新世界49-孤島の物語 11
小さな船着場でハナはユーカイスを待つ。
ラフなパンツルックで、大きなトランクを傍らに置く。
船着場にユーカイスの乗る船が着く。ユーカイスはそこにいるハナの存在にもう気づいている。
彼女は降りて、ハナに質問する。
「どうかなされましたか?」
「ユーカイス。もう止めましょう。ここでの生活をこれ以上続けられそうにありません」
「でもお嬢様」と、ユーカイスはハナに言う。
「もういいんです。何もかもが、わたしはどうしていいか、わからなくなったから」
波音は心地よい。小鳥のさえずりも綺麗だ。それでもハナはもうここで生きていくのが嫌だと言う。
「でもお嬢様」と、再びユーカイスは言う。
「あなたが駄目だと言っても、わたしは出てゆくわ」
「それは無理なのです」
「どうして、なぜ?わたしはわたしの考えでここにいただけなの。
あなたが駄目だって言ったって、わたしを止められない。
わたしは心も体も健康よ。きっと街の中でももう一度やっていく事だってできる。
もしできなくても、わたしはもうここにいたくない」
「それでも無理です」
「どうして、ユーカイス?あなたは何の権限があって駄目だと言うの?」
「わたしには何の権限もありません。お嬢様、ただどうしても駄目なのです。
わたしは今のあなたでなく、過去のお嬢様に雇われたのです。
過去のお嬢様は言いました。
『わたしがどこかに行こうとしても、あなたはわたしを止めなくてはいけない。
誰かがわたしを迎えに来るまで、あなたはわたしがここを出てゆく事を許してはいけない』
あなたはそう言ったのですから」
いつか見た未来の夢だね。
きっと誰かが迎えに着てくれる。
そう信じて、ハナは青い空や緑の地上、鳥やバッタやトンボと付き合って暮らしていくんだ。
きっといつか、貴方は迎えに着てくれるでしょう。