参院予算委

防衛装備品の第三国移転首相答弁(要旨)

2024/03/14 2面

3月13日の参院予算委員会における公明党の西田実仁参院会長の質問に対する岸田文雄首相の答弁(要旨)は次の通り。

 

 

■Q、厳格な手続きになるか?

■A、「防衛装備移転三原則」運用指針の見直しと、将来移転する際の「二重の閣議決定」を行い、手続きを厳格化

 

 西田実仁氏 国際共同開発した次期戦闘機の第三国への輸出は、これまでの日本の取ってきた安全保障政策の重大な変更だ。なぜ次期戦闘機を第三国に輸出する必要があるのかについて、新たな閣議決定を行うべきではないか。

 

 岸田文雄首相 2022年末に国家安全保障戦略などの3文書を閣議決定した時から次期戦闘機の第三国移転の必要性の認識が変化したところだ。この点に鑑み、今般の運用指針の見直しに関しては、改めて閣議決定として政府方針を決定したいと考えている。

 

 さらに、その閣議決定において、将来、実際に次期戦闘機をわが国から第三国に移転する際にも、個別の案件ごとに閣議決定を行うことを盛り込み、移転を決定する前の与党への協議が確保されるようにしたい。

 

 西田 22年末の閣議決定時から、第三国直接移転の必要性の認識が変化した点に鑑み、今回改めて閣議決定して政府方針を決定する。さらに、実際にGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)に基づき開発・生産された次期戦闘機を移転する際は、個別の案件ごとに閣議決定する。首相の答弁は、こうした「二重の閣議決定」を行うという趣旨か。

 

 首相 今般の運用指針の見直しに当たり、閣議決定を行うとともに、将来実際にわが国から第三国への移転を行う際にも閣議決定を行う。いわば「二重の閣議決定」という、より厳格なプロセスを経ることを考えている。

 

■Q、移転は限定するべきでは?

■A、①次期戦闘機に限る②移転先は協定締結国③「戦闘中の国」は除く――の「3つの限定」で平和国家の基本理念を堅持

 

 西田 国際共同開発にかかる第三国への直接移転を認め得るのは、GCAPに基づき開発・生産された次期戦闘機に限定すべきではないか。

 

 首相 国際共同開発・生産において、わが国からの第三国移転を認めるケースについては、わが国の防衛力整備上の必要性から参画する案件であって、わが国からの完成品の第三国移転が必要とされる国際共同開発・生産に限定する考えだ。

 

 その上で、個別のプロジェクトごとに運用指針に明記していくこととし、今回の見直しに当たってはGCAPに限定することとしたい。

 

 西田 次期戦闘機の移転先については、「防衛装備品・技術移転協定」を日本と結んでいる国に限定すべきでは。

 

 首相 他国への侵略など国連憲章に反するような行為に使用されることがないよう、移転先については、国連憲章の目的と原則に適合した使用や、第三国移転の際のわが国の事前同意を相手国政府に義務付ける「防衛装備品・技術移転協定」の締結国に限定することとしたい。

 

 西田 現に戦闘が行われている国に対する次期戦闘機の移転は当然、禁止すべきだ。

 

 首相 武力紛争の一環として現に戦闘が行われている国に対しては移転しない。

 

 西田 ウクライナや中東などに日本から戦闘機が直ちに輸出される不安や、次期戦闘機の第三国輸出を認めれば、なし崩し的にどんどんと対象が広がることに恐れを持つ国民もいる。こうした国民の不安に応えられるか。

 

 首相 一つ目は、今回、第三国直接移転を認めるのはGCAPに限定すること。二つ目は、移転先国を「防衛装備品・技術移転協定」の締結国に限定すること。三つ目は、現に戦闘が行われている国には移転しないこと。この「3つの限定」と、「二重の閣議決定」という、より厳格な決定プロセスを経ることで、国連憲章を順守する平和国家としての基本理念を堅持することをより明確な形で示すことができると考えている。

 

 その上で、国民の皆さまの一層の理解を得ることは重要だ。国会の議論などを通じて、複雑な安全保障環境の中で、わが国の国民の命や暮らしを守るための議論を政府としても丁寧に続けていきたい。