昭和歌謡の旅(17)千葉 | 昭和歌謡

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懐かしい昭和の歌謡スターの歌を紹介します。

◎浪曲から童謡まで 

 千葉は北から南へ下総、上総、安房の三つの国に分かれていた。その下総の利根川下流の一帯を舞台にしているのが講談、浪曲などでお馴染みの「天保水滸伝」。笹川繁藏一家と飯岡助五郎一家の対立を描いたもので、この中に登場する笹川の用心棒のニヒルな浪人平手造酒は数多くの映画や歌に取り上げられてきた。映画で1本挙げるなら昭和37年の大映映画「座頭市物語」(三隅研次監督)。市(勝新太郎)と平手(天知茂)は互いに心を通わせていたが、最後には平手に望まれて橋の上で息詰まる決闘を繰り広げる。平手は死に場所を求めていた。

 歌は2曲。田端義夫の「大利根月夜」(14年・藤田まさと・長津義司)〽あれを御覧と 指差す方に 利根の流れを ながれ月…。ご存知バタやんの名調子で出世曲となった。三波春夫の「大利根無情」(34年・猪又良作・長津義司)〽利根の利根の川風 よしきりの 声が冷たく 身をせめる…セリフが入ってこちらも三波の名調子だ。

 下総の国の真ん中へんにあるのが成田山新勝寺、通称成田不動。橋幸夫の「花太郎笠」(43年・佐伯孝夫・吉田正)は成田の花太郎を主人公にした股旅ソング。〽にじむ涙に お不動様の お護摩焚く火が真赤にうつる 成田恋しや 花太郎…。それまでの橋の股旅ソングと違ったロック調のいい歌だ。

 千葉の松戸と東京の葛飾柴又を結んでいるのが今もある江戸川の「矢切の渡し」。伊藤左千夫の「野菊の墓」で知られるようになったが映画「男はつらいよ」と歌「矢切の渡し」(51年・石本美由紀・船村徹)で知名度がさらに高まった。船村がちあきなおみに提供した曲だが、細川たかしの歌の方がヒットしてレコード大賞まで取った。しかし、その後はちあきの歌の良さが浸透して今ではちあきの歌がかかることが多くなっているような気がする。船村もちあきの歌は「完璧だ」と高く評価していた。

 有名な童謡「月の沙漠」(加藤まさを・佐々木すぐる)は加藤が上総の国の外房にある御宿海岸をイメージしたものと言われている。御宿には駱駝に乗った王子、王女の像と歌碑が立っている。                                      (黒頭巾)