこは「芸術性」。

血しぶきドバーのグロなのに、カメラや照明の演出がすごくオシャレで、映像から湿気やにおいまで感じそうな生々しさ。線路脇歩くシーンは、まるでウォン・カーウァイ映画みたいだし、回想と現実の入り混じりもすごく詩的。 


「カメラを止めるな」よりケタ違いに金かかってると思う。


あと、ストーリー展開は意外と複雑。 

時系列バラバラだし、伏線や回収もめっちゃ多い。ちょっと登場人物の見分けがつきにくいってのもあるけど、すべてを最後にきっちり回収してくる。 

だからこそ、最後の悲劇的なラストが心に刺さります。


グロ耐性ない人はやめといた方がいいし、R18指定も納得。でもこの映画、単なるスプラッターじゃなくて、“人間の情念”と“生きることの悲哀”を、血肉と一緒に煮込んだ料理みたいなもの。


「自分を食い物にしてきた人間たちを文字通り食い物にする」ってストレートすぎ!主人公自身も救われるどころか、ますます深い闇に引き込まれていく展開なんだけど、ただのカニバリズムでは終わらない、底知れない哀しさとやるせなさが詰まってる。

ちなみに、グロ描写は本当に丁寧。大きな中華包丁で、ためらいなくターゲットにズバズバいくし、肉塊の保存から出汁のとり方まで超細かい。「これチャーシュー?いや、人間だろ!」みたいな。一部では「ヌルグチョゴア」って呼ばれるくらい、アジア映画らしい湿気とじっとり感。それがリアルなんだよ……本当、エグいけど妙に詩的なのがまたずるい。

タイトル通りだけど、思ったより奥深すぎて、他人にはちょっとオススメしにくい。   


でも、グロもエモも芸術性も全部盛りで、挑戦的なタイ映画が観たいなら一度体験してみる価値は大アリ!


2025年8月現在

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