『テキサス・チェーンソー ビギニング』は、2006年公開のアメリカ映画で、「悪魔のいけにえ」などの流れをくむ名作ホラー『テキサス・チェーンソー』の前日譚として制作されました。
原題は “The Texas Chainsaw Massacre: The Beginning”。日本は2006年11月11日に公開されています。
物語の始まりは1939年、テキサスの食肉工場。ここでトーマスという奇形で生まれた赤ん坊が生肉の包装紙に包まれ、すぐさまゴミ箱に捨てられる。
この赤ん坊を偶然拾ったヒューイット家の女性によって育てられ、少年時代から動物の解体に異様な執着心を見せるなど、異常性が際立っていきます。
やがて9歳から地元の食肉処理工場で働き始め、30歳のときに工場の閉鎖をきっかけに工場長を殺害してしまう。
一方、時は流れて1969年のベトナム戦争の最中。徴兵に怯える若者ディーンと、兄でベトナム帰還兵のエリック、そして恋人たち2人がテキサスを縦断する旅に出ます。
彼らが遭遇するのは、保安官ホイトと名乗る異様な男。そして辿りつくのが、殺人鬼レザーフェイス=成長したトーマスと、ヒューイット家の狂気に満ちた世界。若者たちは次々と残虐な目に遭い、物語は絶望的な終焉へとなだれ込んでいく。
この作品では、殺人鬼レザーフェイス誕生の秘密や、「なぜヒューイット家はここまで残酷になったのか」、さらには「ホイトがなぜ保安官の格好なのか」なども描かれており、これまで語られてこなかったバックグラウンドが解明される仕組みになっています。
監督はジョナサン・リーベスマン。前作リメイクの成功を受けてのスピンオフ的続編で、シナリオと演出にはシリーズらしい残虐描写やサイコな恐ろしい家族の姿がふんだんに盛り込まれています。
感想
「テキサス・チェーンソー ビギニング」、観終わってとりあえず言いたいのは「やっぱりチェーンソーとヤバい家族、最強」ですよ。
シリーズファンとしては「あの異常家族とか、どのタイミングでぶっ壊れちゃったの?」みたいな初めて明かされる過去話がてんこ盛りで、そこが一番そそられました!
冒頭からもうグロテスクな空気満点だし、ヒューイット家の「まともな人間いない感」は他のホラーより頭ひとつ抜けてる。
あのレザーフェイス、つまりトーマスがどうやって生まれてどんな経緯で人間やめちゃったのかって点、しっかり描かれてる――ていうか、もう「生まれつきアウト」なレベルで仕込んであって、どんな教育も通じない異常性が怖すぎて笑うしかない。
兄弟2人+彼女2人が「ベトナム徴兵とかどうしよう」なんて悩んでたら、その20倍は悩ましい地獄が後で待ってるっていう…。
途中からは敵が人間じゃなくて、家族まるごとサイコパスっていう反則技。
保安官ホイトのイカれ具合もヤバい!あの鬼教官ばりの詰め寄り方に「愛国心がないのか!」ってブチギレてくる怖さ、あんな警官いたら絶対逆らえない。
で、そのまま若者たちは一人ずつ処理されていく無慈悲さ。「あぁ、救いはないな」って最初からわかってるのに、ついつい誰か助かるんじゃないかって期待しちゃう自分がアホだった。
グロ度合いは「そこそこ」って感じで、昔ながらのスプラッターホラーの王道をしっかり踏襲。リアルで生々しい肉の描写や、凶器の音、家族の食卓シーン…映像がモロに胃にくる。
これ観たあと、絶対焼肉はやめとけ、と全力で言いたい。何の肉食べてるかわかんないもん、あの家族。
あと、何だかんだでヒロインの体の描写が強調されてたり(男ってやつは
)閉塞感と疾走感が両立してるから、観てて飽きない。
バカバカしいなってツッコみたくなる部分もあるんだけど、それすら「このシリーズっぽくて好きだな」とニヤニヤしてしまう。
でも、やっぱりこのレザーフェイスの描き方だけはちょっと不満もあります。
オドオドして警察におびえるサイコキラーって、どうなの?もっと「自分ルールで暴れまわるラスボス」感見せてほしかったって思っちゃう。
とはいえ、シリーズに流れる「この世の理屈なんか通用しない理不尽さ」「逃げ場のなさ」は十分出てて、その理不尽さの恐怖が一番くるんですけどね。
ストーリーとしては前作のパターン踏襲なんだけど、「だからこそ安定して怖い」「テンプレに安心して絶望できる」っていう意見もわかる!「このジャンル初めてでちょっと怖い映画観てみたい」みたいな人にはすごくオススメできるし、シリーズ通してみると細かい伏線や繋がりにも発見がある。
知識ゼロで観てもドン引きしつつ引き込まれるのは間違いなし。
本気でグロ苦手な人はやめといたほうがいいけど、ある意味“王道エンタメホラー”としても通用するバランスの良さ!ただ肉料理だけはしばらく食べる気しなくなるから、そこだけご注意を…。
2025年7月現在
プライムビデオ、U-NEXT、Leminoにて配信中





