ずっと西にある島 33.古界 | 小説と未来

ずっと西にある島 33.古界

明け方は朝靄に包まれていた。


キウらは寝袋に包まって一夜を過ごした。


とても静かな一夜だった。


朝の優しい光が光を好むあらゆる生命体を目覚めさせようとしていた。


「彼らはもう来ている」

と、ハバルヒラは言った。


キウはハバルヒラのその声を聞いて、目を開いた。

周りには武者のような格好をした人間の姿が三つあった。


それは恐れを感じてもいいような、異様な光景だが、キウは何かに動じるような感情を持ち合わせてはいなかった。ただ黙って、その武者の顔を見つめていた。


ユスティスは慌てて体を起こし、寝袋の外へと出た。

そして武者に話しかける。

シウルアさんですね?こんな朝からこちらに来られるとは」


「そろそろあなたが来る頃だと思った。本来より到着が遅い気がしたので、気になったのでここまで来た」


「まあ、いろいろありまして」


「ユスティス、その者は何者だ」

と、シウルアと呼ばれる人物はキウを見つめ、ユスティスに尋ねる。


「この者は私の手伝いで、グァンダーの地から共にやって参りました。

 キウという者です。少し事情はありますが、決して危害を加えるような者ではありません」


「そうか。わかった」

シウルアはそうとだけ答え、キウには何も聞かずに目を逸らした。


カルミンヌオール族は体も大きくがっちりしてる。

そんな彼らはキウたちの準備が整うと、重い荷車を力強く運んでくれた。



さらに進み、日差しがすっかり木々の上方より照り差した頃に、キウらはカルミンヌオールの住む中心地に辿り着いた。


森の中に石の建造物がいくつも立ち並び、中には大きなピラミッドも見られた。

とても神秘的な場所だ。何百年も昔に戻ったかのような光景だ。


広い石畳の広場の中央まで、荷車を進めると、そこに荷車を停めた。

たくさんのカルミンヌオール族が集まってきて、ユスティスはそこで荷車から商品を下ろし、売買を始めるようだった。

シウルアはその町の者たちの持つ権利を理解しているようで、順序良く彼らを並べた。そしてユスティスに欲しいものを一つ一つ聞いてゆく。

ユスティスは買い物が済む旅にシウルアとそのお供からいくつかの薬をもらってゆく。


そんな売買にはとても時間が掛かりそうで、日差しの強い場所に居つかれたキウは広場の端にある日陰となる木の下に腰を下ろし休んでいた。

広場では子供たちが走り回ったり、チャンバラゴッコのようなことをやっている。『平和な島でもこんな風に戦い事をやるんだな』とキウは思う。


持っていた水筒の水を飲み、喉を潤す。


理由のない時間が過ぎてゆく。