物価高克服へ所得伸ばす
公明党が訴える総合経済対策
2023/10/19 3面
 長期に及ぶ食料品などの値上げが家計を圧迫する中、重要なのは、所得向上によって物価高を乗り越え、暮らしを守ることにあります。本来、家計の所得向上は持続的な賃上げで実現すべきですが、急激な物価高に賃上げが追い付かず、実質賃金は依然マイナスです。賃上げの流れが、国民に広く及ぶまで対策が必要です。公明党は17日、総合経済対策の策定に向けた提言をまとめました。過去最高を更新した税収増の国民への還元策、中小企業などの賃上げ応援トータルプランとともに、既に実現した「年収の壁」支援策の要点を紹介します。

■(国民に税収増を還元)
①所得税減税で家計支える
②低所得世帯へ迅速な給付
③燃油・光熱費補助、来春まで


 国の税収は3年連続で過去最高を更新しています。この税収増を直接、国民に還元することで、日々の暮らしを支え、経済対策の効果を実感してもらえるよう、公明党は“3つの還元策”の実現を訴えています。

 まず第一に、所得税の減税です。特に、物価高に加えて社会保険料の増加などにより負担感が増している現役世代、中間所得層の可処分所得を増やしていくため、思い切った家計支援の実現をめざしていきます。

 共同通信が10月14、15の両日実施した世論調査では、物価高対策として所得税減税が「必要だ」との回答が63・2%に。年代別では、40代が70・4%に上ったほか、30代以下の若年層も67・9%が必要だと答えるなど、多くの現役世代が所得税減税に期待を寄せています。

 第二は、物価高で特に影響の大きい低所得世帯への支援です。重点的に支援するため、賃金上昇の恩恵が及びにくい住民税非課税世帯などを対象に、給付金を迅速に支給し、生活を支えます。

 第三には、エネルギー価格が高騰する中、家庭や企業の負担を軽減する支援です。

 公明党は昨年、岸田文雄首相に直談判するなど粘り強く訴えた結果、ガソリン・灯油を含む燃油代補助に加え、今年1月使用分から電気・都市ガス料金の補助が開始。消費者物価の上昇率を抑えるなど、効果を発揮しています。

 当初、これらの補助は9月末まででしたが、公明党の訴えが反映され、既に年末までの延長が決まっています。今回の総合経済対策に向けた提言では、暖房需要が高まる冬場の備えとして、来春まで延長するよう求めています。

 これら3つの還元策について、緊急を要するものは、今年度補正予算で財源を裏付けるとともに、来年度税制改正や予算編成でも国民生活を支える観点から、必要な施策を引き続き議論していきます。

■地方交付金で負担軽減
 地域によって求められる物価高対策は異なります。自治体独自の事業を後押ししてきたのが公明党です。

 地方と国の議員ネットワークの力を生かし、国政では、対策の財源となる地方交付金の増額を主張。地方議員が議会や首長に具体策を提案し、これまでLPガス(プロパンガス)料金の値引きや学校給食費の軽減、買い物をした分のポイント還元など、地域の実情に応じた、さまざまな支援策が実現してきました。

 今回、食料品などの値上げが続いていることから、家計の負担を軽くする自治体の事業が実現するよう、地方交付金の増額を提案しています。

■(中小企業の賃上げ応援)
■適正な価格転嫁促し賃金アップ強力推進

 “中小企業の味方”である公明党はトータルプランを13日に政府に提言し、賃上げの原資確保へ、原材料費や人件費などの上昇分を適正に価格転嫁できる施策の実現を訴えています。

 例えば、価格転嫁の取引状況を把握する中小企業庁の調査を強化し、その結果を毎年公表するよう主張。労務費(製品の生産にかかった人件費)の価格転嫁に向けた指針作成に取り組みます。また、国や自治体が発注する公共調達でも適切な価格設定を求めます。

 物価高の影響が深刻な医療、介護、障がい福祉、保育分野の処遇改善や、建設業の標準労務費の提示、トラック運送業の標準的な運賃の見直しなどで業種ごとの賃上げを促します。フリーランスの取引適正化と相談体制も強化します。

■生産性の向上や人手不足解消へ支援強化
 中小企業の生産性向上へ、賃上げした企業に対する各種補助金の上乗せ措置などを複数年度にわたり切れ目なく支援します。人手不足の解消に向けては、省人化・省力化に必要な設備などへの投資支援を推進。支援策をまとめたカタログを作り、そこから事業者に選んでもらうような利用しやすい仕組みもつくります。

 また、賃上げに取り組む企業への資金繰り支援も強化。今年度末が期限の賃上げ促進税制を長期延長するとともに、赤字でも賃上げを行う企業などを対象に、税額控除しきれなかった分を翌年度以降にも繰り越せる繰越控除制度を創設します。

■(「年収の壁」への支援)
 パート労働者らの収入が一定額を超えると年金などの社会保険料負担で手取りが減る「年収の壁」への当面の対応として、公明党の提言が反映された政府の「支援強化パッケージ」が10月から適用されています。

■(106万円)収入増へ企業に助成
 従業員101人以上の企業で社会保険料納付が必要になる「106万円の壁」では、手取りが減らないよう賃上げなどを行った企業に従業員1人当たり最大50万円を助成。公明党の主張を受け、1事業所当たりの申請人数の上限を撤廃し、申請書類も簡素化します。

■(130万円)連続2年まで扶養内
 配偶者の扶養から外れて社会保険料を負担する「130万円の壁」では、残業などで一時的に年収130万円を超えた場合、連続2年までは扶養内にとどまれるように。一部の企業で配偶者手当が支給されない「103万円の壁」では、企業に見直しを働き掛けます。

 年収の壁を巡っては、10月からの最低賃金引き上げで働き控えが広がる可能性があり、年末などの繁忙期に企業が働き手を確保できないといった懸念がありました。公明党は現場の声を聴取した上で、9月5日、同月中のパッケージ策定と10月からの適用を厚生労働相に提言していました。