参院予算委 公明党の質疑(要旨)

西田実仁参院会長

2024/03/07 3面

 5日の参院予算委員会基本的質疑で、公明党の西田実仁参院会長と杉久武氏が行った質疑の要旨を紹介する。防衛装備品の第三国移転に関する部分の要旨は6日付2面で既報。

 

■(政治資金問題)第三者機関設け再発防げ/首相「重要な点。議論深めたい」

 

 西田実仁氏 自民党派閥の政治資金パーティーにおける政治資金収支(報告書)の不記載という問題は、ルールを守らず、由々しき問題で傲慢のそしりを免れない。国民の信頼を取り戻すには、①参院政治倫理審査会でのしかるべき説明②(問題があった議員への)自民党としてのけじめ③再発防止に向けた政治資金規正法などの法改正――の3点セットをきちんとやり抜かなければならない。

 

 岸田文雄首相 ご指摘の3点セットを自民党としても重く受け止め、取り組みを進めていく。

 

 西田 公明党は政治改革ビジョンで、政治資金規正法の改正案として、透明性と罰則の強化に加えて、政治資金を監督する第三者機関の設置を提言している。

 

 米国では、ウォーターゲート事件などを契機に、連邦選挙委員会(FEC)を設置。議会から独立した行政機関として、政治資金収支報告の公開や法令順守の確保などを担っている。当面の政治資金規正法の改正はきちんと成案を得た上で、最終的な再発防止策として、単なる外部監査を超えて、議会から独立した第三者による政治資金の監督機関、例えば日本版FECのようなものを設置することを真剣に検討すべきだ。

 

 首相 “外部の目”を入れることは重要な点であり、法改正を伴う形で行うことを考えるべきだ。議論を深めていきたい。

 

■(能登半島地震)迅速な介護利用を可能に

 

 西田 能登半島地震の被災地では、1次避難所である体育館などから2次避難所に移るまでの一時的な滞在場所「1・5次避難所」に長期滞在する高齢者が増えている。

 

 介護度が上がったり、新たに介護申請をする人も少なくないが、要介護認定の取り扱いなどに時間がかかり、同避難所から先の介護サービス利用の調整に手間取るため、長期滞留する傾向になっている。東日本大震災の際に福島県で行われた方式のように、主治医意見書を省き、1次判定で本判定とする暫定ケアプランによるサービス提供を強く促してもらいたい。

 

 武見敬三厚生労働相 能登半島地震の被災者に対し、迅速な要介護認定やサービスの決定が行われることは極めて重要だ。厚生労働省として現地に職員を派遣するなど、自治体伴走支援を行いながら対応していく。

 

■(安否不明者の捜索)携帯電話の位置情報活用進めよ

 

 西田 安否不明者の捜索救助活動について、消防庁から携帯電話事業者に位置情報検索の要請があり、石川県が公表した安否不明者の氏名や住所を手掛かりに携帯電話番号を確認して位置情報を取得したことで、被災者の迅速な安否確認や人命救助活動に貢献できた。

 

 「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」では、位置情報検索を要請できるのは救助機関、すなわち警察、海上保安庁、消防、「その他これに準ずる機関」のみだ。これに自治体の危機管理部署などを含めて、情報連携がより円滑に進むよう見直しを検討すべきだ。

 

 松本剛明総務相 ガイドラインの「これに準ずる機関」に自治体の災害対策本部を含めるなど、位置情報を人命救助に活用する観点から、しっかり見直しを行いたい。

 

■(中小企業)下請法改正、名称変更を/価格据え置き禁止の規定も

 

 西田 中小企業の賃上げへ、価格転嫁が進むよう国を挙げて対策を徹底してもらいたい。下請法には、親事業者の禁止事項の一つとして「買いたたき」があるが、「価格転嫁に向けた交渉をしない」、あるいは「価格を据え置く」ことも禁止するような下請法の改正も検討すべきだ。

 

 古谷一之公正取引委員会委員長 取引慣行の実態や価格転嫁の状況も検証しながら、下請法改正の要否を含め、幅広く必要な検討を進めたい。

 

 西田 「下請け」という言葉について、中小企業の経営者からは、聞くたびに嫌な思いをするとの声を聞いている。下請法の法律名を変えては。

 

 首相 改正の要否も含め幅広く検討したい。

 

 西田 金型を使ってネジや針などを製造する小規模事業者から、「使った金型の保管料を払ってもらえない」「検査を終えた検収後にしか代金を払ってもらえない」などの苦情を聞く。

 

 斎藤健経済産業相 昨年、公正取引委員会が金型の無償保管を取引先に強要した事業者に下請法に基づく勧告を初めて実施し、その後も同様の勧告を行っている。関係業界と協力し、さらなる改善に取り組んでいく。

 

 西田 昨年の参院予算委で、自動車整備工場と損害保険会社との工賃単価などを巡る価格交渉について取り上げた後、損保会社を所管する金融庁は、自動車整備工場に対して、損保会社との間の修理代金のあり方について調査を初めて行った。調査結果を生かし、損保業界に対して取引適正化ガイドラインの作成、もしくは自主行動計画の作成を促すべきだ。

 

 鈴木俊一金融担当相 各損保会社において、自動車整備工場との適切な連携、共存共栄を図る観点から、実効的な取り組みが行われるよう、今後しっかりとフォローアップをし、それを踏まえて対応したい。

 

 西田 中小企業への支援策は網羅的で数多く用意されており、非常に把握しづらい。AI(人工知能)を活用したチャットボット(自動会話プログラム)のように、経営者のニーズに合わせた回答がすぐ出てくる分かりやすい広報の仕組みを実現してもらいたい。

 

 経産相 どのような形であれば活用が可能か検討したい。

 

 西田 コロナ禍での実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化している。昨年11月には総合経済対策で、年度内に再生支援の総合対策を取りまとめるとしているが(経営改善・再生は)まだ道半ばだ。コロナ借換保証やセーフティネット保証4号、資本性劣後ローンの申し込み期限とされる3月末は当然延長されると考えているが。

 

 首相 総合対策を年度内にまとめていく中で結論を出したい。

 

■(年収の壁)

 

 西田 パートで働く人が年収106万円を超えると社会保険に新たに加入する必要があり、手取りの収入が減ってしまう“年収の壁”を乗り越えるため、(手当支給などを行った企業に助成金を支給する)「年収の壁・支援強化パッケージ」を昨年10月に始めた。

 

 このうち、新しく社会保険に加入する人が活用できる「労働時間延長メニュー」では、公明党の提言により事業者ごとの人数上限が撤廃された。だが、従業員間の不公平感解消に向けて併用される「賃金規定等改定コース」には人数制限がある。撤廃すべきだ。

 

 厚労相 どのように改善策を進められるか検討したい。