『ムカデ人間』(原題:The Human Centipede (First Sequence))は、2010年に公開されたトム・シックス監督によるオランダ・イギリス合作のホラー映画です。


本作は、その衝撃的な設定とビジュアルから世界中で物議を醸し、カルト的人気を獲得しています。


物語の舞台はドイツ郊外の森。アメリカ人女性のリンジーとジェニーは、ヨーロッパを旅行中に車のタイヤがパンクし、助けを求めて人里離れた一軒家にたどり着きます。


そこに住んでいたのは、かつてシャム双生児の分離手術で名を馳せた外科医ヨーゼフ・ハイター博士。しかし、博士はかつての栄光とは裏腹に、今では「人間の口と肛門をつなぎ合わせて一つの生命体“ムカデ人間”を作る」という狂気の実験に執着していました。


リンジーとジェニーは博士に薬で眠らされ、地下室に監禁されます。


目を覚ますと、そこには同じように拉致された日本人男性カツローもいました。 


博士は三人に自らの計画を告げ、強引に手術を施します。こうして三人は、口と肛門をつなぎ合わされた「ムカデ人間」として生きることを強いられるのです。


物語は、絶望的な状況の中で三人が脱出を試みる姿や、警察の捜査、そして狂気に取り憑かれた博士との攻防を描きます。


やがて、博士の屋敷に警察が訪れますが、彼らもまた博士の手によって命を落とし、最後には悲劇的な結末が待っています。



感想

『ムカデ人間』ってタイトルからしてヤバそうだなと思ってたけど、実際に見てみると、確かに設定はめちゃくちゃ衝撃的。でも思ったほど“怖い”映画じゃなかったです。


グロいとか気持ち悪いってイメージが先行してるけど、実際の映像は意外と淡々としてて、むしろブラックユーモアを感じる場面も多い。


博士がめちゃくちゃ真剣な顔で「ムカデ人間」の仕組みを説明するシーンなんか、怖いというより「何やってんのこの人…」って感じで、ちょっと笑ってしまった。


博士のキャラが突き抜けてて、ある意味コントみたいな雰囲気すらある。


手術シーンも、想像してたほど直接的な描写は少なくて、むしろ“想像させる”作りになってる。


だから、グロ耐性がない人でも意外と見られるかも。もちろん、気持ち悪いのは間違いないんだけど、ホラー映画によくある「びっくり系」とか「幽霊が出てくる系」とは全然違う。怖さというより、「うわ、こんな発想する人いるんだ…」っていう驚きと、どこかコミカルな空気が同居してるのが面白いところ。


あと、ムカデ人間にされちゃう三人のうち、日本人のカツロー役の北村昭博さんがめちゃくちゃ熱演してて、後半の叫びとか本気で迫力ある。


でも、やっぱり全体としては「怖い」というより「変な映画見ちゃったな~」って感想が強い。ラストも救いがないっちゃないんだけど、観終わった後にズシンとくるタイプの怖さじゃなくて、「なんでこんな映画作ったんだろう」って考えてしまう感じ。


世間的には「トラウマ映画」なんて言われてるけど、個人的にはそこまでじゃなかった。


むしろ、ホラー好きなら一度は話のネタに見ておくと面白いかも。


グロテスクな描写や設定が苦手な人にはおすすめしないけど、「変な映画」「カルト映画」に興味がある人にはピッタリだと思う。怖がるよりも、「すごい発想力だな…」って感心しちゃう、そんな不思議な映画でした。


『ムカデ人間』は、単なるグロ映画とかホラー映画というより、「人間の発想の限界を試す映画」って感じでした。


2025年7月現在

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