『コレクター』(原題:Kiss the Girls)は、1997年公開のアメリカ映画です。


原作はジェームズ・パターソンの同名小説で、アレックス・クロス博士シリーズの第1作。


監督はゲイリー・フレダー。主演はモーガン・フリーマンで、共演にはアシュレイ・ジャッドやケイリー・エルウィスらが名を連ねます。


物語の主人公は犯罪心理学者で刑事のアレックス・クロス(モーガン・フリーマン)。


彼の姪・ナオミが立て続けに発生している連続女性誘拐事件に巻き込まれてしまい、クロスは現場捜査に乗り出します。


事件は、美しく才色兼備な女性ばかりを狙い監禁・「収集」する異常犯人が関与するもの。


クロスは被害者たちの心理や行動の分析を進める中で、生還した女性医師ケイト(アシュレイ・ジャッド)と協力し捜査を進展させます。


事件は次第にクロスと犯人“コレクター”との息詰まる知的対決となっていきます。



感想

『コレクター』、改めて観るとやっぱりモーガン・フリーマンの安定感がすごいです。

静かな佇まいなんだけど、あの眼差し一つで場面の空気がピリッとしまる。役柄が犯罪心理学のエキスパートって設定もあって、なんとも説得力がダダ漏れ。

余裕あるおじさまなのに、やるときはしっかりアクションもこなすし、頭の回転早い感じが画面から伝わってくる。


お話自体は「美女ばかりを狙って監禁、しかも“コレクター”的な異常趣味を持つ犯人」ってことで、サイコサスペンス好きにはたまらないシチュエーション。


次々女性が囚われていく序盤から、犯人の仕掛けもどんどん巧妙になるし、クロスとケイトのタッグ捜査も緊張感あって飽きさせない。


ラストに向けてのどんでん返しも定番だけど、じんわり効いてきて、なるほど~ってうならされた。


それにしてもアシュレイ・ジャッドのたたずまいが素晴らしい。監禁されて傷つくだけじゃなくて、自分で道を切り開いていく芯の強さが、これまたかっこいい。 


クロスと一緒に捜査する流れも無理なくハマってて、彼女が出てくると画面に緊張感と希望が生まれる感じ。美女というより、インテリで意志の強い女性としてちゃんと描かれてるのがグッときた。 


にしても、犯人の「コレクター」ってネーミングが妙に生々しい。

映画自体、過度なグロやショック演出で押すわけじゃないけど、「女性をコレクトする」って発想の異常さがじわじわくる。


こういう題材って、やりすぎるとお下品になるけど、『コレクター』の場合は猟奇性が抑えられてて、むしろじっとりとした怖さが残るタイプ。


あと細かいところだけど、90年代後半のアメリカ映画って感じの雰囲気がプンプン漂ってて、画面も色味も音楽も全部懐かしい。


デジタルじゃない、アナログ映像のざらつきがサスペンスにハマってる。


警察やFBIの現場の息苦しさも、ちょっと鈍重な捜査の流れも、今のスピード感優先なサスペンスにはないじっくりしたテンポで、逆に見応えあった。


モーガン・フリーマンといえば『ショーシャンクの空に』とか『セブン』とか他にも名作たくさんあるけど、本作のクールで知的なクロス役もかなりハマり役。心理学的な推理も全部説明臭くなく、ああ、彼が言うと納得しちゃうなっていう安心感がすごい。今改めて観てみると、なんとなく地味に見えるんだけど、「人の内面をえぐる怖さ」は今でも十分に伝わってくる。 


犯人の正体もそこまでひねくれてないけど、その分、捜査の細かい駆け引きや、目の前の危機にどう立ち向かうか、みたいなリアルさがジリジリ効いてくる。


あんまり派手に爆発したり銃撃戦したりしないけど、これはこれで一個のサスペンスの理想形。ちょっと昔っぽいけど、それも味になってる!


最後に、これ邦題が『コレクター』だから一瞬1965年の「コレクター」と間違える人もいそうだけど、まったく関係なし。 

こっちはコレクター的な異常さを持った誘拐犯を追うサスペンスで、「女性収集」ってテーマが妙にクセになる映画。サイコサスペンス好きはもちろん、モーガン・フリーマンのファンでも十分楽しめる一本でしたよ。


全体的には「安心してモーガン・フリーマンの推理サスペンスぶりを楽しめて、適度にハラハラ、後味もちゃんと残る」一本。


もし未見なら、肩ひじ張らずに気軽な気持ちで観てみると意外な満足感があるんじゃないかな、って思います!


2025年7月現在

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