初の「こども大綱」決定へ
「基本法」に基づき、今後5年の方針・重要事項定める

2023/12/17 1面
 今後5年程度の子ども政策の基本方針となる初の「こども大綱」が年内にも決定されます。こども家庭庁がこのほど示した大綱案の内容を解説するとともに、同大綱の意義や公明党の取り組みについて、党少子化対策・子育て支援本部の山本香苗本部長(参院議員)に聞きました。


■子ども・若者の権利を保障

 コロナ禍で一層進んだ少子化に加え、貧困や虐待、いじめ、不登校など子どもや子育てを取り巻く問題は深刻化、複雑化しており、子どもと家庭を社会全体で支える取り組みが求められています。

 こうした課題に対応するため4月に施行された「こども基本法」では、国を挙げて取り組む子ども政策の基本理念や国、自治体の責務のほか、今後5年程度の政策の方向性を示す「こども大綱」の策定を定めています。

 こども大綱は、従来の「少子化社会対策大綱」「子供・若者育成支援推進大綱」「子供の貧困対策に関する大綱」の各大綱を一元化して策定されます。策定に際して政府は、こども家庭審議会に諮問。同審議会で議論を重ね、子どもや若者、子育て当事者など約4000件に上る幅広い意見を聴取し、今月1日に盛り込むべき内容を政府に答申しました。これを受けて政府は大綱案を示しており、年内にも閣議決定する予定です。

■貧困対策、体罰・虐待の防止など柱

 大綱案では、全ての子どもや若者が幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現をめざす姿勢を鮮明にし、こども基本法や子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)の理念に基づく政策の基本方針を6点示しています。

 具体的には①子どもや若者の権利を保障し、最善の利益を図る②子どもや若者、子育て当事者の意見を聴き共に進める③ライフステージに応じて切れ目なく支援④貧困と格差の解消⑤若い世代の生活基盤の安定、若い世代の視点に立った結婚・子育ての希望の実現⑥施策の総合性の確保――を掲げています。

 その上で、施策の重点項目を子どもや若者のライフステージ別に記載。例えば▽子どもの貧困対策▽障がい児や医療的ケア児などへの支援▽校則の見直し▽学校での体罰や不適切な指導の防止――などを明示しています。特に、学校生活に関する取り組みは既存の大綱で言及が少なく、今回の特徴の一つと言えます。

 このほか大綱案では、「こども政策に関して自身の意見が聴いてもらえている」と思う子ども・若者の割合を70%(2023年20・3%)に引き上げるなど、子どもや若者の意識面に関する数値目標を12項目掲げています。

■党少子化対策・子育て支援本部 山本香苗本部長に聞く

 こども基本法に基づき初めて策定されるこども大綱によって、子どもの権利が守られる社会づくりを進めていくことが重要です。

 公明党は大綱を策定するに当たり、子どもや若者、子育て当事者の声をしっかり聴くというプロセスを重視することを強く求めました。

 これにより実際、小学生から20代の若者、子育て当事者をはじめ4000件近くの意見が寄せられ、それを基に大綱案の検討が進められました。また、意見をどう反映したか、反映できなかった場合、その理由は何かなどフィードバックする取り組みも行われました。大綱策定後も子どもや若者らの意見を聞いてフォローアップしていきます。

■公明プラン、最大限盛り込む/実現への予算も着実に確保

 こども大綱案には、公明党が昨年11月に発表した「子育て応援トータルプラン」の内容を最大限盛り込んでいます。特にライフステージに応じて切れ目なく支援する取り組みはトータルプランそのものです。また、こども基本法第16条には「こども大綱の定めるところにより」財政上の措置を講ずることが規定されていますが、これは公明党が主張して盛り込んだ規定であり、この規定をテコにして大綱に盛り込んだトータルプランを実現するための予算も着実に確保してまいります。

 都道府県や市区町村には、国の定めるこども大綱を勘案して計画を策定する努力義務があります。計画策定に当たっては、ぜひとも、こども大綱同様、子どもや若者らの意見を丁寧に聴くプロセスを設け、聴きっぱなしにせず、計画に反映してほしいです。

 そして、子ども政策を進めるに当たって、子どもや若者、子育て当事者の声を聴き、対話しながら、共に進めていくということが当たり前となるような社会にしていきたい。そのためにも地方議員の皆さんと、さらに力を合わせて頑張っていきます。