「何気ない毎にちを貴方に伝う」1ノ7 | 小説と未来

「何気ない毎にちを貴方に伝う」1ノ7


僕は何気なく生まれ育ち、大人になったのだろう。長い時間が一人きりだった。


長い時間を部屋の中で、ぼぉっとテレビを見て過ごしていた。

日が沈んで、夜になって、蛍光灯も付けずに小さな電球だけで部屋の中を照らしていた。後はちかちかするテレビの光が部屋のイルミネーション。


物悲しく、安っぽい。


明るい世界に出られないのはきっと君のせいだ、なんて訳もわからず人のせいにして。


やっぱり訂正。


明るい世界に出られないのはきっと僕のせいだ、と。



一日を思い返せば、やはり今日もいつもの一日だった。


汗をかくほどでもないけれど、まだまだ暑い一日だったな。中学生に数学を教えるのも楽じゃない。一歩進んで一歩下がる。覚えたようで覚えてくれない。そしてただ教科書に沿って先へ進む。大人になっても何も残りやしない。


ただ勉強しただけの記憶が残るだろう。


今日の冷やし中華はうまかったな。あのしょっぱい醤油ダレが食欲を誘った。プチトマトを歯で潰した瞬間に広がったトマト汁の味が口に残っている。からしの付けすぎた部分を啜って、むせた刺激も残っている。


冷やし中華、まだまだ夏だな。


麦茶も進んだ。まだまだ暑い夏の日だ。



いつだって、気づけば弱い光が届く、暗い部屋で眠っている。いつだって、明るい光が降り注ぐ昼の思い出は夜に思い返される。


わかるかい?この感触。なぜだか目尻から涙がこぼれ、こめかみの付近を伝ってゆく。

僕は朝日を嫌うけど、心が闇夜を遠ざけたがっている。そして脳は夢へとトリップする。そこに君がいないかと、僕はなぜだか探してしまう。

でも乾いた大地では男どおしが戦争をし合っていて、僕はどちらかに加担しなくちゃならなくなる。嫌だと感じれば、いややってやるって気が奮い立ち、一歩進めばまた嫌だな、と慄く。僕は一人夢相撲を取っている。右へ左へ心は揺れ続く。


そして目が覚め、朝日が、不快。

体中が嬉しくない。


いい夢でも見直したいな。けど恐い夢を見たくないから、ベッドから体を仕方なく起こす。

テレビが付いて、いつものニュースがまたどこかで聞いたような話を繰り返していて、僕はまた無駄な知識を増やす。


一日がスタート。


ああ、繰り返した昨日、今日。僅かな違いが二日経った事を教えてくれる。


(つづく)