『セブン』(原題:SE7EN)は、1995年公開のアメリカ映画で、監督はデヴィッド・フィンチャー。脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー。主演はモーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、グウィネス・パルトロウ、ケヴィン・スペイシーと豪華な顔ぶれです。

物語の舞台は、常に雨が降り続く陰鬱な大都会。退職を間近に控えたベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と、熱血漢の新人刑事ミルズ(ブラッド・ピット)が、キリスト教の「七つの大罪」をモチーフにした連続猟奇殺人事件を追います。犯人はそれぞれの罪(大食・強欲・怠惰・肉欲・高慢・嫉妬・憤怒)に対応した方法で被害者を殺害し、現場にはその罪を示す証拠やメッセージを残していきます。

捜査が進む中、事件はますます残酷さを増し、やがて犯人ジョン・ドウ(ケヴィン・スペイシー)が自首。彼の誘導でサマセットとミルズは荒野へ向かい、衝撃的なラストを迎えます。

本作は、サスペンスとホラーの要素を兼ね備えたダークな映像美、緻密な脚本、そして予測不能な結末で、公開から30年近く経った今もなお高い評価を受けています。



感想

『セブン』、これ初めて観たときの衝撃、今でも忘れられないです。

まず、冒頭からずーっと雨が降ってて、画面の色味も暗いし、なんか息苦しいくらいの重苦しさ。いきなり「大食」殺人の現場で、被害者がテーブルに突っ伏してるシーンとか、うわ〜って感じで、観てるこっちも胃がキリキリしてくる。


で、サマセットとミルズ、この二人のコンビがまた絶妙なんです。サマセットは人生に疲れた感じで、すごい冷静で理知的。ミルズは若くて熱血、ちょっと短気で、でも正義感は強い。

最初は全然かみ合ってないんだけど、事件を追ううちにだんだん信頼関係が生まれてくるのが、すごくリアルで良いです。


そして、犯人のジョン・ドウ。これがまた怖い。

顔も分からないまま、次々と猟奇殺人をやってのけて、しかもその動機が「七つの大罪」っていう宗教的なテーマに基づいてるから、ただのサイコパスじゃない。計画的で、頭が良くて、しかも自分のやってることにものすごい信念を持ってる。

事件が進むごとに殺し方もどんどんエグくなっていくし、「次はどんな方法で来るんだ…」って、観てるこっちもどんどん追い詰められていく感じ。

特に「怠惰」の被害者のシーン、あれはもうトラウマ級。生きてるのか死んでるのか分からない状態で発見されるんだけど、あの衝撃はなかなか忘れられない。

物語の後半、ジョン・ドウが自首してくるんだけど、ここで「え、もう終わり?」って思わせておいて、実はここからが本当の地獄の始まりっていう構成がまた憎い。

ラストの荒野のシーン、あの「箱」のくだりは、もう映画史に残る伝説級の展開ですね。「箱の中身はなんだ?」って、観てる全員が息を呑んだはず。

真実が明かされた瞬間、ミルズの絶望と怒り、サマセットの止めようのない無力感、全部が一気に爆発する。観てるこっちも心臓バクバクだし、何とも言えない虚しさとやるせなさが残ります。


あと、映像と音の使い方もすごい。ノイズ混じりのサウンドトラックとか、雨音とか、街の雑踏とか、全部が不安を煽る演出になってて、観てる間ずっと緊張が途切れない。フィンチャー監督の映像センスは本当に天才的だと思う。


それと、グウィネス・パルトロウ演じるミルズの妻トレイシーがまた良いアクセントになってて、彼女の存在があるからこそ、ラストの悲劇がより深く心に刺さる。サマセットとトレイシーのやりとりも、すごく人間味があって好きです。


この映画、ただのサスペンスじゃなくて、「人間の罪」とか「正義とは何か」とか、すごく重いテーマを投げかけてくる。ラストのサマセットのセリフ、「世界は戦う価値がある」。あれがまた深い。

絶望の中でも希望を見出そうとする姿勢が、観終わった後もずっと心に残ります。


というわけで、『セブン』は一度観たら絶対に忘れられない、超名作サスペンス。まだ観てない人は、ぜひ覚悟して観てほしい!


2025年6月現在

プライムビデオ、U-NEXT、Hulu、J:COMstreamにて配信中