新世界42-孤島の物語 10
海の向こうに大きな雲が浮かんでいた。
あれは大雨を降らせるとんでもない雲だ。
ハナはびっくりして、慌てて帰っていった。
表に干してあった全ての洗濯物を取り込んで、縁側の戸を閉めて、二階の空いていた窓を閉める。
そしたら大きな雷鳴が轟いて、大粒の雨がぽとりぽとりと落ち始めた。
太陽よりも明るい雷の光が天を照らす。
この程度で驚いていたは一人じゃ生きていけないけど、ぽつりぽつり、じゃあじゃあと降り始めた雨の音に包まれて、ハナはお家に一人取り残された気分になる。
床の間に行った。母親と父親の仏壇前でじっとしていた。
わたしは誰に会いたいんだろう?
きっとたくさんの夢を見すぎてしまったんだ。
全ては起こりえない話ばかりだったんだ。
誰かに迎えにきてほしかった。
優しい笑みは一つじゃないけど、今、ここにいてくれれば、ハナにとってはその笑顔がたった一つの笑みに変わった。
雨音の戸を叩く音にまぎれて、貴方がやってくればよかったのに。
わたしの望みはたったそれだけなのに。