新世界75-夢世界 22-5
〈つづき〉
僕は光の中、目を開いた。天には仏陀が輝いている。
仏陀は光の中で輝いていた。
しかし徐々に仏陀は光を失ってゆく。光は剥がれ落ちるようにぺりぺり捲り始め、その中にどす黒い地肌が覗かれている。
やがて全ての光がなくなり、仏陀はどす黒い姿を現す。そして仏陀は中央に大きなひび割れを起こす。
数秒後、仏陀は二つに割れた。
割れた中から、光り輝く小さな仏陀が現れる。実物に近い。まるで本物の人間のようだ。
「何やってんだ!」
遠くで声が響いた。ずっと遠く、左の男の声がした。
それでも僕はその声の方を向くことはなかった。今、光輝く小さな仏陀から目を離したら、僕はすぐにでも殺されてしまいそうな気がした。
僕は自然と戦闘態勢を取っていた。
仏陀は徐々に高い場所から地へと降りてくる。
辺りの光は全てその仏陀が急襲してしまった。
僕の目の前には光輝く実物の仏陀、いや実物に近い仏陀が存在する。
「大丈夫。これは夢だ」
僕は小さな声でそう呟いた。
僕は少しずつ横へ動き、仏陀の背を目指す。
仏陀は恐い笑みを浮かべている。何かを企んでいるようだ。
一分近く、緊迫した状況が続いた。僕は仏陀の後ろに回った。
このまま後ずさりして出口を目指す。
「ぐああああああ」
仏陀の首が180度くるりと回る。その顔は恐ろしく、大きく口を開いている。
次の瞬間何かが僕の傍に飛んできた。僕は反射神経でその何かを交わした。
『やばい』
僕はとっさに後ろへ逃げてゆく。
仏陀は口から炎を放っていた。
なんてこった。これはホントに恐ろしい夢だ。
仏陀は体の方を180度反転させ、僕の方に走り追ってくる。
僕は後ろを向きながら、出口へ走り逃げてゆく。
また炎を飛んでくる。僕は瞬時にそれをかわす。我ながら素晴らしい運動神経だ。そう感じると不思議と心はうきうきしていた。
しかし出口の扉はしまっていた。
どうにもならない。簡単には空きそうにない。右の男も左の男も危機を感じて逃げ去ってしまったようだ。ここに出口はない。
戦うしかないのだ。
〈つづく〉