政規法改正案、衆院通過
公明の一貫した主張反映、存在感を発揮

石井幹事長に聞く
2024/06/08 1面


 自民党派閥の政治資金問題の再発防止に向け、同党が提出した政治資金規正法改正案は与野党の修正協議を経て6日に衆院を通過しました。公明党の取り組みや同改正案のポイントについて、公明党の石井啓一幹事長(政治改革本部長)に聞きました。


 ――政規法改正に公明党はどう臨んだか。

 石井 自民党派閥の政治資金問題により、国民の政治に対する信頼は大きく損なわれ、政治の安定さえも揺らぎかねない状況になりました。問題の再発防止と国民の信頼回復へ、結党以来、「清潔な政治の実現」を掲げてきた公明党こそ政治改革をリードできる党です。公明党は今年を「令和の政治改革元年」と銘打ち、精力的に党内で議論を重ねました。1月18日には、どの党よりも早く「政治改革ビジョン」を発表。この中で訴えた政治家の責任・罰則強化、政治資金の透明性向上に向けた実効的な策が、政規法改正案にほぼ反映されました。

 ――終始、公明党の対応が焦点となった。

 石井 政権与党として自民党と連立を組む公明党が賛成すれば、政規法は改正できるかもしれません。しかし政治資金制度は、選挙制度と並んで政治活動の基盤であることから、公明党としては、与野党の幅広い合意の上での改正が望ましいと考えてきました。

 自民党とも、党ビジョンで掲げた項目について一歩も引かず、協議を重ねてきました。5月9日に自公両党で政規法改正案の概要を取りまとめましたが、9項目のうち、政治資金パーティー券購入者の公開基準と議員が政党から受け取る「政策活動費」の使途公開のあり方の2項目で完全に折り合えず、自民党は単独で法案を提出しました。

 その後、衆院政治改革特別委員会での議論、与野党での修正協議が開始。自民党が一部修正の意向を示した際には、与野党協議の渦中にもかかわらず「公明賛成へ」との報道も出ました。しかし、同30日の党会合で山口那津男代表が「このままでは賛同できない」と断言。最後まで主張を貫いたことで、翌31日に行われた自公両党の党首会談では、岸田文雄首相から公明党の主張に沿って再修正する決断が示されました。

 これまでの議論を通じて、公明党の存在感をいかんなく発揮できたと思います。

■会計責任者だけでなく議員の「連座制」を強化

 ――改正案のポイントは。

 石井 まず再発防止の“一丁目一番地”とも言える議員の罰則強化です。この問題に関係した議員が会計責任者である秘書の責任にする場面が目立ち、自身の責任を認めませんでした。このような“言い逃れ”は今後、絶対にあってはなりません。

 そこで会計責任者だけでなく、議員も連帯して責任を負う、いわゆる「連座制」の強化を明記しました。公明党が2009年から訴えてきた内容です。

 これは会計責任者に対して政治家(政治団体代表者)に監督責任を負わせ、収支報告書を確認したことを示す「確認書」の提出を政治団体の代表者に義務付けます。その上で、会計責任者が本来書くべき収支を報告書に記載しなかったり、虚偽の記載をしたりした場合に、代表者による確認が不十分だったり、怠ったりすれば、罰金刑を科すとともに、公民権を停止します。つまり、議員の身分を失い、その後、数年間、立候補できないという事実上、政治生命を絶たれる厳しい罰則を設けたのです。

■パーティー券の購入者公開「5万円超」に

 ――自民党と折り合えなかった2点は、修正案にどう反映されたのか。

 石井 パーティー券購入者を収支報告書に記載する公開基準については、現行の「20万円超」からどこまで引き下げるかが焦点になりました。自民党は「10万円超」と主張し、当初の自民案にも入れましたが、最終的には公明党の訴えの通り、「5万円超」で決着しました。=2面に続く