こんにちは、M&A会計士の澤村です

減損が必要な子会社を、別の子会社に譲渡することで減損を回避するとかいうニュースがあるのですが、どういう意味ですか?


って聞かれたので、なんのこっちゃら?と思って調べてみると意外と面白い結果になったのでまとめておきます。(Mさん、いいネタありがとうございます)



ニュースの概要


S銀行は、上場しているA社を子会社として取得


A社の株主の大半は、S銀行だが、ギリギリ95%未満しか持っていないため、上場廃止基準に該当せずA社は上場維持されたまま


A社の市場での株価は、子会社化した時点よりも大きく低下していて、減損対象になる可能性あり


S銀行は、A社株式を、同じくS社子会社であるB社に譲渡


S銀行プレスによるとグループ内での事業集約化のため


譲渡価格は、現在のA社の市場株価に近い値段であり、S銀行単体では譲渡損失計上


マスコミでは、これをS銀行がA社が減損対象になるのを回避が目的と報道




最初、なんでこれが減損回避になるの?って思ったんですけど、連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針32項にこういうのがあったんですね

「親会社の個別財務諸表上、子会社株式の簿価に減損処理が行われたことにより、減損処理後の簿価が連結上の子会社の資本の親会社持分額と連結調整勘定未償却残高との合計額を下回った場合、その差額のうち、連結調整勘定未償却残高に達するまでの金額について償却しなければならない」

そもそも連結財務諸表ってのは、子会社の資産負債と親会社の資産負債を合算してからつくるものであるため、子会社株式ってのは簿価に上がってこないんですよね。


なもんだから、子会社株式がたとえ上場していて、株価がついていたとしても、そんなのカンケーねーってのが基本なわけです。


ところが、さすがに親会社単体で子会社株式を減損処理しているというのに、連結上それを反映しないのもおかしいだろってのが、この32項のようです。子会社株式を単体で減損しているなら、その分、少なくとも連結で計上している子会社取得時に発生したのれん分を減額せよっていうことのようです。


そういえば、昔、第一三共がインドで上場している製薬会社のランバクシーを買収して子会社化したとたんに、ランバクシーの市場株価が大幅に下落して、巨額ののれんの減損が必要になったという事件がありましたね。


で、今回のニュースは、どうもこの32項がいうところの減損は、あくまで”親会社の個別財務諸表上”って限定されているところに着目した処理のようです。



つまり



親会社S社では、譲渡によってA社株式をもっていないため→減損しようがなく、のれんの減損も不要 


親会社から子会社への株式譲渡で生じた損失は、連結上内部取引だからなかったことになる


→結果的に、子会社の時価下落による減損は不要



とのロジックのように推測されます。


なんとなくスッキリはしないのですが、他に説明できそうなロジックが浮かばないので…


情報が不足しているので、間違っていたらごめんなさい。



この推測が正しいとなるとあれですね、


上場している会社を子会社化し、かつ上場を維持する場合は、親会社で直接取得するんではなくて、あらかじめ子会社で取得しておいたほうがいいのかもしれませんね。



人間は、なぜ人間なのか?



こんにちは、SF会計士の澤村です。



今回は、以前、このブログで大絶賛した


虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)/伊藤 計劃
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の伊藤計画さんが残した最後の作品





ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)/伊藤 計劃
¥1,680
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の紹介です。





この本を読んで、非常にいろんなことを考えさせられました。



とてもブログでは書ききれそうにないくらい、誰かと一晩中語り合いたくなるような作品です。



それにしてもこの作者の想像力はすごいです。


絵空事ではなく、現在社会が抱える課題や最新のテクノロジーをベースに、ロジカルな展開としてありうべく未来を描いています。





時は、大災渦と呼ばれる暴力と混乱の時代を経た21世紀後半の社会



大災渦の反動から、人々は極度に安全で平和な健康的な社会を築いている。

科学の発展により、人々は病気などによる身体的苦しみから解放され、精神的苦しみも受けないよう各種倫理的配慮が行き届いた優しい社会である。



健康に配慮された社会であるため、健康を害する酒やたばこは消滅し、たとえば、カフェインですら社会的に問題のある行為とみなされる。他者に対する精神的不安を取り除くため、道で知らない人にあっても、その人がどういう背景の人で、社会的にどのような評価を受けた人かは、拡張現実ですべての人が分かる状況になっている。暴力を目にすることによる精神的ショックをうけないように、そうした情報に接するには心的外傷視覚情報取扱資格を有したものしか、暴力的表現を見ることができなくなっている。人々は、世界にとって欠くべからざるリソースであり、お互いが慈しみ、支えあい、ハーモニーを奏でるセカイである。





そう非常に健全な社会


まるで、某青少年健全育成条例が求めるような理想郷である。





そんな健全な社会が、ある宣言をきっかけに大激震が走ります。

そこからあとの展開を書くとネタばれになっちゃうので、この辺でやめておきますが、ほんと非常に考えさせられます。






前作虐殺器官と合わせて読むと楽しさ倍増です。


文庫本だと、


虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)/伊藤 計劃
¥756
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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)/伊藤計劃
¥756
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と黒と白のコントラストがいいです。


あと、合わせて、これも読まれることもオススメで


ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」/宮崎 駿
¥2,987
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映画じゃなくて、原作コミックのほうね


アプローチは違いますが、ある意味同じテーマといえるかと思います


ハーモニーの中に、ちょっとだけ、この作品へのオマージュがあったりもしますしw


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)/ジョージ・オーウェル
¥903
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の影響なんかもあります。



さらにいうと

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : .../緒方恵美,三石琴乃,山口由里子
¥5,775
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(新じゃなくて、旧のほうね)


も、近かったりするかもしれません。



伊藤さんとは完全に同年代だけに、影響された作品とか近かったんだろうし


一度あってお話ししてみたかったなあと思います。




お久しぶりです。M&A会計士の澤村です。


そうそう、忘れているようですが、私の本職はこちらです



さて、興味深いネタがあがってきたので、ご紹介

某上場会社のMBOディールに、投資ファンドが絡んできたそうです



MBO時の公開買い付け届け出書等を確認すると


TOB価格>純資産


で、評価は実質DCF一本



ついでに、数年前IPOしたばかりで、IPO価格>>>>>TOB価格


ってなっているんで、掲示板とか見るとお怒りの投資家さんがたくさんいるようですね。




さて、開示されている資料を見る限りでは、


無借金で、現預金、有価証券、投資有価証券(債券など運用中心)が結構ある会社さんで


有形固定資産の大半は、都内にある本社ビルで、路線価とか見ると含み損もないもよう


本業も十分な利益を上げているんで、今後その業界が厳しいとしてもEVがマイナスってことはないでしょうから、


あのTOB価格をベースとするなら、まあ、こうした介入が生じても不思議ではないかなというのが率直な感想です。



ひと段落ついたら、是非ともそのやり取りを赤裸々に出版してほしいところです