新春対談 結党60年幕開け
「大衆とともに」輝く未来へ

公明党代表・山口那津男 × 政治学者・姜尚中
2024/01/01 1面
 あけましておめでとうございます。今回の新春対談は、政治学者の姜尚中氏と公明党の山口那津男代表です。今年は結党60年の節目。公明党が政治に果たす役割や、政治家としての使命、輝く日本の未来に向けた“処方箋”などを巡って熱い語らいとなりました。


■地域に根差した足腰の強さ、政権の“安定装置”として機能(姜)
■立党精神刻み、現場で体現。国民の信頼・期待に応える(山口)


 山口 今年の11月17日に公明党は結党60年を迎えます。党創立者である池田大作創価学会名誉会長が示された「大衆とともに」の立党精神を永遠の指針として胸に刻み、今年も国民の信頼・期待に応え抜く政治に全力で取り組みます。

 姜 大事なのは「政治への信頼」です。不信が高まれば、政治はぐらつき、結果として国民が不幸になります。「クリーン」なイメージを持つ公明党が果たす役割は大きいと感じます。

 山口 ありがとうございます。政治への信頼回復に向け、公明党は政治改革の先頭に立つ決意です。

 姜 公明党は結党以来、組織的基盤のない人々の暮らしや中小・零細企業のセーフティーネットとして、また福祉と平和を守るための施策で成果を上げてきました。いま自民党との連立政権が20年以上も続いているのも、公明党が政権の“安定装置”として機能し、国民のための政策を着実に実現しているからです。

 山口 一つの政党が単独で過半数の議席を確保し続けるのが難しい中で、政権の安定には連立が不可避です。当然、自民党と意見が異なることもありますが、自公政権には政策面で議論を尽くし、合意をつくる仕組みがあります。国政選挙で与党として最大限の議席獲得をめざす協力もあります。これが政権の安定に大きな要素となっています。

■異なる政党同士、政権に相乗効果(姜)

 姜 大事な視点です。違う政党だからこそ、政権内に良い相乗効果をもたらしているのでしょう。自民党と似た考え方の政党では、いつか併合されてしまいかねませんが、公明党は違います。外で見えるパフォーマンスではなく、政権内で時にブレーキ役としての役割を担っています。専守防衛を堅持した平和安全法制の議論もその一つです。一見地味かもしれませんが、評価すべきところです。

 山口 公明党の強みは全国に約3000人の議員がいて連携できるネットワークにあります。地域の悩みは、そこに議員がいてこそ受け止められます。「大衆とともに」の立党精神は、現場で「小さな声を聴く力」として体現されています。そして公明党には、その声を政策として練り上げ、女性や青年の声も含めて実現できるのが特長です。

 姜 私も公明党の強みは地域に根差した“足腰”の強さだと感じています。地方議員が多いということは、地域に何が必要かがセンサーのように分かる“現場感覚”があるということです。この感覚がなければ、いくら政策を作っても使えない。現場の声を聴く力は政党の“生命線”です。

 山口 現場の声に裏打ちされた公明党の政策は、誰にもまねできません。具体例では、公明党は結婚、妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまで切れ目なく支援する「子育て応援トータルプラン」を発表しました。こうしたものは他党にはなく、いまや子育て政策は公明党のプランを基に議論される時代となりました。

 姜 公明党らしさが光る良い例です。子育て世代のセーフティーネットをどう整えるか。公明党に期待したい政策分野の一つです。

 山口 子育て支援とともに、目下の政治課題は経済対策です。30年ぶりの高水準の賃上げが実現し、株価も3万円超で推移、国の税収も過去最高となるなど転換期を迎えています。この機を捉え、物価高に負けない中小を含めた持続的な賃上げの実現をめざします。

 姜 もう一つ大事な視点は観光です。インバウンド(訪日客)もコロナ禍前まで回復しました。日本は北から南まで豊かな自然が広がり、食べ物はもちろん、歴史、人情も含めて“宝”とも呼べる観光資源が数多くあります。地域への経済波及効果も高く、観光立国を前面に出すべきです。

■観光振興に力点、新たな活力創出(山口)

 山口 同感です。観光地を巡りやすいように移動手段を充実させたり、一年を通して楽しめる施設を整備したり、まだまだ投資、開拓の余地があります。脱炭素技術の活用やデジタル化なども進めて、日本に新たな活力を生み出す観光振興策に力を注いでいきたい。

 姜 ところで今年は、池田名誉会長と中国の周恩来首相(当時)との会見(1974年12月5日)から50周年の節目に当たります。昨年11月には山口代表も訪中されていましたね。

 山口 改めて池田名誉会長が築かれた日中友好の「金の橋」の重みを実感すると同時に、さらに強固にしていく決意を新たにしました。国際情勢が混迷を極める中、日中関係の改善は、アジアやインド太平洋地域の安定と繁栄につながると確信しています。

 姜 池田名誉会長は日韓関係にも貢献されました。尹錫悦大統領の就任以降、日韓関係改善の機運が高まっています。今年は米大統領選も控えており、日米関係の安定の点でも、良好な日韓関係が重要です。

 山口 公明党は対話を重視した「政党外交」に力を入れています。それは政府だけでは果たせない部分を補うことで、国としての外交が重層的に広がるからです。主導国のいない「Gゼロ」とも言われる時代で、日本が国際協調へ果たすべき役割はとても大事です。

 姜 だからこそ実力ある政治家が必要です。その点、公明党はプロフェッショナルの政治家が多い。今後も次世代を担う人材を政界に送り出してもらいたい。

 山口 大きな宿題を頂きました。公明党への期待に応えられる人材を育て、力ある政治家を輩出できるよう頑張ります!


 カン・サンジュン 1950年、熊本市生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授、聖学院大学学長などを経て、鎮西学院学院長、鎮西学院大学学長。東京大学名誉教授。熊本県立劇場館長。専攻は政治学、政治思想史。著書に『アジアを生きる』など多数。