SDGs達成へ行動加速
貧困・格差対策を強化/実施指針4年ぶり改定

2023/12/26 1面
 国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)達成へ行動を加速――。政府が19日に4年ぶりに改定した「SDGs実施指針」は、SDGsの理念が国民に浸透しつつある現状を踏まえ、持続的な経済・社会システムの構築や、誰一人取り残さない包摂社会の実現を「重点事項」として取り組む方針を明記した。公明党SDGs推進本部(本部長=谷合正明参院幹事長)が8日に提言した内容が随所に盛り込まれている。


 指針では、国際社会の取り組みが遅れ、SDGs達成に向けた進捗が危機的状況にあると指摘。特にコロナ禍以降、経済成長の減速や国内外の経済格差に直面する開発途上国でより深刻な状況にあると懸念を表明した。

 その上で日本政府として、「人間の安全保障」の理念の下、SDGs達成に向けた取り組みを強化・加速するとともに「国際社会のSDGs達成に向けた努力に対して最も効果的な形でさらに貢献していく必要がある」と強調した。取り組みの推進に当たっては、特に若い世代の参画を確保する重要性を訴えた。

 重点事項として、こども大綱に基づく子ども施策の抜本強化や、女性活躍と経済成長の好循環の実現、国・地方の孤独・孤立対策強化などを挙げ、「貧困や格差の拡大・固定化による社会の分断を回避」すると盛り込んだ。気候変動、生物多様性の損失・汚染への取り組みなども明記した。

 開発途上国への取り組みでは、国民総所得(GNI)に対する政府開発援助(ODA)の比率を0・7%とする国連の目標を念頭に置き、ODAを拡充すると示した。

■女性活躍、ジェンダー重視

 連携・協働を図るステークホルダー(利害関係者)の項目では新たに「ジェンダー」を追加。SDGsの達成に向けて、多様なステークホルダーがジェンダーの視点を共有することが重要だと指摘した。さらに全企業の99・7%を占める「中小企業」や、国民一人一人の声を拾い上げ、国や自治体の政策に反映させる「議会」の役割を強調した。

 SDGsを巡って公明党は、推進本部を設置し、地方議員とも連携しながら、国、自治体の取り組みを推進。実施指針の改定では、市民社会で活動する団体と熱心に議論を重ねてきた。

■国、地方の連携で後押し/党SDGs推進本部長 谷合正明参院幹事長

 実施指針の改定内容は、公明党SDGs推進本部が市民社会の代表などと議論して取りまとめた政府への提言が反映されており評価したい。特に、SDGsの進捗が遅れていることに危機感を示し、達成に向けた取り組みを加速させる重要性を再確認した意義は大きい。

 国連は来年9月、世界が直面する重大課題への協力を強化するため「未来サミット」を開催予定だ。サミットをめざし、官民で連携した取り組みの加速が求められる。

 加えて日本政府は、SDGs後の2030年以降も見据え、国際的な議論をリードしていくべきだ。

 公明党は今後も国会議員、地方議員で連携して目標達成への取り組みや機運の醸成を後押ししていきたい。