『パール』(原題:Pearl)は、2022年に公開されたアメリカのホラー映画です。監督はタイ・ウェスト(Ti West)、主演はミア・ゴス(Mia Goth)が務めています。本作は、同じくタイ・ウェスト監督による2022年の映画『X エックス』の前日譚として制作されました。

物語の舞台は1918年、第一次世界大戦下のアメリカ南部の田舎町。主人公は、家族とともに農場で暮らす若い女性パール。彼女は厳格な母親と病気の父親に囲まれ、夢も希望もない日々を送っています。しかし、パールには「映画スターになる」という大きな夢があり、現実とのギャップに苛立ちを募らせています。そんな折、町で開かれるダンスオーディションの話を耳にし、パールの心は大きく揺れ動きます。

しかし、夢を追いかける一方で、彼女の中には次第に抑えきれない狂気が芽生え始めます。現実と妄想の境界が曖昧になり、やがてその狂気は周囲の人々を巻き込んでいくことに…。『パール』は、夢と現実、善と悪、愛と狂気が交錯するサイコスリラーとして、観る者に強烈な印象を残します。

本作は、ミア・ゴスの圧倒的な演技力と、鮮やかな色彩美が特徴的な映像表現、そして1910年代のアメリカを再現した美術などが高く評価されています。また、ホラー映画でありながら、主人公パールの内面に深く迫る心理描写が物語に厚みを与えています。





感想

『パール』観たんだけど、これ、すごい映画だった。

最初は「前日譚だし、X観てないと楽しめないのかな?」とか思ってたんだけど、全然そんなことなかった。

むしろ、単体でも面白いし、パールっていうキャラの狂気っぷりがもう…なんていうか、目が離せない!

まず、ミア・ゴスの演技がヤバい。

彼女の表情ひとつひとつが、こっちの心にグサグサ刺さってくる感じ。

最初はちょっと不幸な女の子って感じなんだけど、だんだんと「この子、ちょっと普通じゃないな…」って思い始めて、そこからの転がり落ち方がすごいのよ。夢を追いかけてる姿は応援したくなるんだけど、

現実とのギャップにどんどん追い詰められていって、最後には「うわ、そこまでいっちゃうの!?」っていう衝撃。もう、目が釘付け。

あとね、映像がめちゃくちゃ綺麗なのよ。

ホラー映画っていうと、暗くてジメジメした雰囲気を想像しがちだけど、『パール』は全然違う。むしろ、カラフルで明るい。まるで昔のミュージカル映画みたいな色彩なんだけど、その中で起こる出来事がどんどんヤバくなっていくから、逆に怖いんです。

美しい映像とグロテスクな出来事のギャップが、なんとも言えない不安感を生み出してて、「うわー、これぞサイコホラー!」って感じ。


物語としては、パールの狂気がどうやって生まれたのか、彼女がなぜああなってしまったのかを丁寧に描いてるから、ただのスプラッター映画じゃないんです。

人間の心の闇とか、夢を追いかけることの残酷さとか、そういうテーマがしっかり伝わってくる。パールって、最初は「かわいそうな女の子」なんだけど、だんだんと「この子、もしかして…」って思い始めて、最後には完全に「怖っ!」ってなる。

だけど、どこか共感しちゃう部分もあって、観終わった後もずっと心に残る。


母親との関係もすごく印象的だったなぁ。厳格で冷たい母親なんだけど、彼女なりにパールのことを思ってるのが伝わってくるし、そのぶつかり合いがめちゃくちゃリアル。

家族って一番近い存在だからこそ、傷つけ合っちゃうんだなって思った。父親はもうほとんど動けない状態で、パールがどんどん孤立していく感じも切なかった。


それと、個人的に印象に残ったのが、パールが自分の夢を語るシーン。あれ、ほんとにすごかった。長回しでずーっとカメラがパールを捉えてて、ミア・ゴスの表情がどんどん変わっていくのよ。


最初は希望に満ちてるんだけど、だんだんと絶望に変わっていって、最後は涙が止まらなくなる。

あそこは本当に名シーンだと思う。観てるこっちも息を呑んじゃって、「この子、どうなっちゃうんだろう…」ってハラハラしっぱなし。


ホラーとしての怖さもちゃんとあるんだけど、どちらかというと「人間の怖さ」とか「心の闇」みたいな部分が強調されてて、ただのジャンプスケアとかじゃないのが良かった。

じわじわと不安が広がっていく感じで、観終わった後もしばらく引きずるタイプの映画。


あと、時代背景も面白かったな。1918年っていうことで、スペイン風邪とか戦争とか、当時の社会の不安も描かれてて、今の時代とも重なる部分があった。

みんなが不安でいっぱいの中で、パールだけが夢を見てる。そのギャップがまた切ないんだよね。


ラストシーンも衝撃的だった!あれはもう、観てほしいとしか言えない。

パールのあの表情、あの笑顔…忘れられない。怖いんだけど、どこか哀しさもあって、しばらく頭から離れなかったよ。

エンドロールの間も、ずっとその表情が映し出されてて、「うわー、これがパールなんだな…」って思い知らされた。


総じて言うと、『パール』はただのホラー映画じゃなくて、人間ドラマとしてもめちゃくちゃ見応えがある作品だった。

ミア・ゴスの演技は本当に素晴らしいし、映像も美しいし、ストーリーも深い。ホラーが苦手な人でも、ぜひ一度観てほしいなって思う。

観終わった後、きっと色んなことを考えさせられるはず。


いやー、久しぶりに「すごい映画観た!」って思えた作品だったわ。パールの狂気と哀しさ、ぜひ体感してみてほしい!


2025年5月現在

プライムビデオ、U-NEXT、Huluにて配信中