『グラスハウス』(The Glass House)は、2001年公開のアメリカ製サスペンス・スリラー映画です。主演はリリー・ソビエスキー、共演にダイアン・レイン、ステラン・スカルスガルドらが名を連ねています。
監督はダニエル・サックハイム。
物語は、両親を突然の交通事故で失った女子高生ルビーと弟レットが、両親の知人であるグラス夫妻に引き取られるところから始まります。彼らはマリブの丘の上にあるガラス張りの豪邸で新生活を始めますが、やがてルビーは夫妻の不可解な行動や家の中で感じる監視の目に疑念を抱き始めます。両親の遺産400万ドルを巡る思惑や、次第に明らかになる夫妻の本性、そして姉弟に迫る危機が、緊張感を持って描かれます。



感想
『グラスハウス』もちょっと前まで午後ローでよく放送してましたね。こういうサスペンスって独特の緊張感があって面白い。
まず、冒頭からいきなり両親が事故で亡くなるっていうショッキングな展開。
主人公のルビーと弟のレット、いきなり天涯孤独になっちゃうんだけど、そこに現れるのがグラス夫妻。
最初は「なんて優しそうな人たちなんだろう」。しかも家がめちゃくちゃ豪華。マリブの海が見えるガラス張りの大豪邸で、「こんなところに住めるなら、ちょっとは不幸も和らぐのかな」なんて思ってしまう。

でも、ここからがこの映画の真骨頂。ルビーの「なんかおかしいぞ?」っていう違和感が、観てるこっちにもじわじわ伝わってくる。
電話が盗聴されてるかもとか、外から覗かれてるかもとか、そういう細かい不安が積み重なっていく感じがすごく上手い。
グラス夫妻、特に夫のテリーがだんだん不気味になっていくのもゾワゾワする。
最初は優しくて頼りになりそうなのに、ちょっとした仕草や言葉の端々に「この人、何か隠してるな」って思わせる演出が効いてる。
あと、医師である妻エリンも、最初は母性的で優しいんだけど、途中から注射を打ってルビーを朦朧とさせたり、明らかに怪しい行動が増えてくる。
二人とも、表面上は「あなたたちのためよ」みたいな顔をしてるけど、裏では全然違うこと考えてるっていうのが怖い。観てる側も「この人たち、もしかして本当にいい人なんじゃないの?」って一瞬思わせておいて、やっぱり悪い奴だった!ってなるから、心理的な揺さぶりがすごい。
ルビー役のリリー・ソビエスキーも良かった。彼女の素朴さと芯の強さが、物語の緊張感をさらに引き立ててる。
弟のレットも、最初はただの子供っぽい存在なんだけど、姉弟で協力して危機を乗り越えようとする姿が応援したくなりました!

ストーリー自体は割と王道のサスペンスなんだけど、「信じていた大人が実は…」っていう展開はやっぱり鉄板。
しかも、グラス夫妻の目的がだんだん明らかになってくるにつれて、「ああ、やっぱりお金目当てか!」って納得しつつも、そこに至るまでの過程が丁寧だから、最後まで飽きずに観られる。
それと、舞台となるガラス張りの家がまた良い。見た目はすごく開放的でおしゃれなのに、逆に「どこからでも見られてる」っていう閉塞感があって、外からの視線も気になるし、プライバシーが全然ない。
あの家自体が一つの「檻」みたいな役割を果たしてて、物語の不安感を増幅させてる感じがした。 

終盤の展開もなかなかスリリングで、ルビーが真実にたどり着いてからの逃走劇はハラハラした。
正直、「ここで助かるのか?」「もうダメなんじゃないか?」って思わせる場面も多くて、最後まで気が抜けなかった。

個人的には、もうちょっとグラス夫妻の過去とか動機に深みがあったらさらに良かったかなとも思うけど、テンポが良いからあっという間に観終わりました。

あと、サスペンス映画って、時々「なんでこんな行動するの?」ってツッコミたくなるキャラが出てくるけど、この映画は割とみんなリアルな範囲で動いてるのも好感持てた。
ルビーが弁護士や福祉局に相談しても取り合ってもらえないとか、現実でもありそうな無力感がリアルだった。

全体的に、派手なアクションやド派手な演出はないけど、じわじわと追い詰められていく心理的な怖さが楽しめる作品。
家族を失った姉弟の不安や、信じていた大人への疑念、そして自分の身を守るために必死に行動する姿が胸に残る。
ラストまでしっかり見せ場があって、サスペンス好きなら一度は観て損はない映画だと思う。

「グラスハウス」、一見すると「羨ましい生活」から始まるけど、実はその裏にとんでもない闇が潜んでいる…そんな「見た目と中身のギャップ」を味わいたい人には特におすすめ。
観終わった後、「やっぱり人は見かけによらないな…」ってしみじみ思っちゃう、そんな一本でした。

2025年5月現在
Rakuten TVにて配信中