お久しぶりです。M&A会計士の澤村です。

このところこのブログが読書感想文ブログになりつつあるので、本職を思い出して、年末ということもあり、2024年の重大ニュースということでM&A仲介業界を振り返りたいと思います。

 

一番のニュースといえば、ルシアン事件に代表される吸血型M&Aの増加なのですが、このニュースに関しては朝日新聞とか週刊誌とかいろいろメディアで取り上げられてご存じな方も多いでしょうから、あくまで業界内のニュースを時系列で取り上げています。

 

3月 横浜キャピタルとM&Aコンサルティングが資本提携

 

横浜銀行系の横浜キャピタルがM&Aコンサルティングの第三者割当増資を受け入れたというニュース。出資比率は公表されてませんが、銀行が仲介業と組むというパターン今後増えるのではとも予想しています。

 

https://mmac.cc/press/press-10031/

 

3月 バトンズとトランビが連携協定

 

https://batonz.jp/company/press-room/2024-04-01/

 

M&Aプラットフォームのライバル同士が連携したというのでびっくりしました。

 

4月 M&A仲介協会、会員数を大幅拡大

 

M&A仲介会社の増加を受けて、これまで大手ばかりで運営されていたM&A仲介協会が対象を大幅に拡大し、会員数が非常に増大しました。私の会社も協賛会員という形で入会させていただきました(仲介はやっていないので)。

 

https://www.ma-chukai.or.jp/

 

4月 奥野さんと谷口さんがM&Aマザー設立

 

元センターの奥野さんと、元センターで元FUNDBOOKの営業本部長だった谷口さんが新しい会社を設立されました。畑野社長と同じタイミングでFUNDBOOKやめてどうされるのかと思っていたら、奥野さんと組まれたんですね。

 

https://bmn.jkeiei.co.jp/20122

 

6月 インテグループ上場

 

私がトーマツを辞めた時とほぼ同じくらいの時に、トーマツ後輩の籠谷君が、三菱商事出身の藤井さんと設立したインテグループが上場しました。なかなか感慨深いニュースでした。おめでとうございます!

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000062316.html

 

7月 ゴエンキャピタルがIFAの会社を買収

 

元センターの若手トップだった前川君が作ったゴエンキャピタルが、IFA(金融商品仲介業)・FP/相続コンサルティング事業を手がける株式会社Jパートナーを買収したニュース

前川君まだ若いのに凄いです。

 

https://goen-capital.jp/archives/news/2526

 

8月 ペアキャピタル上場廃止を発表

 

東京プロマーケット(TPM)に上場していたペアキャピタルさんが上場廃止されました。

いろいろ騒がれたルシアン事件とは直接関係なくて、仕切り直しということだと思うのですが、その後10月にM&A LIVEのニーズ配信事業の買収、12月にITコンサルのヒューマンクリエーションホールディングスさんと業務提携と矢継ぎ早に新しい展開を発表されているので経営のスピード化というのが一番大きいのでしょうね。

ところで、「てつ」さんじゃなくて「さとる」さんだったんですね。

 

https://p-capital.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/rinjisokai-kaisaibi202408.pdf

 

8月 中小企業庁が中小M&Aガイドライン第三版を発表

 

中小M&A仲介会社が増えたことに伴うトラブルと、ルシアン事件をうけて中小企業庁が出しているガイドラインの改定がなされています。本格遵守は年明け元旦から。皆様準備はもう整っていらっしゃいますか?弊社ではガイドライン対応の研修も提供させていただいておりますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください(宣伝(笑))

 

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/m_and_a_guideline.pdf

 

9月 神戸大学大学院経営研究会中小M&A研究教育センターが「中小M&A白書」を発売

 

神戸大学とM&Aセンターが協力して出版した本なのですが、これすごいんです。

今まで日本の中小M&Aにおいて、株価がどのように評価になったのかというのは一般の人にはまったくのブラックボックスだったのですが、なんとM&Aセンターの過去5年間の成約案件における株価がどのような相場になっているのかが公表されているんですよ!

具体的に言うと中小企業M&Aで営業権の算定方法としてよく用いられている年買法といにおいて、利益の何倍かというデータが業種別、大都市・中核市・その他といったエリア、、売り手代表者の年齢、買い手候補者数などの区分で発表されています。

本件は私もセンター在籍時に構想として関わっていたのですが、こういう形で本として公表されたのは感無量でした。

 

 

 

 

10月 弥生とバトンズが提携

 

会計ソフトシェアNO1の弥生会計を展開している弥生が独自に運営していたプラットホーム事業をバトンズに移管するとともに、弥生のPAP会員向けにバトンズのサービスが提供されるというニュース。弥生との組み合わせは面白いだろなーって妄想していたので、実現してびっくりでした。

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000279.000015865.html

 

10月 トリニティテクノロジーが従業員承継パートナーズ設立

 

家族信託などの相続対策サービスを提供しているトリニティテクノロジーが従業員承継という方法を模索する子会社を設立されました。後継者問題でM&Aという切り口でサポートする会社はすごく増えたものの、従業員承継という形でサポートするのは意外とあまりなくて面白いなと思います。センター出身で、あおぞら銀行系のABNアドバイザーズの営業本部長をしていた澤田さんが、立ち上げに参加されています。

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000077937.html

 

12月 チェンジホールディングスがFUNDBOOKを買収

 

4月に畑野代表と谷口さんが退任して森山さん体制になったFUNDBOOKがなんと、ふるさと納税関係のビジネスを展開されているチェンジホールディングスに買収されました。いろいろな意味でびっくりなディールでした。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC177680X11C24A2000000/

 

ざっとこんなところでしょうか。

前職の関係者の動きが中心になっているところはご勘弁ください。また、現時点で公表ベースの情報がネットに残っているものだけを紹介しています。

 

他にも今年こんなことあったぞ!とかいうのがあれば、コメントください!

 

それでは、来年もよろしくお願いします。

良いお年を!

お久しぶりです。M&A会計士の澤村です。

 

また面白い本を見つけましたのでご紹介

 

早稲田大学卒業後リクルートで働いていたシングルマザーが会社を辞めて、5歳の子供を抱えてアフリカのルワンダでタイ料理店を創業する話

 

安定したレールを外れて、ぶっとんだ人生を選んだ人の話が大好きなものでして(笑)


 

この方、外食産業の経験はバーミアンでバイトしていたことくらいで、しかもタイ料理開くのにパクチーが苦手という「なんでやねん!」って突っ込み入れたくなるスタートですが、よく考えてみればその方がビジネスライクに進めれていいのかもしれません。あくまでビジネスオーナーであって、自分で調理するわけでもないのですから。

 

とはいえ、開業から軌道に載せるまでに出てきた数々のトラブルを見ると、途上国トラブルあるあるがてんこ盛りで、なんもこんなところでやらなくてもって思っちゃいますが、この人の凄いところは逃げずにやり切ったところかと思います。

それと無茶苦茶忙しい日々を送りながらも、スペイン人の男性と新たな恋を初めて二人目を産んじゃうというパワフルもすごいです。

 

あと、いろいろ考えさせられたのが、やはり「ルワンダ」という国ですね。

あの大虐殺を経ながらも国内融和に成功し、その後ITで急発展してきた国って大まかなストーリーは聞いてはいても、実際にどのようなことがあり、それを受けてどのように融和を進めてきたのか、そして現在ITが発展したとはいえ未だ多くの貧困問題を抱えていること等が、あわただしいトラブルの話と並行して、現地スタッフの話としてつづられています。

 

そして直近ではコロナ。遠く離れたアフリカでも日本と同じように外食産業が危機を迎えて、それをなんとか乗り越えていく様子も勇気づけられるものがありました。

 

海外で人生やり直したい方、アフリカの現状が知りたい方、外食産業を始めたい方にもおすすめの本です。

 

あっ、あと後書きによるとこの方このお店ルワンダ在住の日本人女性にM&Aで売却されたそうです。

 

M&A会計士としてはその辺の話も別途読みたいところです。

 

ご無沙汰しております。M&A会計士の澤村です。

 

なかなか興味深い本に出合いました。

 


 

東大卒で四大法律事務所出身の女性弁護士が、バックパッカーになって世界131ヵ国を放浪し、世界各国の裁判所を傍聴する話

 

既に情報量が多すぎで、突っ込みどころ満載なのですが、凄い面白いです!

 

まず、この方、バックパッカーとしてガチ勢です。バングラディッシュや、インド、アフリカといった熟練者向けの国をまわってるだけでなく、ローカルなバスにのり、バックパッカー向けの宿やテントに泊まり、ストリートフードや土着の酒を飲む(カッコイー!)

 

で、このガチのバックパッカーが、旅のついで的に飛び込みで、各国の裁判所の傍聴をして回るという、クレージージャーにで取り上げられるんじゃね?って、くらいのぶっ飛んだ旅をされてきた記録の本です。

 

最初ぶっ飛んでいる系の本かと思いましたが、読んでいくとそれだけではありません。

 

まずは、各国での裁判所制度の違いの面白さが学べます。メモを取っていいのかどうか問題とか、裁判官がウィッグをつける国なのかどうかとか。特に本の中で紹介されていたパリの司法宮は、私の人生初の海外旅行で迷い込んだところでして、裁判官がウィッグをつけていてびっくりした記憶を思い出して感慨深いものがありました。

 

他にもブラジルでは裁判官が相談している内容も含めて全裁判の映像がネットでみれるとか、ケニアやサモアなどで西洋的法体系に基づく裁判と現地の慣習に基づく裁判との関係など、法学部出身の私としては非常に面白く読めました。ちなみに、ケニアの現地の慣習での裁判の判決内容が、辺境小説家の高野さんの本で紹介されていたソマリアのやり方と同じだったりしたので、東アフリカ共通の発想なのだなとの発見も

 

 

 

 

さらに、弁護士だけあって権利とか差別とかの問題認識があって深いのです。すごくいろいろと考えさせられます。

 

海外旅行が好きな人だけでなく、法学部出身者にもおすすめな本です!