『ザ・グリード』(原題:Deep Rising)は、1998年公開のアメリカ製SFホラー映画です。監督・脚本はスティーヴン・ソマーズ。主演はトリート・ウィリアムズ、ヒロイン役はファムケ・ヤンセンが務めています。

物語の舞台は南シナ海を処女航海中の超豪華客船アルゴノーティカ号。3000人もの乗客を乗せたこの船が、突如として謎の巨大生物に襲われ、乗客たちは次々と姿を消します。そこへ、密輸業者フィネガンとその仲間たち、そして雇われた武装傭兵グループが偶然居合わせ、船内で生き残ったわずかな人々とともに、正体不明の怪物から逃げ惑うことになります。

本作は、パニック映画とモンスターホラーを融合させた娯楽作で、特撮・VFXも当時の最新技術が投入されています。監督のスティーヴン・ソマーズは後に『ハムナプトラ』シリーズでも知られるようになりました。




感想

 午後ロー名物この映画、めちゃくちゃB級感全開で最高!

まず、舞台が豪華客船っていうのがもうワクワクするし、そこに謎の巨大モンスターが現れて、乗客が一瞬で消えてしまうっていう導入からして「おおっ、これは何か起きるぞ!」って期待感がすごい。

しかも、最初に出てくるのが犯罪者集団と傭兵たちっていう、普通のパニック映画とはちょっと違うクセの強いキャラクターたち。みんな胡散臭いし、誰もまともじゃない(笑)。

この「全員アウトロー」な感じが、映画全体に独特の空気を作ってるんですよね。


主人公のフィネガン、これがまたいい味出してる。ちょっとやさぐれてて皮肉屋なんだけど、根は仲間思いで、最後まで生き残るだけのタフさと運の良さを持ってる。

相棒のパントゥーチも、おちゃらけキャラで場を和ませてくれるし、トリリアン役のファムケ・ヤンセンも強くて美人で、ちゃんとヒロインしてる。登場人物の掛け合いがテンポ良くて、観てて飽きない。


やっぱりこの映画の目玉は「巨大モンスター」

出てくるまでのじらし方が絶妙。最初は船内が妙に静かで、誰もいない不気味さが漂ってる。

ちょっとずつ「何かがいる」って分かってきて、ついに触手がドーン!って出てきたときのインパクト!

しかも、この触手が船内の狭い通路を猛スピードで突進してくるから、逃げ場がない感じがめちゃくちゃ怖い。

パニック映画って、こういう「閉じ込められた空間で、何かに追われる」っていうシチュエーションが一番盛り上がる!


それにしても、このモンスター、設定がなかなかエグい。触手の先に口があって、人間を丸呑みして消化しちゃうっていう、グロさもバッチリ。しかも、乗客3000人が一瞬で消えるって、スケールでかすぎ(笑)。

でも、実際に描写されるのは数人だけで、あとは「想像してね」っていう演出。これが逆に怖さを増してる気がする。

映像的にはCG感が強いけど、当時としてはかなり頑張ってる方だと思うし、むしろこの安っぽさがB級映画の魅力なんですよね〜😆


ストーリー自体は、正直言って王道のパニック&サバイバル。次々と仲間がやられていって、最後に残った数人が知恵と勇気で脱出を図る。途中で船主の黒い計画が明かされたり、仲間割れが起きたり、裏切りがあったりと、定番の展開がしっかり盛り込まれてる。

でも、それが逆に安心して観られるし、テンポがいいからダレない。アクションも派手だし、爆破シーンもあって、最後まで飽きさせない作りになってる。


あと、音楽がジェリー・ゴールドスミスっていうのも地味に豪華。

サスペンス感を盛り上げてくれるし、映像と合わさると「大作感」すら感じる瞬間がある。スタッフ陣もVFXやクリーチャーデザインに有名どころが関わってて、細かい部分で「本気度」を感じますねー。

それにしても、登場人物たちがみんなクセ者揃いで、誰が生き残るか分からないドキドキ感があるのもポイント。

普通の映画だと「この人は死なないだろうな」って分かるけど、『ザ・グリード』は割と容赦なく主要キャラもやられちゃう。しかも、死に方が結構グロい。でも、そこまで陰惨になりすぎず、どこかコミカルな雰囲気もあって、重くなりすぎないのが良いバランス。

傭兵たちのやり取りとか、ちょっとしたギャグも挟まるから、ホラーが苦手な人でも意外と楽しめるかも。


クライマックスはやっぱり「船を爆破して脱出!」っていう大味な展開。ここまで来ると、もう細かいことはどうでもよくなって、「とにかく逃げろ!」っていう勢いだけで突っ走る。この潔さ、嫌いじゃない(笑)。

最後の最後で「まだ何かあるのか?」っていう引きもあって、観終わった後に「続きが気になる!」って思わせてくれるのも、B級映画の美学ですよね〜。


総じて、『ザ・グリード』は「大真面目にバカをやる」映画。ストーリーはシンプルだし、キャラクターも分かりやすい。

でも、作り手の「本気で面白いものを作ろう!」っていう熱意が伝わってくるから、観てて楽しい。CGのチープさも、今となっては逆に味になってるし、90年代の「何でもアリ」な映画作りの雰囲気が詰まってる。


最近の洗練されたパニック映画もいいけど、たまにはこういう「突き抜けたB級映画」を観るのもアリだな~って思わせてくれる一本。 


あと、個人的に好きなのは、主人公たちが「ヒーロー」じゃなくて、どこかダメな部分もある普通の人たちってところ。みんな自分のことで精一杯で、最初は協力し合う気なんてさらさらない。でも、極限状態で少しずつ絆が生まれていく感じが、なんだかんだで胸アツ。

最後はちゃんと「やりきった感」があるし、観終わった後にスカッとする。これぞエンタメ映画の醍醐味!


というわけで、『ザ・グリード』は「B級映画好き」「モンスターパニック好き」には間違いなくオススメ。肩の力を抜いて、ツッコミどころも含めて楽しむのが正解。もしまだ観てなかったら、ぜひ一度観てみてほしい。きっとあなたも、この「愛すべきバカ映画」の魅力にハマるはず!