『相葉雅紀さん、そうですよね。』
信じられなかった……
私の兄のこと、知ってるの?
あなたの弟さんの事件を担当してたの?
真中英雄さん……
そう。
兄はいつもこの名前を口にしていた。
『英雄くんに何もしてやれなかった…』
『こんな判決、許されるわけがない!!』
兄はいつも戦っていた。
亡くなった後、同僚の弁護士さんから聞いた話。
……あいつは、あの事件に首を突っ込みすぎた。
あの先生から勝利を奪おうなんてむちゃな話だったんだ。
権力に俺らが勝てるわけがない……
あの事件は、あなたの弟さんの事件。
『相葉さんは本当によく戦ってくれました。
僕のことも気を使ってくれて。
よくご飯を食べに連れて行ってくれたんですよ。
そうだ……あなたが作ってくれた肉じゃがを食べたこともありました。
゛妹が作ったんだよ゛そう言ってました。』
『………』
『僕は許せないんだ。
英雄を殺したこと…そして…相葉さんまでもが犠牲になったこと。』
そう言うと、成瀬さんは私に頭を下げて
『申し訳ありませんでした。』
『え……?』
『僕のせいで相葉さんとあなたの将来を奪ってしまった。
僕が裁判なんて起こさなければこんな事にはならなくて済んだ。
僕の身勝手な考えで、何も関係のないお兄さんまで亡くなった。
僕のせいで……本当に申し訳ありません。』
成瀬さんは、兄が亡くなったことを自分のせいだと言う。
確かに、そう思ったことはあった。
お兄ちゃんがこんな裁判引き受けなければ…
判決にそんなに口出ししなければ…
恐らく未来は違っていたと思う。
学校で友達が
゛親がウザい゛とか゛親とケンカした゛とか聞くと
本当に羨ましかった。
そうだ…私にはもう、家族はいないんだ……
そうやって実感する度に
より孤独感がつきまとってきた。
進路も決まっている。
大学には進めない。
それを伝えたときの担任の先生の゛当然だよな゛っていう顔が
今でも忘れられない。
家族がいないこと……
凄く悲しかった。苦しかった。
でも………
それは成瀬さんもきっと同じ。
幼い頃にお父さんが病気で亡くなられて
それからお母さんが昼夜問わずずっと働き続けてくれた。
お母さんの体調が悪くなって
でも…それでも2人を育てるために働いてくれた。
そんな中でのあの事件。
同時、中学校でいじめの中心的なグループだった4人組。
そのリーダーだったのが、芹沢直人さん。
英雄さんは、いじめを受けていた子をかばい
直人さんのところに、いじめを止めるように説得しに行った際に
誤ってナイフで刺されて、亡くなったそう。
゛優しくて、正義感が強い子゛
お兄ちゃんは英雄さんのことをよく、こんな風に言っていた。
でもそれは……成瀬さんも一緒。
英雄さんを殺した人が憎くてしかたない。
そして、その事件に深入りしすぎてしまったために亡くなった
お兄ちゃんとその遺族である私に
ずっと罪悪感を感じていたんじゃないかな……
それは、成瀬さんの正義感の強さの現れ。
苦しんできたんですね……
『やめてください、成瀬さん。
あなたはなにも悪くない。』
『…でも……』
『それに、謝らなければいけないのは私の方でしょう?
…兄が弟さんに…英雄さんになにもしてあげられなかったこと。
悪をたおすことが出来なかったこと。
そして…あなたに何も残してあげられなかったこと。
本当に申し訳ありません。
兄があの時、もっと強く迫っていたら、違う未来があったかもしれないのに…』
『優子さん……』
『全てを背負い込まないでください。
私もいます。
成瀬さんのこころの負担、分けてください。』
成瀬さんの手に触れると、ひんやりと冷たい。
いつか…お兄ちゃんが教えてくれたっけ…?
゛手が冷たい人は、心があったかいんだ。゛
そう…成瀬さんは温かい人。
そうよね…?お兄ちゃん。。
私は頭上に瞬く、数多の星に願った………
お久しぶりです。。
完全ノープランで進めております!!
ご了承くださいね。。
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