ぼくの頭の中のボブ・ディランへ。 | Texas Rose Cafe

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ぼくの名前はボビー・ジマーマン。カントリーやブルースが好きで、自分で言うのも何だけど子どもの頃はよく澄んだ声で歌ってたもんさ。リズム&ブルースもよく聴いたな。エレキギターを始めたのもその頃で、暇さえあれば練習してたっけ。全然上手くならなかったけどね。

 

きみに出会ったのはミネアポリスの大学に通っていた頃かな。寮生活にうんざりしてたぼくにきみはしつこく迫ったね。今すぐジャック・ケルアックやギンズバーグの流れに続けって。今すぐウディ・ガスリーを聴けって。今すぐエレキギターをアコギに持ち替えろって。今すぐニューヨークへ行きたいかーって。

 

ぼくはきみに言われるがままにビートニクの真似事をし、ウディ・ガスリーを聴き、エレキをアコギに持ち替えた。ウディ・ガスリーの真似をして歌ってたらいつの間にかこんなしゃがれ声になっちまったんだ。もちろんニューヨークにも行ったさ。

 

ぼくにはきみの考えてる事はよく分からない。当時作った曲だって時代に合わせてどんどんアレンジ変えて歌えって言うし、せっかくアコギに持ち替えたのに今度はエレキギターに持ち替えろなんて言うし。そうかと思えばだんまりを貫く事もしばしば。

 

ただきみの言う事も分からない事もないんだよ。時代は変わるし、時代によって答えが変わる事もよくある。風の中に舞っている答えは自分で見つけなきゃいけないんだよね。過去が大切なのは分かるけど、今目を向けるべきなのは今日と明日。きみがぼくの頭に住みついて約60年になるけど、これから何処に連れて行ってくれるのかな。もう出て行ってくれなんて言わないよ。ぼくはただきみを包み込んで、一緒に前へ進むだけさ。それでいいんだ、ママ。

 

 

今回お送りするのはボブ・ディランの『Bringing It All Back Home』から「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」です。象徴的な意味が込められた歌の数々にボブ・ディラン第二章の始まりを強く感じます。フォークからロックへという単純な変化ではなく、曲作りのアプローチの変化とでも言うのでしょうか。B面のアコースティックサイドを聴くと如実にその違いが感じられます。