万城目さんの直木賞受賞作「八月の御所グラウンド」のシリーズとして出たのが

 

 

 

でして、

「三月の局騒ぎ」と表題の「六月のぶりぶりぎっちょう」が収録されています。

 

「八月の御所グランド」に収録されていた「一二月の都大路上下ル」と併せて、シリーズという形をとっているようですが

 

ほんのちょっとつながりが隠れているくらいで、相互に関連性はほとんどなく、別個の主人公、別個の物語となっています。

 

文体も話ごとに変わっていて、いろんな立場で実験して描いたのかなって感じるくらいです。

 

 

シリーズで秀逸なのがやはり直木賞をとった「八月の御所グラウンド」で、次に面白いのが「三月の局騒ぎ」ってところでしょうか。

 

 

表題になった作品「六月のぶりぶりぎっちょう」に関しては、どうしてもあの事件を思い出して、万城目ファンとしては、素直に楽しむことができませんでした。

 

事件というのは、映画「本能寺ホテル」を巡る万城目さんの降板話です。

 

森見さんの作品がアニメ化されるのに対して、万城目さんの作品って実写化されることが多くて

 

デビュー作「鴨川ホルモー」をはじめ、ドラマ化や映画化されて好評だったのですが、風向きがおかしくなったのが

 

「プリンセストヨトミ」の原作改変あたりでしょうか…

 

「本能寺ホテル」に関しては、万城目さんが初のオリジナル脚本として進んでいたのが、途中で降板し、映画は別の脚本家で進められるという事件です。

 

「六月のぶりぶりぎっちょう」は、本能寺跡地にできたホテルを舞台にしているので、どうしてもこの本能寺ホテル事件が頭にくすぶっちゃうんですよね。

 

しかも、映画版の脚本を書いた人が、最近某漫画のドラマ化を巡って渦中の人になってしまった人なので、そういういろいろと背景の方が気になってしまって、話に集中できないというか…

 

小説と、映画やドラマって表現手法が大きく違うのでどうしてもこうした問題は避けれないのでしょうが

 

って、もやもやしていたら

 

 

 

「推しの子」の二期観ましたか?

 

漫画原作者と演劇の演出家のトラブルをリアルに描いて、理想的な形で解決していましたね。

 

売れっ子作家と、先輩作家の口論のシーンは、爆笑ものでしたし、

 

原作者と演出家が直接打ち合わせていいシナリオになっていくシーンとかは感動ものでしたね。

 

やっぱりディスコミュニケーションが問題なんですよね。

 

 

といっても、直近に発表されたものでなくて、

 

2024年1月に発表された第170回直木賞を受賞した こちら

 

 

 
 
 

 

 

 

万城目さんがとうとう直木賞を受賞されました!

 

本当は1月に発表されたときに書こうかと思っていたのですが、もたもたしているうちに夏の発表があったので、慌てて書いてます。

 

いやー。良かったです。

 

同じ京大作家の森見さんとともに、応援していた作家さんだったので、うれしいですね。

 

 

 

 

で、鮮烈なデビューし、同作品の映画化や、

 

 

 

といった関西を舞台にした不思議な万城目ワールドを展開して、いずれもドラマ化や映画化をされると大活躍されていたのですが、一時期スランプというか、新しいスタイルの確立に悪戦苦闘されているような状態だったんですよね。

 

「とっぴんぱらりの風太郎」とか「バベル九朔」とか「ヒトコブラクダ戦争」とか、どれも面白いんですけど、”長すぎる”といった批判を受けたりされていて、ファンとしては歯がゆい思いをしていたのですが、ようやく認められたのがうれしいです。

 

で、今回受賞対象となった「八月の御所グラウンド」ですが、万城目ワールドの特徴である軽快さと不思議さを活かしながらも、いろいろと考えさせられ、沁みるいい作品です。

 

京都とあの人と結びつけるとは、すごく意外でした。

 

話の長さもちょうどいいです(笑)

 

世界観を引き継いだ続編も出ているのですが、そちらの紹介は次回!

 

クリエーターに強い憧れがある。

 

無から有を生み出す人たち

それは、絵であったり、音楽であったり、小説であったり、漫画であったり…

伝える媒体が何であれ、頭の中にあるものを表現し、他人を感動させる。

そういう人たちに、強い憧れを持っている。

 

なので、そうした人たちが産み出した作品だけでなく、そうした人たちが何かを創造し大成するまでの物語がとても好きだ。

 

まだ何者でもない時に、何者かになれることを信じて

足掻いて、足掻いて、足掻いて

創作活動に打ち込んでいくような物語には、つい夢中になってしまう。

 

そんな私が今日出会ったのが

 

 

 

 

「チェンソーマン」で大人気漫画家になった藤本タツキ氏による作品を映画化したもの

 

数年前に話題になっていた時は特にチェックしていなかったのだが、たまたま時間が空いて寄ってみた映画館で、ちょうどいい時間帯に放映されるということで何の気なしに見たのですが

 

凄くいい作品です。

 

自分の漫画の才能に自信を持っていた田舎の小学生の女の子が、同学年の不登校で引きこもりで、無茶苦茶背景絵が上手い女の子と出会い、漫画制作に打ち込んでいくという物語

 

古くは「トキワ荘物語」や、少し前なら「バクマン。」と、書き古されたテーマかもしれませんが、揺さぶられました。

 

入場特典として、原作のコミックスもついてきます。

 

原作知らずに見たのですが、原作世界が壊されていないどころか、むしろすごく補強されています。

背景絵がリアルで美しくて、映画自体が、主人公と引きこもりの女の子との関係のようにも感じました。

 

私なんかが宣伝しなくても既に大ヒットしているのかもしれませんが、いい作品です。

 

追記:原作としてついていた本は、ラフ?のような感じだったのですね。

完成品は、こちら↓に載っているのですが、このラフをあえて使ったのが、かえって良いですね。