君の育った街 | 『もの想い』macoto

『もの想い』macoto

詩人・エッセイストmacotoの作品を綴っています。
オリジナル作品の著作権はmacotoにあり、無断で他媒体などに掲載・転載・使用などは禁じております。
Copyright© macoto All Rights Reserved. since2009.02.02.

ブログネタのテーマを物語風にした

ブログネタショートストーリーですニコニコ

今回のテーマは育った街はどんなところ?



「君の育った街」 作:macoto



「ねぇ ユカリ

いま 僕は君の育った街で生きているよ」


あの日 君がいなくなってしまってから

僕はその優しさの意味を知った



「セイちゃん、あの箱は絶対に開けないでね」


ユカリが口癖のように言っていた言葉を

ふと思い出し昔ながらの襖の引き戸を開き

押入れの下段の一番奥へと頭を突っ込んだ


少しほこりっぽい暗闇を咳き込みながらも

四つん這いになって上半身を丸め右手を伸ばす


カツンと硬いなにかに爪が当たる音が響き

探していた古い洋菓子店の缶箱を掴む


「あった あった これだ」


僕はユカリの居ない部屋で8年という月日の癖で

つい声に出して大きな独り言を言ってしまった


返事を待つ独り言は見事に空を切り

古ぼけた和風の吊り下げ式の蛍光灯のようだ


四つん這いのまま缶箱を片手にずるずると後退して

急に暗闇から明るい部屋の灯かりの下で少し目が眩む


「なにが入っているんだろう……」


古ぼけた缶箱を部屋の真ん中に置いて

その前にちょこんと正座をした僕は

もうこの中身の持ち主が居ない缶箱のフタを

両手で垂直にそっと持ち上げる




……ユカリはもうこの世には居ない




僕の愛した人が絶対開けないでと言っていた缶箱


その大切にしていた中身がなんだったのか

他人に見られたら恥ずかしいからなのか

懐かしい思い出の品なのか

彼女が生きている間は決して見なかった缶箱の中身を

彼女の棺に入れるために僕は初めて開けてみた


そこには僕がユカリに当てたラブレターや

誕生日に贈ったバースデイカードなどが

順番に重ねられていた


そしてその1枚1枚を読み返して

僕がどれだけユカリの事を愛していたのか

ユカリの居ない世界がどれほど虚しいものか

頬を伝うお湯のような熱い滴が溢れて止まらなかった


ユカリが生まれ育ったこの街は

僕がユカリとの愛を育んだ街でもある

この街の至る所にユカリが見てきた場所があり

僕はこの街をこれからも愛してゆく


ユカリを愛していたように……




「セイちゃん、天国には何も持って行けないけど

 私は何もいらないよ。」


「どうして?」


「だってセイちゃんとの思い出が私のすべてだもの。

たくさんの思い出があれば向こうでも退屈しないわ。」


「残される僕はどうするの?」


「私が死んでもセイちゃんは新しい思い出を作って。

そしてたまにでいいから私の事を思い出してね。」




ユカリが残してくれたものは何一つとして

形には残さないと約束した通り

君の灰は海に還すから安心して眠ってね。


そして僕が生きている限り

ユカリとの思い出はいつまでも

この心のなかに色褪せずにいるよ



fin



育った街はどんなところ? ブログネタ:育った街はどんなところ? 参加中

久しぶりにブログネタショートストーリーを書きました^^


こんな内容にするつもりもなかったんですけど、

いつもアドリブで書いているので

なぜかこんな内容になってしまいました^^;


本題のブログネタの答えですが、

macotoは見た目が素朴なんですけど

これでも東京都生まれのシティボーイw


育った街は中野区なんですけど

中学校が比較的多い区で

公立の中学校が中野第一中学校から

中野第十一中学校まであって

その他に私立も何校もあるので

部活で区大会突破も大変でした^^;


有名なのは三角の建物「中野サンプラザ」

ハロプロとか演歌の大御所とかコンサートしてます。


あと「中野ブロードウェイ~サンモール商店街」

今では秋葉に次ぐオタクの聖地ですね。

丸井の本社があるのも有名な話しです。


案外、芸人さんが多く住んでる街でもあるんですが

昔、たけし軍団とか稲川淳二さんとか見かけました。


そして西の江戸と言われるような下町で

人情深い人たちの多い街だと思います^^


いろんな事情で実家に戻ったり出たりして

前回、中野から離れてもう2年経ちました。

今、住んでる街も住みやすくていい街です^^



そんな訳でまた気が向いたら

ショートストーリー書きたいと思います^^では♪