ずっと西にある島 6.薄繋
キウとオーカッが言葉を通じ合わすにはまだまだ時間が掛かる。
キウはまだまだ言葉を覚えていない。
だからオーカッはすぐにイライラし出す。
いくつかの自己紹介は理解できた。
オーカッは年齢17歳で、学校の先生になるために修行中の身であるという事。普通なら学校で研修を行うのだが、キウのようなわけのわからない人が突如現れたため、特例としてオーカッはキウの先生となった。
町の人はキウの知る限り、穏やかな人が多かったのだが、オーカッは違った。
オーカッはすぐにヒステリックになる。ちょっとキウがわからずボーっとしている時、わかったふりをした時、オーカッはすぐに怒り出す。
『そんなに怒んなくたっていいだろう?』ってくらいキウに怒ってくる。手を出すわけではないが、わけのわからない言葉でわーわー言い出すのだ。
というわけで、キウとオーカッの関係は最近毎日険悪なムードにある。
君がイライラすれば、僕もイライラする。
イライラするから、なるべく話したくない。
なるべく君とは話さない。
僕は異国の人だから、この町には馴染まないのだから。
そんなふうに自分に言い聞かせる。
でもさらにキウは自分の過去を振り返る。
僕に本当に馴染む場所などあったのだろうか?
雨に沈む町での生活も、実家でも、学校でも、僕はいつだって誰とも馴染まなかった。
僅かな友達はいた。でもその全ての関係は薄っぺらな表だけの繋がりでしかなかった。
いつもどこでもだれとでも、僕は誰かと薄っぺらな関係を築いて生活している。
唯一無二の存在は、秋の森の果実(カミ)にあった。でも彼女はきっと幻なのだ。
こんな性格の僕が生み出した偶像の世界に過ぎない。
夢の中で結びついた。夢でも結び合えた事で満足だ。
果てしなく広がってゆく世界の中で、僕が再び秋の森という夢の世界に紛れ込む事はないだろう。
僕は孤独だ。
夢も希望もないままに生きている。
実に暗い。
根暗だ。
知っている。
そもそも僕は部屋で閉じこもってゲームばかりをやっていた少年だった。
人生を誰かと繋げようなんて、考えた事はない。
そういう結論に達する。
キウは今が自然のままの自分だと理解する。
どれだけ世界が変わろうと、原因は自分にある。そして一度出来た性格は簡単には変わらない。
どんな世界で生きようと自分は自分でしかない事を実感する。
ところでキウは自分がいくつになったのだろうかと気にしだす。
どうでもいい事かもしれないが、キウは自分の誕生日を見失った。
西暦もマンスもウィークもない世界で、キウはいろいろと忘れてしまう。
きっと22歳になったのだろうと、およその自分を想像する。
毎日毎日オーカッとの生活は続く。