政府の「こども未来戦略」
少子化対策を抜本強化
児童手当を大幅に拡充/多子世帯の高等教育無償化

2023/12/27 1面


■公明の子育てプラン前進

 「静かなる有事」とも言われる少子化への抜本的な対策が動き出す。政府は22日、対策強化の具体策を盛り込んだ「こども未来戦略」を決定した。6月に策定した同方針を拡充するもので、着実な施策の実施により、日本の子ども・子育て関係予算は、経済協力開発機構(OECD)加盟国でトップ水準に達する見通しだ。公明党が掲げる「子育て応援トータルプラン」が大きく前進する。

 戦略では、少子化について「我が国が直面する最大の危機」と明記し、少子化・人口減少が加速していることに危機感を表明。若者人口が急減し始める2030年までが少子化トレンドを反転させるラストチャンスだとして、今後3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」に年間3・6兆円規模を充てる。

 核となるのは、公明党が「生みの親」「育ての親」である児童手当の抜本的な拡充だ。具体的には、24年10月分から所得制限をなくし、高校卒業まで対象を広げるとともに、第3子以降は月額3万円に拡大。第3子以降の加算については、公明党の国会質問を受け、第1子が22歳に達する年度まで増額を継続する。

 また、3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」を対象に、25年度から大学など高等教育の授業料や入学金を実質無償化する。所得制限は設けず、授業料を国公立大は年約54万円、私立大は年約70万円を上限に補助。専門学校や短大も含める。

 一方、妊娠期からの切れ目ない支援につなげるため、伴走型相談支援と、妊娠・出産時に計10万円相当を支給する「出産・子育て応援交付金」について、24年度の継続と、25年度以降は制度化することを盛り込んだ。

 子育てサービスの拡充では、親の働き方を問わず時間単位で保育所などを利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」について、25年度に制度化し、26年度から全国の自治体で展開する方針。保育の質向上に向けては、職員の配置基準を見直し、4~5歳児では24年度に「子ども30人に保育士1人」から「25人に1人」に改善する。

■ひとり親家庭への支援充実も

 多様な支援ニーズへの対応策に関しては、低所得のひとり親世帯が対象の児童扶養手当について、所得限度額を引き上げるなど支給要件を緩和し、多子世帯の加算も増額する。

 共働き・共育ての推進では、両親が共に育児休業を14日以上取った場合に、育休給付を手取りの実質8割から10割に引き上げる。自営業・フリーランスの育児支援策として、国民年金の保険料を一定期間免除する措置も設ける。

 こうした対策を推進するために必要となる安定的な財源確保については、歳出改革の徹底(1・1兆円)や規定予算の活用(1・5兆円)に加え、全世代が加入する医療保険制度を活用した「支援金制度」(1兆円)を創設して捻出することとした。